このひと 担い手の大規模化とTACの活動 JA金沢市 代表理事組合長 虎本重 氏 地域農業の担い手に出向くJA担当者「TAC」の活動は、全国のJAで定着している。農業者の所得向上と地域農業の活性化がより一層求められるなか、TACの活動も一段の質的向上が求められている。JA金沢市のTACの活動の現状を、虎本重組合長に聞いた。 米やスイカ、金沢ブランド野菜などが主力 ■管内農業の概況は? 石川県のほぼ中央に位置する県庁所在地である金沢市は、1市2JAがある。中心部は市街地・住宅地が多く伝統的な観... 2022年11月17日
創刊70周年 記念号 〈本号の主な内容〉 ■創刊70周年を祝す 農林水産事務次官 横山紳 氏 ■祝・創刊70周年 日本農民新聞に期待する JA全中 代表理事会長 中家徹 氏 JA全農 経営管理委員会会長 菅野幸雄 氏 JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏 農林中央金庫 代表理事理事長 奥和登 氏 JA全厚連 経営管理委員会会長 山野徹 氏 家の光協会 代表理事会長 栗原隆政 氏 文化連 経営管理委員会会長 八木岡努 氏 全国農協観光協会 代表理事会長 櫻井宏 氏 ㈱農協観光 代表取締役社長 清水清男 氏 ... 2022年11月15日
アングル 農業経営の法人化と農林中金の取組み 農林中央金庫 常務執行役員 川田淳次 氏 農林中金では、農林水産業の成長産業化に向け、食農バリューチェーン全体を見据えた取り組みを推進している。その中で、農業法人に対する農業融資・投資をはじめ、担い手コンサルティングなど様々な角度からの支援を強化している。ここでは、担当常務執行役員の川田淳次氏に、農業経営の法人化と農林中金の取組みについて聞いた。 個人経営体の減少を法人がカバー ■農業の経営形態の現状をどうみているか。 農業経営体数は、2005年に約200万あっ... 2022年11月5日
統計は社会が自らの姿を映す鏡である。鏡がゆがむと、社会は針路を誤る。以前も紹介したが、吉田茂元首相はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のマッカーサー最高司令官に日本の統計の不正確さを指摘され、こう答えた。「統計が正確なら、あんな戦争(太平洋戦争)はしなかった。統計通りなら、こちら(日本)が勝っていた」。実は統計上も日本の敗北は予想されていたが、統計の重要性を吉田が認識していたことは確かだ。 その吉田政権下で終戦の翌年に発足したのが、政府の「統計制度の改善に関する委員会」(略称・統計委員会。現在は総務省所管)だ。国政の根幹にかかわる基幹統計調査では、統計委員会の審議を経なければ内容の変更... 2022年10月25日
このひと 子どもと農業をつなぐ架け橋に ~ファーマーズ&キッズフェスタに託す思い ファーマーズ&キッズフェスタ2022 実行委員長 (㈱れんこん三兄弟 代表取締役) 宮本貴夫 氏 日本農業法人協会が主催する「ファーマーズ&キッズフェスタ2022」が11月12~13日、東京の日比谷公園で開催される。プロの農業者が都会の子どもたちに農業の素晴らしさを伝えるこの催しは2019年まで10回続けられてきたが、コロナにより20年は中止、昨年は規模を縮小して開催してきた。3年ぶり本格開催となる同フェスタへの思いを宮本貴夫実行委員長(㈱れんこん三... 2022年10月25日
〈本号の主な内容〉 ■労働者協同組合法が10月1日施行 ワーカーズコレクティブ、ワーカーズコープが記念イベント 中家徹JCA会長が歓迎の談話 ■持続可能な農業・地域共生の未来づくりへ さらなる進化めざす わがJAの取組み(集中連載第3回) 〇JAおちいまばり(愛媛県) 代表理事理事長 渡部浩忠 氏 〇JAさがえ西村山(山形県) 代表理事組合長 安孫子常哉 氏 〇JA福島さくら(福島県) 代表理事組合長 志賀博之 氏 〇JA東京あおば(東京都) 代表理事組合長 久保秀一 氏 ■第1回 直播たまねぎ現地研修会 JA全農、農研機構 東北農業研究センタ... 2022年10月15日
先の9月16から18日、東京・浜松町にある東京都立産業貿易センターで第7回目のオーガニックライフスタイルEXPOが開かれた。これと併行して日本オーガニック会議の主催によるオーガニックカンファレンスとして、各種パネルディスカッション等が続いた。 日本オーガニック会議は先に取り上げたことがあるが、「サスティナブルな社会実現のため、有機農業を核とした持続可能な農業やオーガニック市場の拡大を目的として、生産・加工・流通、その他関連事業の実務者等が横断的に集う会議。政策立案者や学識者等とも協力しつつ、建設的な議論を活性化し、政策提言等を行い、イノベーティブな行動変容を創り出すプラットフォーム」を目... 2022年10月5日
