日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2023年2月15日号

2023年2月15日

第69回 JA全国青年大会 記念鼎談

ピンチの今こそ最大のチャンス
~多様な農業の担い手を活かすために必要なこと~

 

全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長
佐藤崇史 氏

全国農業青年クラブ連絡協議会(全協=4Hクラブ)会長
山浦昌浩 氏

農林中金総合研究所 主任研究員
小針美和 氏

 

 第69回JA全国青年大会が2月21・22日、千葉県・千葉県文化会館とウェブを併用して開催される。ここでは、今大会を記念し、JA全青協の佐藤崇史会長、4Hクラブの山浦昌浩会長、そして農中総研主任研究員の小針美和氏にお集まりいただき鼎談していただいた。両会長とも異業種から農業にのめり込み青年組織のリーダーとなった。テーマは、その経歴からも「多様な農業の担い手を活かすために必要なこと」とした。


 

農業とわたし

 

 本社 ご自身の自己紹介から。

JA全青協 会長 佐藤崇史氏

 佐藤 JA全青協の会長は、私で69代目になり、全青協は新年度で発足70周年を迎えます。現在、全国約5万人の仲間がいます。
 生家は自家消費程度の耕作はしていましたが農家の出身とは言えず、学校を終わってからは建築士と施工管理士の資格を得て建築関係の仕事に10年ほど就いていました。とにかく忙しく家族と一緒に過ごす時間が欲しいと思った時に、専業農家の妻の実家に後継者がいないことから、子どもが小学校に上がるタイミングで就農しました。JA青年部には建設業の時代から誘われて加盟していました。農家でなくても加入できるJAもあるんです。先輩に農業してみたいと相談したら、「やめとけ」ではなく「早くやれ」(笑)と言われていました。今、妻の実家のブロイラー養鶏のほか、叔父方の水稲、大豆を農事法人で携わっています。

4Hクラブ 会長 山浦昌浩氏

 山浦 私も全くの異業種から32歳で就農しました。長野県野辺山のホウレンソウを中心とした法人㈱アグレスのサラリーマンです。私も4Hクラブの69代目会長ですが歴代で初めてのサラリーマン会長で、これも一つの時代の流れではないかと思っています。
 父が設備会社を経営していた関係で私も工事現場で働いていましたが、20歳くらいのとき国際支援に夢を持ち、イギリス留学等を経て27~30歳までカンボジアで国際支援の現場に立ちました。その後、帰国せざる得なくなり10tドライバーなどをやっていたとき、海外で農業に取り組もうとするベンチャー企業に誘われ、海外で仕事をしたい一心で飛び込みました。その後、今の会社に誘われて入社し9年目になります。
 海外というテーマから偶然農業界に縁を得たのですが、現場作業一つひとつが楽しかった。社長の指示で4Hクラブに加入し役員に就いてからは、県や日本全体の農業界に触れることになりさらに面白いと思いました。この業界は多くの課題があり、取り組むことがまだまだたくさんあることに魅力を感じ活動してきて、気づいたら全国の会長になっていました。

農林中金総合研究所 主任研究員 小針美和氏

 小針 私の所属する農林中金総合研究所は、農協信用事業の全国組織、農林中金グループのシンクタンクとして、国内外の農林水産業や経済金融、協同組合の取組みをフォローしています。特に、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻をきっかけとした国際情勢の変化のもと、現在は食料安全保障が弊社の重要な調査テーマのひとつとなっておりまして、私も国内農業政策、特に食糧の供給に密接に関連する水田農業政策や肥料情勢の調査を担当しております。
 プライベートでは、栃木県のいちごと米を作る農家の一員でもありまして、農家仲間も多く、農協青年部や4Hクラブのメンバーや卒業生とも交流があります。これからの農業を担う青年農業者の取組みは、調査研究としてももちろんのこと、自分事としても関心が高く、今日お二人のお話をおうかがいできることをとても楽しみにしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

