日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈行友弥の食農再論〉スマート農業の光と陰

 福島第1原発事故で約6年間の全村避難を強いられた福島県飯舘村。その地で和牛の繁殖を営むある若手農家は、母牛の体に取り付けたセンサーで体温を測定し、出産などの兆候をスマートフォンに知らせるシステムを活用している。子育てなどの事情で隣町からの「通い農業」を続ける彼にとって、離れていても家畜の状態が把握できる仕組みは心強い味方だ。  人口減少と高齢化が一気に進み、農業の担い手が足りない被災地では、スマート農業の導入が進められてきた。南相馬市小高区では、自動運転のトラクターなどを使い、100ha規模で米やナタネなどを生産している株式会社もある。営農情報を統合的に管理する「農業クラウド」も導入し、そ...

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日本農民新聞 2023年1月25日号

特集:第68回JA全国女性大会   〈本号の主な内容〉 ■第68回 JA全国女性大会開く ■JA女性 想いをひとつに かなえよう☘  実開催・WEB併用で広くつながりを  JA全国女性組織協議会 会長 洞口ひろみ 氏 ■JA女性組織に期待する  全国農協青年組織協議会 会長 佐藤崇史 氏 ■JA女性組織、農業女子の活躍に期待します  農林水産省 経営局 就農・女性課 女性活躍推進室室長  渡辺桃代 氏 ■エーコープマーク品  いまおすすめのラインナップ ■未流通農産物の商品化  農家所得向上へJA全農の取組み ■JA全農の労働力支援の取組み ...

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日本農民新聞 2023年1月15日号

このひと   消費者と食品行政をめぐって   消費者庁長官 新井 ゆたか 氏      昨年7月、農林水産審議官から消費者庁長官に就任した新井ゆたか氏に、就任半年を振り返って、食品関係に絞って消費者行政への思いを聞いた。   消費者に関する施策を間口広く ■消費者庁長官に就任して半年。この間の感想から。  消費者庁は、商品の取引、製品や食品等の安全、表示など、消費者の安全・安心に関する問題を幅広く扱い、担当する省庁が明確でない、ルールがない、といった〝すきま事案〟と言われる問題も扱っている。設立当初、各省庁が所管する...

〈蔦谷栄一の異見私見〉21世紀の「武蔵野新田開発」構想

 新しい年を迎えたが、平和な一年となることを切に願う。  農業界では酪農に象徴されるように農家経営は逼迫し、経営の持続が懸念される中、食料安全保障や新基本法の検討、みどりの食料システム戦略の実践等重要課題が山積する現状にある。まさに農政のあり方も含めて抜本的な梃入れが求められるが、併行して地域レベルでの生産者や消費者が連携しての地域循環形成に向けての取組みも強く求められている。新年最初の記事でもあり、関連して自らの本年の目標、〝夢〟を語ってみたい。  江戸時代中期、享保の改革のいっかんとして行われた武蔵野新田開発を成功に導いた府中・押立村の名主で新田世話役として幕府に取り立てられた川崎平右...

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日本農民新聞 2023年1月5日号

2023 持続可能な農業・社会をめざして   〈本号の主な内容〉 ■年頭所感      野村哲郎 農相 ■JAグループトップ新春の決意  JA全中      中家徹 会長  JA全農      菅野幸雄 会長  JA共済連     青江伯夫 会長  農林中央金庫   奥和登 理事長  JA全厚連     山野徹 会長  家の光協会    栗原隆政 会長  ㈱農協観光  全国農協観光協会 櫻井宏 会長  文化連      八木岡努 会長 ■新春に想う  持続可能な社会づくりを地域レベルで  一橋大学 経済学部准教授 山下英俊 氏 ■20...

〈行友弥の食農再論〉1本の用水路から

 3年前、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲さんの記録映画「医師 中村哲の仕事・働くということ」を先日見た。中村さんについて一応は知っているつもりだったが、思っていた以上に偉大な人だったことがわかり、深く感銘を受けた。  中村さんは80年代からパキスタンで医療に携わり、旧ソ連の侵攻で荒廃したアフガニスタンにも診療所を開いた。戦乱と干ばつで農地はひび割れ、雑草も生えない状態だった。栄養と水の不足で単なる下痢でも命を落とす子どもたちに、彼は「100人の医者より1本の用水路だ」と立ち上がった。  畑違いの土木技術を学び、自ら図面を引いた。「農業をやり、自分たちの手で国を立ち直らせたい」と訴える現...

日本農民新聞 2022年12月25日号

〈本号の主な内容〉 ■政府が令和5年度予算案閣議決定  農林水産は微減の2兆2683億円  食料安保強化に向けた構造転換対策など11の重点事項 ■JA全農 日本産農畜産物の海外輸出戦略  JA全農 輸出対策部 髙木克己 部長 ■第40回全農酪農経営体験発表会  最優秀賞に北海道・浦部雄一さん ■第1回JAバンク経営者フォーラム  農林中央金庫が開催 ■令和4年度JA教育文化活動研究集会  家の光協会・家の光文化賞農協懇話会が開催 ■第12回 全国和牛能力共進会 鹿児島大会  和牛日本一の名誉賞に鹿児島(種牛の部)、宮崎(肉牛の部)  鹿児島勢が6部門で優等賞1席を獲...