このひと 国産飼料原料生産拡大へ ~子実用とうもろこし栽培のこれから~ 日本メイズ生産者協会 代表理事 (有)柳原農場 代表取締役 柳原孝二 氏 昨今の輸入飼料原料の高騰を契機に、飼料の国産化に改めてスポットが当たっている。こうしたなか、10年前に配合飼料の主原料となる子実用とうもろこし(子実コーン)を北海道で生産開始した農家を中心に、今年4月「日本メイズ生産者協会(JMFA)」を設立し、生産拡大に向けた活動を展開している。農家自ら普及に取組む背景と展望を同協会の柳原代表に聞いた。 連作障害回避の輪作作物として... 2022年10月5日
トーストやサンドイッチにする四角いパンは英国発祥。固焼きで棒状のバゲットや三日月型のクロワッサンはフランス生まれ。前者が日本で「食パン」として定着したのは、明治政府と英国との親密な関係が背景だという説がある。 また、第2次世界大戦後は米国から援助物資として大量の小麦が供与され、学校給食はパン食が基本になった。給食の「コッペパン」は日本独自の名称だが、米国式のパンが原型らしい。 食の欧米化が小麦の消費を拡大させた。農林水産省の統計によると、1965年度の国民1人あたり年間供給量は米112kg、小麦29kg。昨年度は米52kg、小麦32kgだった。米は半減し小麦は横ばいだ。生活様式や家族... 2022年9月25日
アングル 農協を取り巻く課題と対応方向 農林水産省 経営局 協同組織課長 姫野崇範 氏 JAグループは昨年10月の第29回JA全国大会で「持続可能な農業・地域共生の未来づくり~不断の自己改革によるさらなる進化」を決議し、農協改革の実践を深めている。管轄する農林水産省経営局協同組織課の姫野崇範課長に、情勢・課題をどう捉え、今度どう対応していくかについて聞いた。 農業者が農業で発展できる環境づくりを ■農業を取り巻く情勢と課題をどのように捉えているか。 昨今の世界と日本の人口の動きの違いを意識し... 2022年9月25日
このひと 農林水産業のこれからの国際関係 農林水産審議官 小川良介 氏 食料・農業を取り巻く世界の情勢は、コロナ禍やウクライナ紛争など予測困難な中、激変してきている。農林水産業をめぐる国際情勢とこれからの国際関係について、この7月、農林水産審議官に就任して国際関係を担当する小川良介氏に聞いた。 動かなくなった平和前提の貿易ルール ■これまでの国際交渉と昨今の農林水産業を巡る国際関係をどのように受け止めるか。 これまでの私の仕事は、消費・安全行政の業務が多かった。その世界に入ったのは、日本でBS... 2022年9月15日
農林水産大臣に農政通で現場に精通した野村参議院議員が就任したことも手伝ってか、食料安全保障をめぐる議論はよりにぎやかさを増しつつあるようにも感じられる。 野村農相は新聞社インタビューで、食料価格の高騰にともない、「食の基本になる麦や大豆、こういったものが(国産は)非常に不足している」と述べ、麦・大豆増産に政策を集中していくことを強調している。今回は、これはこれで必要であり、重要な対応であると受け止めていることを前提にしての話である。 8月18日の農政ジャーナリストの会で、福島大学の生源寺眞一食農学類長が語っていたが、日本では「フードセキュリティ」を「食料安全保障」と訳して両者が同意語... 2022年9月5日
このひと 農業経営体の確保・育成への課題 農林水産省 経営局長 村井正親 氏 持続的な農業の維持・発展へ、わが国における農業経営体の確保・育成は喫緊の課題となっている。7月、農林水産省経営局長に就任した村井正親氏に、その現状と課題、これからの政策方向などを聞いた。 農地を担い手にしっかり使ってもらうことを土台に ■昨今の課題認識から。 世界全体に不透明感が増している状況下で、食料の安定的な供給に改めて国民の関心が高まっている。 当然、農水省はこれに応えていく使命がある。経営局は人、農地といった農業の生産... 2022年9月5日