それぞれの活動の柱

 

 本社 JA全青協、4Hクラブの組織の紹介と活動のポイントを。

 佐藤 JA青年組織は、まず単組域ごとに青年部があり地域ごとに支部を設けている所も多々あります。その単組同士が県域で集まり県段階の代表者が全青協という会議体で全体の方向性や年間の活動を決めています。
 我々は「ポリシーブック」を毎年策定しています。地域ごとにいろいろな課題がありますが、大まかな全体像と方針を全国版として作り、県青協は県の課題や単組の声を中心に作っていきます。単組ごとにポリシーブックを策定しているところもあります。
 ポリシーブックで重要なことは、課題を目で見てわかるようにすることです。それに対しどうアクションを起こしていくか、一農家として仲間とともに何をしていくかを〝自助〟、農協とともに何ができるのかを〝共助〟として考える。それでも解決しない問題は責任ある政策提言を行い、〝公助〟として行政に要望する。自分達の声を方向性として示していく。オリジナリティある活動をするのはもちろんですが、目線を合わせる行動指針の意味合いも含めてポリシーブックを策定しています。それが政策提言や要請活動で全員が同じ姿勢を示すことで重みを増すのです。
 アメリカの青年農業者団体はこれを100年近く実施しています。我々も政権交代で生まれた民主党政権に対し何を要請していくのか、自分達の意見をまとめて公表しようとしたのが策定の契機でした。
 毎年、数十ページを一言一言、一年かけて検討していく改訂作業がすでに僕らのレベルアップ、成長につながっています。自分達が知識を得ないと改訂できない。僕らのアクションプランは現実に合っているのか、時代遅れなのか、新たな課題を追求していくべきではないか、等々を議論しながら策定していきます。今、水田、青果、畜酪、農業政策、農業経営、組織強化の6つの重点項目の部会で検討しています。
 JA青年組織は近い将来JA経営のリーダーになっていかなければなりません。その育成のための学びの場でもあって欲しいと、自分が携わっている分野以外も含めて幅広い角度から議論をしています。基本法の改正や食料安保、国消国産などに、なぜ取組まなければならないのか、そもそも論を理解し説明できるようにならなければコミュニケーションは図れません。
 活動することで成長していく。10年先、20年先の明るい農業に繋げるためにも成長を柱に活動しています。

 山浦 我々が組織する「全協」の最大の目的は、地域のクラブ員がしっかり活動していくことで農業を中心に地域にリーダーを輩出していくことです。Head、Health、Hand、Heartの4Hをしっかり学び成長し技術を磨いていくことが、我々の活動の本意です。
 主な活動は、全国の意見や研究発表を共有することとクラブ員の交流です。具体的には、全国農業青年交換大会を毎年設けているほか、全国青年農業者会議でプロジェクト発表や意見発表を行っています。各地域から出してもらった意見を全国で共有し、互いに切磋琢磨し学びや技術向上に貢献しています。
 我々農家は親の代から足下ばかりを見て働いてきました。しかし今、相当なスピードで社会が変化している時代に、我々はしっかり横のコミュニケーションをとり、社会情勢を学び取っていかなければ農家として立ち行かなくなっていきます。人口が減り就農者が減っていくなかで孤立していく農家も多数います。そうしたみなさんにも我々の組織をもっとPRして、コミュニケーションをしっかり保ち、日本の農業を守っていくのが我々の使命だと思います。
 4Hクラブの認知度を高め、孤立する農家や新規就農者も含めて横のネットワークを強化していきたいと思います。

 

コロナ禍での活動・運営

 