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日本農民新聞 2022年12月15日号

  〈本号の主な内容〉 ■海外流出防止へ 農産物の知的財産管理検討会が提言取りまとめ〈農水省〉 ■農水省・環境省・消費者庁等が「おいしい食べきり」全国共同キャンペーン ■睡眠の質を高める音声コンテンツを公開〈JA全農〉 ■令和4年度JA助けあい組織全国交流集会  JA全中がオンライン開催 ■かお  JA共済連 常務理事の 森哲弥 さん  JA共済連 常務理事の 深井裕 さん  JA共済連 常勤監事の 後藤一英 さん ■TACパワーアップ大会2022  JA全農が11月17・18日開催  地域農業の担い手の要望を聞き、提案するTAC活動を表彰

〈蔦谷栄一の異見私見〉SDGsを下支えする資源リサイクル産業

 愛知県といえばトヨタ自動車、がすぐに頭に浮かぶように、自動車や機械等の製造業が盛んであるが、渥美半島の電照菊や施設園芸、名古屋コーチンがよく知られるように農畜産業も盛んで、農業産出額約4分の1を畜産が占める畜産大県でもある。  名古屋から西に名鉄電車を使って15分のあま市に、㈱堀田萬蔵商店を中心とする堀田グループの工場があり、友人からの誘いに乗って見学してきた。畜産物の資源リサイクルを業とするグループであるが、食用とならない不可食部位を食品原料・飼料・燃料等に再生利用するレンダリング事業、原皮・皮革事業、ペットフード事業の三つの事業からなる。  話しは一転するが、牛は概ね生体重量700k...

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日本農民新聞 2022年12月5日号

  〈本号の主な内容〉 ■農林中金が「第1回JAバンク経営者フォーラム」  JA経営層同士の相互研鑽、優良事例の横展開など ■施設園芸新技術セミナー・機器資材展in高知 開く ■JAグループが令和5年度畜産・酪農対策に関する政策提案  生産資材価格の高騰、長引く生乳需要の低迷などで  「生産現場は全国的に営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響」 ■農中総研が緊急フォーラム第3弾  世界と日本の食料安全保障を考える  ~世界で進む食料需給の構造変化と日本の食料安全保障~ ■「GAP Japan 2022」日本GAP協会が開く  「SDGsの達成に貢献す...

〈行友弥の食農再論〉未来を選ぶ「てまえどり」

 スーパーなどの食品売り場で「てまえどり」という表示を見るようになった。説明は不要かも知れないが、食品ロス削減の取り組みだ。手前に置かれた商品、つまり賞味期限が近いものを買うよう勧め、期限切れによる廃棄を減らす。少しでも新鮮なもの、日持ちするものを買いたいという消費者に再考を促す効果は大いにあるだろう。  文章で書くとこんなに長くなることを、たった5文字で伝える「てまえどり」。誰が考えたかは知らないが秀逸だ。行動経済学でいう「ナッジ」(ひじを軽くつつくように注意喚起し、望ましい行動に導く)の一種といえる。環境や人権など社会問題の解決につながるエシカル(倫理的)消費が叫ばれているが、理屈っぽい...

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日本農民新聞 2022年11月25日号

このひと   ロボットを活用した施設園芸の未来   AGRIST㈱ 共同代表取締役 兼 最高技術責任者 秦 裕貴 氏    経済産業省と日本機械工業連合会が主催し、農水省はじめ関係省が共催する第10回「ロボット大賞」で、再生可能な農業の実現をめざした自動収穫ロボットの活用に取組む宮崎県のAGRIST㈱が農林水産大臣賞を受賞した。児湯郡新富町を拠点に、自社農場を持ち施設園芸ピーマンの自動収穫ロボットに挑戦し続ける同社の秦裕貴代表に、同社の取組みと農業におけるロボットの将来像を聞いた。   現場で生産者の声を聞きながら ■ロボット...

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日本農民新聞 2022年11月17日(増刊)号

このひと   担い手の大規模化とTACの活動   JA金沢市 代表理事組合長 虎本重 氏      地域農業の担い手に出向くJA担当者「TAC」の活動は、全国のJAで定着している。農業者の所得向上と地域農業の活性化がより一層求められるなか、TACの活動も一段の質的向上が求められている。JA金沢市のTACの活動の現状を、虎本重組合長に聞いた。   米やスイカ、金沢ブランド野菜などが主力 ■管内農業の概況は?  石川県のほぼ中央に位置する県庁所在地である金沢市は、1市2JAがある。中心部は市街地・住宅地が多く伝統的な観...