また記者時代の思い出話で恐縮だが、2006年度の食料自給率(カロリーベース)が39%に下がったことを受け、毎日新聞に連載記事を書いた。農林水産省に食料安全保障課(現・食料安全保障室)が新設され、自給率向上を目指す国民運動「フードアクションニッポン」が始まったころだ。 翌07年度の自給率は40%を回復し、08年度は41%に上昇した。国を挙げた施策やキャンペーンが功を奏したのか。それとも、食料安全保障に警鐘を鳴らす報道が国民を動かしたのか。 違うだろう。当時の農水省は国内の生産増を理由に挙げた。しかし、07、08年は海外産地の不作や市場への投機資金流入で穀物価格が急騰。貿易統計によると、... 2022年8月25日
このひと 4Hクラブ活動とこれからの農業者 全国農業青年クラブ連絡協議会(全協=4Hクラブ) 会長 山浦昌浩 氏 全国の若手農業者で構成される4Hクラブ(約670クラブ、クラブ員約1万人)の全国組織である全国農業青年クラブ連絡協議会(=全協)は6月28日に通常総会を開催し、会長に山浦昌浩氏(新・長野)を選任した。農業生産法人の社員から初の会長に就任した山浦氏に、これからの農業者像と4Hクラブの活動への想いを聞いた。 コミュニケーション取り戻し組織力強化 ■会長就任の抱負から。 4Hクラブの長野県会長や全国の... 2022年8月25日
第65回 全国野菜園芸技術研究会 東京大会 開催記念増刊号 アングル 原料高騰、脱化石燃料時代の施設園芸 公益財団法人 園芸植物育種研究所 理事長 丸尾達 氏 肥料原料や原油価格が高い水準で高騰し、農家の経営に大きく影響を及ぼしている。さらに施設栽培では、今後、CO2排出ゼロ、脱化石燃料を具体的な目標に掲げる「みどりの食料システム戦略」による生産性向上と持続可能性の両立への関心も高い。施設園芸がめざす方向について園芸植物育種研究所の丸尾達理事長に聞いた。 ハウスリノベーションを積極的に ... 2022年8月18日
このひと 農業・農村の課題と新潮流 農林水産省 農村振興局長 青山豊久 氏 わが国の農業・農村を巡る環境は昨今の世界情勢も受けて、その変化をさらに加速させ、質的にも大きく変わってきている。農業・農村の新たな潮流と対応方向について、この6月農水省農村振興局長に就任した青山豊久氏に聞いた。 地域の維持・活性化は各省共通の課題 ■農村振興への想いから。 5月末の愛知県での明治用水の漏水を契機に、改めて農業農村整備は歴史の上に成り立っていることを実感した。明治用水は江戸時代から地域の有志が全財産を投入して造成しよう... 2022年8月15日
このところ食料安全保障さらには食料・農業・農村基本法(以下「基本法」)の見直しを巡る議論が活発化している。自民党は、総合農政調査会と食料安全保障に関する検討委員会等による合同会議で、5月19日に食料安全保障政策に関する提言をまとめた。これを受けて政府は6月7日に経済財政運営と改革の基本方針を閣議決定。同じ7日に新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画をやはり閣議決定しており、さらに6月21日には農林水産業・地域の活力創造プランを改訂している。 いずれも基本的な内容には変わりなく類似したものとなっているが、活力創造プランを取り上げてその中身を見れば、直面する危機に対応するために必要な施... 2022年8月5日
緊急特集 持続可能な農と食のために 特別座談会 農業生産拡大と食料安定供給に向けて 今なすべきこと 農林中金総合研究所 執行役員基礎研究部長 平澤明彦 氏 パルシステム連合会 副理事長 松野玲子 氏 JA全農 代表理事専務 安田忠孝 氏 新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアとウクライナの紛争などにより、世界的に食料安全保障のあり方が注目されている。食料の安定確保に向けて何をなすべきなのか。現状と課題を踏まえながら、生産者、消費者それぞれの思いと取組方向、研究者による提言から、これからの食と農を探る。 食と農の現状に思うこと ... 2022年8月5日
福島原発事故の被災地では、スマート農業の導入が進んでいる。農業者が大幅に減ったので、少数精鋭で農地を守り、生産を維持しなければならない。先進技術による作業の効率化がその助けになることは間違いない。 福島県飯舘村で和牛の繁殖を手がける男性は、牛の体に付けたセンサーで体温を常時計測し、発情や分べんの兆候があるとスマホに情報が届くシステムを使っている。子どもの教育などの事情で村に帰還せず、通いで畜産を営む彼にとって、離れた場所から牛の状態を把握できる技術は強い味方だ。 実は「スマート農業は『もろ刃の剣』ではないか」と思っていた。少人数で農業ができるようになれば「地域のにぎわい回復」という意... 2022年7月25日