日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

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日本農民新聞 2022年9月5日号

このひと   農業経営体の確保・育成への課題   農林水産省 経営局長 村井正親 氏    持続的な農業の維持・発展へ、わが国における農業経営体の確保・育成は喫緊の課題となっている。7月、農林水産省経営局長に就任した村井正親氏に、その現状と課題、これからの政策方向などを聞いた。   農地を担い手にしっかり使ってもらうことを土台に ■昨今の課題認識から。  世界全体に不透明感が増している状況下で、食料の安定的な供給に改めて国民の関心が高まっている。  当然、農水省はこれに応えていく使命がある。経営局は人、農地といった農業の生産...

〈行友弥の食農再論〉不思議の勝ち

 また記者時代の思い出話で恐縮だが、2006年度の食料自給率(カロリーベース)が39%に下がったことを受け、毎日新聞に連載記事を書いた。農林水産省に食料安全保障課(現・食料安全保障室)が新設され、自給率向上を目指す国民運動「フードアクションニッポン」が始まったころだ。  翌07年度の自給率は40%を回復し、08年度は41%に上昇した。国を挙げた施策やキャンペーンが功を奏したのか。それとも、食料安全保障に警鐘を鳴らす報道が国民を動かしたのか。  違うだろう。当時の農水省は国内の生産増を理由に挙げた。しかし、07、08年は海外産地の不作や市場への投機資金流入で穀物価格が急騰。貿易統計によると、...

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日本農民新聞 2022年8月25日号

このひと   4Hクラブ活動とこれからの農業者   全国農業青年クラブ連絡協議会(全協=4Hクラブ) 会長 山浦昌浩 氏    全国の若手農業者で構成される4Hクラブ(約670クラブ、クラブ員約1万人)の全国組織である全国農業青年クラブ連絡協議会(=全協)は6月28日に通常総会を開催し、会長に山浦昌浩氏(新・長野)を選任した。農業生産法人の社員から初の会長に就任した山浦氏に、これからの農業者像と4Hクラブの活動への想いを聞いた。   コミュニケーション取り戻し組織力強化 ■会長就任の抱負から。  4Hクラブの長野県会長や全国の...

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日本農民新聞 2022年8月18日(増刊)号

第65回 全国野菜園芸技術研究会 東京大会 開催記念増刊号   アングル   原料高騰、脱化石燃料時代の施設園芸   公益財団法人 園芸植物育種研究所 理事長 丸尾達 氏    肥料原料や原油価格が高い水準で高騰し、農家の経営に大きく影響を及ぼしている。さらに施設栽培では、今後、CO2排出ゼロ、脱化石燃料を具体的な目標に掲げる「みどりの食料システム戦略」による生産性向上と持続可能性の両立への関心も高い。施設園芸がめざす方向について園芸植物育種研究所の丸尾達理事長に聞いた。   ハウスリノベーションを積極的に ...

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日本農民新聞 2022年8月15日号

このひと   農業・農村の課題と新潮流   農林水産省 農村振興局長 青山豊久 氏    わが国の農業・農村を巡る環境は昨今の世界情勢も受けて、その変化をさらに加速させ、質的にも大きく変わってきている。農業・農村の新たな潮流と対応方向について、この6月農水省農村振興局長に就任した青山豊久氏に聞いた。   地域の維持・活性化は各省共通の課題 ■農村振興への想いから。  5月末の愛知県での明治用水の漏水を契機に、改めて農業農村整備は歴史の上に成り立っていることを実感した。明治用水は江戸時代から地域の有志が全財産を投入して造成しよう...

〈蔦谷栄一の異見私見〉食生活と水田農業のあり方を問い直すべき時

 このところ食料安全保障さらには食料・農業・農村基本法(以下「基本法」)の見直しを巡る議論が活発化している。自民党は、総合農政調査会と食料安全保障に関する検討委員会等による合同会議で、5月19日に食料安全保障政策に関する提言をまとめた。これを受けて政府は6月7日に経済財政運営と改革の基本方針を閣議決定。同じ7日に新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画をやはり閣議決定しており、さらに6月21日には農林水産業・地域の活力創造プランを改訂している。  いずれも基本的な内容には変わりなく類似したものとなっているが、活力創造プランを取り上げてその中身を見れば、直面する危機に対応するために必要な施...

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日本農民新聞 2022年8月5日号

緊急特集 持続可能な農と食のために 特別座談会 農業生産拡大と食料安定供給に向けて 今なすべきこと 農林中金総合研究所 執行役員基礎研究部長 平澤明彦 氏 パルシステム連合会 副理事長 松野玲子 氏 JA全農 代表理事専務 安田忠孝 氏    新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアとウクライナの紛争などにより、世界的に食料安全保障のあり方が注目されている。食料の安定確保に向けて何をなすべきなのか。現状と課題を踏まえながら、生産者、消費者それぞれの思いと取組方向、研究者による提言から、これからの食と農を探る。   食と農の現状に思うこと ...