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日本農民新聞 2022年11月15日号

創刊70周年 記念号 〈本号の主な内容〉 ■創刊70周年を祝す  農林水産事務次官     横山紳 氏 ■祝・創刊70周年 日本農民新聞に期待する  JA全中 代表理事会長     中家徹 氏  JA全農 経営管理委員会会長  菅野幸雄 氏  JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏  農林中央金庫 代表理事理事長  奥和登 氏  JA全厚連 経営管理委員会会長 山野徹 氏  家の光協会 代表理事会長    栗原隆政 氏  文化連 経営管理委員会会長   八木岡努 氏  全国農協観光協会 代表理事会長 櫻井宏 氏  ㈱農協観光 代表取締役社長   清水清男 氏 ...

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日本農民新聞 2022年11月5日号

アングル   農業経営の法人化と農林中金の取組み   農林中央金庫 常務執行役員 川田淳次 氏    農林中金では、農林水産業の成長産業化に向け、食農バリューチェーン全体を見据えた取り組みを推進している。その中で、農業法人に対する農業融資・投資をはじめ、担い手コンサルティングなど様々な角度からの支援を強化している。ここでは、担当常務執行役員の川田淳次氏に、農業経営の法人化と農林中金の取組みについて聞いた。   個人経営体の減少を法人がカバー ■農業の経営形態の現状をどうみているか。  農業経営体数は、2005年に約200万あっ...

〈行友弥の食農再論〉鏡を壊すなかれ

 統計は社会が自らの姿を映す鏡である。鏡がゆがむと、社会は針路を誤る。以前も紹介したが、吉田茂元首相はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のマッカーサー最高司令官に日本の統計の不正確さを指摘され、こう答えた。「統計が正確なら、あんな戦争(太平洋戦争)はしなかった。統計通りなら、こちら(日本)が勝っていた」。実は統計上も日本の敗北は予想されていたが、統計の重要性を吉田が認識していたことは確かだ。  その吉田政権下で終戦の翌年に発足したのが、政府の「統計制度の改善に関する委員会」(略称・統計委員会。現在は総務省所管)だ。国政の根幹にかかわる基幹統計調査では、統計委員会の審議を経なければ内容の変更...

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日本農民新聞 2022年10月25日号

このひと   子どもと農業をつなぐ架け橋に ~ファーマーズ&キッズフェスタに託す思い   ファーマーズ&キッズフェスタ2022 実行委員長 (㈱れんこん三兄弟 代表取締役) 宮本貴夫 氏    日本農業法人協会が主催する「ファーマーズ&キッズフェスタ2022」が11月12~13日、東京の日比谷公園で開催される。プロの農業者が都会の子どもたちに農業の素晴らしさを伝えるこの催しは2019年まで10回続けられてきたが、コロナにより20年は中止、昨年は規模を縮小して開催してきた。3年ぶり本格開催となる同フェスタへの思いを宮本貴夫実行委員長(㈱れんこん三...

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日本農民新聞 2022年10月15日号

〈本号の主な内容〉 ■労働者協同組合法が10月1日施行  ワーカーズコレクティブ、ワーカーズコープが記念イベント  中家徹JCA会長が歓迎の談話 ■持続可能な農業・地域共生の未来づくりへ  さらなる進化めざす わがJAの取組み(集中連載第3回)  〇JAおちいまばり(愛媛県) 代表理事理事長 渡部浩忠 氏  〇JAさがえ西村山(山形県) 代表理事組合長 安孫子常哉 氏  〇JA福島さくら(福島県)  代表理事組合長 志賀博之 氏  〇JA東京あおば(東京都)  代表理事組合長 久保秀一 氏 ■第1回 直播たまねぎ現地研修会  JA全農、農研機構 東北農業研究センタ...

〈蔦谷栄一の異見私見〉「カーボン・ファーミング」の衝撃

 先の9月16から18日、東京・浜松町にある東京都立産業貿易センターで第7回目のオーガニックライフスタイルEXPOが開かれた。これと併行して日本オーガニック会議の主催によるオーガニックカンファレンスとして、各種パネルディスカッション等が続いた。  日本オーガニック会議は先に取り上げたことがあるが、「サスティナブルな社会実現のため、有機農業を核とした持続可能な農業やオーガニック市場の拡大を目的として、生産・加工・流通、その他関連事業の実務者等が横断的に集う会議。政策立案者や学識者等とも協力しつつ、建設的な議論を活性化し、政策提言等を行い、イノベーティブな行動変容を創り出すプラットフォーム」を目...

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日本農民新聞 2022年10月5日号

このひと   国産飼料原料生産拡大へ ~子実用とうもろこし栽培のこれから~   日本メイズ生産者協会 代表理事 (有)柳原農場 代表取締役 柳原孝二 氏    昨今の輸入飼料原料の高騰を契機に、飼料の国産化に改めてスポットが当たっている。こうしたなか、10年前に配合飼料の主原料となる子実用とうもろこし(子実コーン)を北海道で生産開始した農家を中心に、今年4月「日本メイズ生産者協会(JMFA)」を設立し、生産拡大に向けた活動を展開している。農家自ら普及に取組む背景と展望を同協会の柳原代表に聞いた。   連作障害回避の輪作作物として...

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