 本社 この間のコロナ禍での活動や運営は大変だったと思いますが。

 佐藤 僕ら若手グループの良さや強みは、集まってコミュニケーションがとれること。この何十年と続いてきたものが一瞬で失われてしまいました。オンライン会議等を取り入れていかなければならないという話はすぐに出て、一気に使いこなせるまでになりましたが、現在は少しずつ実での集いも取り戻し併用が当たり前になりました。この形はしばらく続くと思います。確かにオンラインは移動時間のロスをカットできる良さがあります。集う部分と情報確認の部分というように両方の使い方が上手くできるようになりました。
 最初は試行錯誤の1年でしたが、苦しいときこそ歩みを止めずに活動を続けなければならないと、盟友全員が認識しここまで来ることができたと思います。

 山浦 活動が実際に止まっていました。コロナ以前からZoomで理事会等を行ってきましたが、形式的な進行やそれ以上の関係性が深まりづらく、盛り上がりに欠けました。我々の一番のイベントである全国青年農業者会議も各県単位でのモチべーションの差や県の判断には抗しきれず、活動が止まってしまったところもありました。この2年間のマイナスを何とか取り戻していかなければならないと、昨年からは総会も含めてリアル開催に取組み、各ブロックや県に行ってコミュニケーションの価値を伝えているところです。
 一人ひとりと対話し価値を伝え、思いを共有していく地道な活動を、オンライン等も使って続け、次の世代に4Hクラブの新しい時代を創って欲しいと思っています。

 小針 コロナ禍になってから、全青協では、毎月オンラインの勉強会を開催していらっしゃいますね。私も講師としてお声がけいただきましたが、例えば農水省の職員からの情勢報告に対する質疑応答など、新しい形の対話の機会ができたことは大きな収穫ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 佐藤 コロナ禍で集まれないが成長し続けなければならない、何かできないかとオンラインでも座学を毎月最終月曜日の16時から1時間始めました。家に居ながらにして毎月何か新しい情報を手にできる環境を提供し続けたいと思っています。〝箱〟がないので人数制限がない。集まりの後や飲み会の前に地元の仲間と一緒に見るのもいい。
 コロナ禍でもできることを探した結果の〝副産物〟が走りだしています。ぜひ共有していきたいと思います。

 小針 講師を務める側としても、若手農業者と直接コミュニケーションでき、生の声に触れることで学びや発見につながり有意義だと思います。

 山浦 セミナーの情報はどのように伝達しているのですか。

 佐藤 我々がSNSで発信するのも多いし、県域の事務局あてに発信し現場まで落とし込むようにしています。この3年間でこれだと思ったのは、やる日と時間を固定すること。テーマはわからなくても必ず何かある。それがずっと続く。どんなに忙しくても日時さえ決まっていればスケジュールを合わせることができる。そこに調整する習慣をつくりパスワードさえ覚えれば、いつでも参加できる状態がつくれる準備だけは維持してきました。

 山浦 何があるかわからないがこの日あるのはわかっているから、時間を空ければ参加できる…なるほど。

 佐藤 同じ場所で待ち続ける。ブレない方がよかったのかなと……。

 小針 その1時間を区切ってしまうことが重要ですね。

 佐藤 アーカイブを持っているので、そこに入れない人も後からいくらでも見ることができます。「この話はこの前の小針先生の解説を見てください(笑)」と。自分に知識がなくても知識のある人を知ることがメリットになる。毎月ここで知識のネタをどんどんため込んでいくのがいいのかな。

 

経営・地域と組織活動

 

 小針 ご自身の経営だけでもご多忙ななか、組織のリーダーの役割を務めるのは大変なことと思いますが、組織での経験が自身の経営や地域活動に活かされている感じられることはありますか。

 佐藤 一番得したのは、岩手県内や日本中に友達ができたこと。農業者という接点だけで友達ができる。単組でも地域中に友達ができる。青年部活動の一つの醍醐味だと思っています。
 いろいろな政策や新しい技術など、自分達の生活に直結して知っていた方がよいと思われることも意外と知らないことが多いことを課題として感じます。そのためにも青年部のネットワークを通じて青年農業者にダイレクトに発信していくことは、活動を展開していく上でもプラスになってきたのではないかと思います。
 逆に、この絆があるから青年部活動が成り立っている、そして営農の励みになっていると感じています。
 自分の経営はものすごく忙しいけれど、この5~10年くらいは、自分に投資する時間ではないかと思っています。