〈行友弥の食農再論〉無駄やムラにも意味がある

 福島原発事故の被災地では、スマート農業の導入が進んでいる。農業者が大幅に減ったので、少数精鋭で農地を守り、生産を維持しなければならない。先進技術による作業の効率化がその助けになることは間違いない。  福島県飯舘村で和牛の繁殖を手がける男性は、牛の体に付けたセンサーで体温を常時計測し、発情や分べんの兆候があるとスマホに情報が届くシステムを使っている。子どもの教育などの事情で村に帰還せず、通いで畜産を営む彼にとって、離れた場所から牛の状態を把握できる技術は強い味方だ。  実は「スマート農業は『もろ刃の剣』ではないか」と思っていた。少人数で農業ができるようになれば「地域のにぎわい回復」という意...

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日本農民新聞 2022年7月25日号

このひと   今後の農政の取組み方向   農林水産事務次官 横山紳 氏      この6月、農林水産事務次官に横山紳氏が就任した。脱炭素化が世界的命題となる一方で、コロナ禍に見舞われウクライナ危機まで勃発するなど世界中で社会・経済活動に多大な影響が及んでいる厳しい環境下、農政の舵取りをどう進めていくのか、国際畑での経験も豊富な新次官に方向を聞いた。   食料安全保障上のリスクふまえた取組みを ■就任にあたって。  長期化するコロナ禍が世界中に及ぼしている影響は大きく、関連して昨年から顕著になってきた物価上昇の中、穀物...

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日本農民新聞 2022年7月15日号

このひと   日本の施設園芸のこれからと協会の役割   (一社)日本施設園芸協会 会長 大出祐造 氏    (一社)日本施設園芸協会は、6月の総会で会長に新たに大出祐造氏(前副会長、㈱誠和会長)を選任した。新会長に、日本における施設園芸のこれからと同協会が果たす役割を聞いた。   全国各地の現場の声も反映する環境へ ■就任の抱負から。  日本施設園芸協会の50年の歴史のなかで、会長には農水省出身や学識経験者が就任されてきたが、4年前に初めて会員企業から鈴木秀典氏(㈱大仙会長)が会長として選出された。  これは、協会会員自らが...

〈蔦谷栄一の異見私見〉化合させたい JAとワーカーズコープ

 労働者協同組合法は2020年12月に成立したが、その施行をこの10月1日に控える。労働者協同組合(以下「ワーカーズコープ」)連合会のシンクタンクである協同総合研究所によれば、労働者協同組合法の成立にともなって、ワーカーズコープの設立・活用について、現場から400を超える相談が舞い込んでいるという。福祉、医療、住まい・宿泊・暮らし、学び(教育・学習)、文化・芸術等、多様な分野からの相談がある中に、食・農・環境についての相談も多く、マルシェ、共同売店、子ども食堂、カフェ等とともに、有機農業、里山再生、農福連携、さらには竹林整備、都市緑化等についての相談が寄せられている。  この労働者協同組合法...

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日本農民新聞 2022年7月5日号

アングル   食料安全保障をめぐる情勢と対応方向   前 農林水産省 食料安全保障室長 (現OECD日本政府代表部参事官) 久納寛子 氏    新型コロナウイルスの世界的感染拡大、さらにはウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱などから、食料安定供給のリスクが顕在化し、食料安全保障についての議論が高まりをみせている。農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室で室長(取材当時。現OECD日本政府代表部参事官)を務めた久納寛子氏に情勢と対応方向を聞いた。   食料安全保障の基本は国内農業生産の増大 ■食料安全保障をめぐる情勢と課題か...

〈行友弥の食農再論〉「優等生」の嘆き

 若い人には驚かれそうだが、子どものころ、バナナは高級品のイメージがあった。それが今は安価な果物の代表格だ。総務省の家計調査によると、2人以上の世帯が昨年1年間に購入したバナナの平均数量は19.8kg。リンゴの10kg、ミカンの9.7kgを大きく引き離し果物類のトップだ。  「物価の優等生」といえば鶏卵だが、バナナもそうだろう。かつて台湾産が主流だったバナナは1963年の輸入自由化をきっかけにフィリピンからの輸入が増え、それによって大きく値下がりした。おいしく栄養豊富なバナナを日常的に食べられるようになったことをフィリピンの生産者に感謝しなければならない。  しかし、そのフィリピンからSO...