 山浦 アグレスという会社に入った時、僕の農業界はアグレスしかなかった。標高の高い山のなかで地域特有のことしかわからなかった。
 それが長野県会長になり県の農業界が見えるようになり、友達や仲間ができさらには個人的な交流もできるようになった。全国に出れば全国にそういう仲間ができ情報をやり取りし、旅行がてら会いに行くこともできる。
 情報交換できる、相談できる相手がすぐ思い浮かぶ。僕の頭の中に全ての情報がなくても、佐藤さんに聞けばどこかのアンテナに引っかかる、小針さんに聞けば数字を持っている等々、自分の力にない力を持つことができる。これ以上のメリットはないのではないでしょうか。
 知ろうとしなかった情報さえも入ってきます。例えば、僕は農水省の政策審議会に参加していますが、審議前にアドバイザー的な方が講演します。先般のドン・キホーテの東南アジアのマーケットの話は非常に面白く、輸出のチャンスについて勉強になりました。こうした情報をぜひ仲間で共有していきたいと思います。
 面白い情報もしっかり読み解けないと次の一手を打つことができません。これが日本農業の大きな課題だと思っています。
 そのためには、もっともっと危機感を持たなければなりません。このままでは担い手はどんどん減り、畑はどんどん余っていく。
 ではどうすればいいか、審議会の資料や大企業の人達の話のなかに一つの答えがあります。それを自分で掴みにいくことです。ネタをしっかりすくわなければ解決策は生まれません。まず情報をしっかり受け取っていくことだと思います。

 

日本農業のこれからの担い手

 

 本社 これからの日本農業の担い手をどのようにイメージしていますか?

 佐藤 労力と産地形成面からみると、作るのが専門でなくても何等かそこに携わってくれる人も担い手ではないかと思います。専業でフルに仕事をする人、半日だけ副業的に作業する人など、人や時間が入れ替わろうがトータル的に生産が収まればいいのではないでしょうか。専業の隙間を〝二足の草鞋〟が埋めていく。そこに違和感やアレルギーをもつ時代ではありません。
 例えば、ホウレンソウを作るのにこれだけの人数が欲しいと、目的さえはっきりしていれば、いろいろな働き方の人に対し、一緒に作業できるシステムや体制を整えていくことが今の農業界に一番必要だと思います。多様な担い手を受け入れる環境を創っていかなければ人が来ないのは当たり前。作業のマニュアル化やそれを伝達する手順など、経験の浅い人や未経験者で技術がなくてもある程度こなせる受入れ土台を整備していかなければなりません。
 「人・農地プラン」などのこれからの農政の方向性に、多様な担い手をどこまで当てはめるか。地域農業の「主たる担い手」になることは無理でも、半農半Xなどで部分的に担うことで、最後はトータルとして収まればいいと考えていく必要があるのではないかと思います。

 山浦 食を担うのか、農業を担うのか、畑を担うのか、考え方はいろいろあって、農政がどこを目的とするのかが問われていると思います。
 例えば建築物が出来上がるまでの工程には何百という職種が関わっています。農業も土地を用意する人、耕す人、播種や収穫など専門家がいてもいいと思います。例えば、この面積でこれくらいの収穫を上げたいとなった時、それぞれの作業にレイヤーがいて順番にこなしていく方が効率的で生産技術も安定する。もちろんリーダー同士で作り方は一貫しなければなりませんが、そこさえ整ってしまえば、効率的で生産量も増えることになるはずです。
 我々法人は役割分担で仕事をしているので、効率を上げる意味では空いている畑を取得していくのは自然の流れかなと思います。この国の食を守るためには、国としてもそちらの方をサポートしていくべきではないでしょうか。
 家族経営、個人農家をないがしろにしろということではなく、マクロで見た農業とミクロで見た農業は全く違います。個人農家を守るためにやらなければならないことと、日本の農業を守るためにやることは全く別物で、であるからこそ新たな基本法の審議もなかなか難しいと思っています。

 小針 家族経営、法人経営どちらにしても多様性を受け入れる体制を創って、そこをきちんとマネジメントできる人、組織でなければなりませんね。

 山浦 大企業のようなことはできませんが、役割分担が大きなポイントですね。私は情報収集や新規事業開発が役目で農業の現場からだいぶ離れています。本来社長がやるべきことを私がやり、社長は現場の管理が得意。得手不得手を見据えた上で、個々の受け皿なる部門に配置する。
 農業はルーティンワークになりがちですが、僕は新しいことに挑戦していきたい。もう少し展開のある仕事をしたいと「未来開発室」を設置して加工品事業などを手がけています。先細りする日本の食のマーケットの中で、農業をテーマとする別の事業で収益を保ちながら、会社を守っていきたいと考えています。

 佐藤 私が就農して家族や仲間とともに仕事をするときに、農家には朝礼がないことに違和感を持ちました。その日何をするかが明確に共有できていない状態で仕事を始めるのが当たり前。無茶苦茶、無駄なことをしていると思いました。朝礼をして仕事モードに切り替えることで事故や無駄が減る。
 家族以外と仕事をするときも、目で見てわかる明確な基準を作業者に対して伝え、同じモノサシを持つ。数字と視覚にこだわって伝えることを意識しています。

 小針 さらに農業従事者の減少が進み、少数の担い手で安定的に食料を供給していくためには、生産性の高いチームの構築が必要となります。法人か個人かではなく、それぞれの個の特徴を活かしつつ、チームでも動ける体制、仕組みづくりをいかに作っていくか、これからますます重要になってきますね。

 

日本農業をつないでいくために

 

 本社 日本農業をつないでいくための継承の視点から担い手を巡る課題を。

 佐藤 新規就農には親元就農と新規参入があり、それぞれが使える制度がありますが、新規参入の方が手厚いのが実態です。しかし、全体数の農業者を確保していく上では、親元就農をある程度確保した方が効率的だと思います。親元就農がしっかりと事業継承していけるかどうかは、就きたい経営体になっているかどうかが一番大きい。
 バトンをつなぐルールは事前に会話し共有しておかないと、これまでのノウハウも移りません。バトンを渡して伴走するタイミングが必要で、そこを避けているうちは絶対に解決しないと思います。
 準備することがいっぱいあるので、行政やJAのアドバイス、支援も必要です。お金だけでなく情報や手続き等の支援をするような関係をしっかりつくっていけるかどうかにかかっていると思います。

 山浦 「できる人に渡したい」とうちの代表はよく言いますが、それができるのは本当にごく一部で、やはり親にすれば子どもに継いで欲しい気持ちがあると思います。地域でも70~80歳になっても経営権を持っている人がいる。子どもは50~60歳になっているとそこからはもう学べない。相続の段階で銀行との交渉の仕方もわからない。
 実践に勝る教育はない。子どもが腹を決めているのであれば、とにかく経営を継承する。理想論としては、20代で渡し、それをサポートする親であって欲しい。時代に乗っていく判断ができる若手のうちに、新しい農業の形に変えていくためにも必要だと思います。
 「就農する前に何をしておいたらいいか」という質問をよく受けますが、「農業以外のことを全力でやっておいた方がいい」と答えます。農業以外の経験値が初めて農業との新しいイノベーションを起こす。農業の技術は現場に入ってからでも取り入れることができる。
 今の農業界で強く感じるのは、異業種から参入した人達が圧倒的に活躍していることです。今までにない農業スタイルを創っています。今後の農業は、農業以外の視野ももたないと勝負できないと思います。そういう農業の教育がもっともっとあった方がいいと思います。