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日本農民新聞 2022年6月25日号

このひと   外食産業のこれから   一般社団法人 日本フードサービス協会(JF) 会長 近藤正樹 氏    日本フードサービス協会の新会長に5月12日、近藤正樹(副会長、日本KFCホールディングス㈱顧問)氏が就任した。コロナ禍の逆境を乗り越えてこれからの外食産業の展開にどのように舵を切っていくのか、新会長に聞いた。 外食産業全体の元気を取戻す ■就任への思いから。  この通常のレベルではない厳しい事業環境の中、まさに身の引き締まる思いでお引き受けした。ケンタッキーからのJF会長は私で3人目。諸先輩の思いを受け継ぎ、外食産業全体が再び...

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日本農民新聞 2022年6月15日号

このひと   生協から見た食料安全保障 ~「つくる」と「たべる」が支え合い~   パルシステム生活協同組合連合会 副理事長 生活協同組合パルシステム東京 理事長 松野玲子 氏    コロナ禍、ウクライナ情勢など世界規模の緊急事態の渦中にあって、食料安全保障の重要性についての認識が広がってきている。消費者サイドとしてこの情勢をどうとらえているか、パルシステム生活協同組合連合会の松野玲子副理事長に聞いた。   産地とのパートナーシップを育む「産直」 ■組織の概要と、生産者との関わり方について。  パルシステム生活協同組合連合...

〈蔦谷栄一の異見私見〉日本農業のあるべき姿 議論を

 自民党はこの5月19日、総合農林政策調査会(江藤拓会長)、食料安全保障に関する検討委員会(森山裕委員長)、農林部会等による合同会議を開催して、食料安全保障政策に関する提言をとりまとめた。提言は大きく、「『食料安全保障予算』の検討方向」と「食料・農業・農村基本法の見直しを含む『中長期的な検討課題』」に分かれる。  「『食料安全保障予算』の検討方向」であげられている項目を列記すれば、①価格高騰対策、肥料の安定確保体制の構築、国内資源の有効活用、②輸入依存穀物(小麦・大豆・トウモロコシなど)の増産、備蓄強化、➂米粉の増産・米粉製品の開発、食品産業国産原料への切替促進等、④みどりの食料システム戦略...

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日本農民新聞 2022年6月5日号

このひと     次世代の農業経営者育成へ ~日本農業経営大学校の新たな挑戦~     アグリフューチャージャパン 代表理事理事長 兼 日本農業経営大学校 校長 合瀬宏毅 氏    日本農業経営大学校を運営するアグリフューチャージャパン(AFJ)は、日本農業経営大学校が設立10周年を迎えた今年度を契機に、2024年度を目途に新たな教育体制への移行を始めた。これからの時代の農業経営者育成に向けた教育のあり方のねらいとその具体策を、この3月末就任した合瀬宏毅AFJ理事長・日本農業経営大学校校長に聞いた。   ...

〈行友弥の食農再論〉給食を「学び」の場に

 穀物価格が急騰した2008年は、輸入食品をめぐるさまざまな問題が浮上した年でもあった。1月に起きた中国製冷凍ギョーザの農薬混入事件は、千葉と兵庫で10人が中毒症状を訴え、女児1人が一時、意識不明の重体になった。9月には基準値を超える農薬やカビ毒に汚染された輸入米が不正に転売され、学校給食にも使われていた事実が発覚した。  前者については、毎日新聞「記者の目」欄で論争が起きた。経済部の中村秀明記者は、翌年の消費者庁発足につながる消費者保護の強化論に疑問を投げかけ「消費者は守られるだけの存在でいいのか。食の安全や生産現場の環境・人権問題などについて『学び』を促すことも必要だ」と指摘した。  ...

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日本農民新聞 2022年5月25日号

このひと   JA青年組織活動のこれから   全国農協青年組織協議会 会長 佐藤崇史 氏      全国農協青年組織協議会(JA全青協)が5月19日開いた通常総会で、令和4年度の新会長に佐藤崇史氏(JA全青協副会長、岩手県農協青年組織協議会会長)が就任した。佐藤会長に、抱負や青年組織活動に対する思いを聞いた。   次世代につなげる 中期活動目標策定に力 ■就任しての抱負を。  コロナ禍において多様な活動が制限されている。地元の単組青年組織をはじめ、県域、全国域でも青年部の盟友は、少なからず活動に悩みを抱えている部分...

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日本農民新聞 2022年5月19日号

アングル   JA共済事業の明日に向けて   JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏      JA共済連は、5月19日に「令和3年度JA共済優績組合表彰」を開催し、令和4年度の普及推進で優秀な実績を挙げたJAを表彰する。これに先立ち、JA共済連の青江伯夫経営管理委員会会長に、これからのJA共済事業の展開方向への思いを聞いた。   ひと保障を強化、生命回帰を実現 ■令和3年度の普及推進結果を振り返って。  昨年度も新型コロナウイルスに翻弄された1年になりました。罹患された皆さまと、感染拡大により生活に多大なる...

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