 小針 若手が活躍する場を作るために、法人経営に必要とされることは。

 山浦 代表の視野の広さ、器の大きさが必要だと思います。自分の不得意なこと、できないことは人に譲り渡す。様々な分野に視野を広げそれに合う人材を違う業界からも引っ張ってくる。人に投資できるかどうかだと思います。

 佐藤 個人経営者はみなさん社長だが、社長同士の会話だけでは次に進まない。それぞれの価値観をぶつけるだけです。必要なのは〝任せる力〟です。信じて任す力がないと組織はまとまらないと同様、任せる力が担い手を育て、事業が継承され伸びていくキーワードだと思います。

 小針 人への投資と任せる力。この2つがこれからの農業、組織づくりにとって非常に重要だと改めて思いました。

 

組織間の連携と大会にむけて

 

 本社 お互いの組織はどのような連携ができそうかも踏まえて、JA青年大会や青年農業者会議に向けたアピールを。

 山浦 これまでできなかった他団体との交流が再び動き出しているなかで、JA全青協は一番近い存在です。両組織に参加している会員も多く、コミュニケーションの大切さは共有しています。お互いの考えで合体できる部分は合体しそれぞれが高め合うことが大切だと思います。
 すでに地域レベルでは4HとJA青年部が一緒に活動をしている所もあります。共に学び合い成長し合っていく時代は、目の前にきていると思います。ゆっくりでも確実に進めていくためには、まず、ビジョンを定めそれに歩み寄っていくような話し合いを優先していく必要があると思います。
 4Hクラブでは、3月に全国青年農業者会議を東京で開催します。ぜひ、2月は全青協、3月は我々の全国的な集まりに参加することで、熱い思いをぶつけ合い学んだものを地域に持ち帰り、我々の活動の凄さを後輩たちにしっかり伝えて欲しいと思います。

 佐藤 JA全国青年大会は、久しぶりの実開催となります。スローガンは「5万盟友(パワー)、未来を彩る花となれ!!~ピンチの今こそ最大のチャンス~」としました。5万人の盟友のパワーを結集した全国の様々な熱い思いが発表されます。そこで共感したもの、得たもの、気づき等を、どうぞ思いっきり〝パクって〟ください。パクり合うことが次の新たな成長につながります。どんどん真似をして切磋琢磨していけるような大会にし、熱い第一歩がもう一回スタートできればと思っています。

 小針 足もとの農業経営をめぐる環境は、国内需要の減少や資材高騰のもと非常に厳しくなっており、気象変動など予測が難しいリスクも高まっています。言葉を選ばずに言えば、これからの農業経営は今まで以上に潰れることも覚悟しなければならない状況にあり、だからこそ、潰れないためにどう努力していくのかを考えていかなくてはなりません。
 お二人の話は、経営の上でも組織活動面でも、これからの新しい時代のために何が求められているのか、非常によく考えられていて、大変示唆に富むものでした。その若い力とアイデアをどう活かしていくか。お二人のお考えや活動には共通するところも多いですが、それぞれのオリジナリティもあり、両者が掛け合わされるとさらなる相乗効果が生まれそうです。今年は全国大会がリアル開催されるなど、これからは青年組織同士の交流を深める機会も増えていくのではないでしょうか。活発な青年組織活動が農業現場の活性化につながっていくことを期待しています。


 

〈本号の主な内容〉

■第69回 JA全国青年大会 記念鼎談
 ピンチの今こそ最大のチャンス
 ~多様な農業の担い手を活かすために必要なこと~
 全国農協青年組織協議会 会長     佐藤崇史 氏
 全国農業青年クラブ連絡協議会 会長  山浦昌浩 氏
 農林中金総合研究所 主任研究員    小針美和 氏

■地域農業の担い手の要望・課題に提案
 生産基盤を未来につなぐ TACの活動
 JA全農主催「TACパワーアップ大会2022」から

■水稲作の初期防除のポイント
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■令和4年度 全国JA家の光食農教育リーダー研修会
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