このひと 今後の農政の取組み方向 農林水産事務次官 横山紳 氏 この6月、農林水産事務次官に横山紳氏が就任した。脱炭素化が世界的命題となる一方で、コロナ禍に見舞われウクライナ危機まで勃発するなど世界中で社会・経済活動に多大な影響が及んでいる厳しい環境下、農政の舵取りをどう進めていくのか、国際畑での経験も豊富な新次官に方向を聞いた。 食料安全保障上のリスクふまえた取組みを ■就任にあたって。 長期化するコロナ禍が世界中に及ぼしている影響は大きく、関連して昨年から顕著になってきた物価上昇の中、穀物... 2022年7月25日
このひと 日本の施設園芸のこれからと協会の役割 (一社)日本施設園芸協会 会長 大出祐造 氏 (一社)日本施設園芸協会は、6月の総会で会長に新たに大出祐造氏(前副会長、㈱誠和会長)を選任した。新会長に、日本における施設園芸のこれからと同協会が果たす役割を聞いた。 全国各地の現場の声も反映する環境へ ■就任の抱負から。 日本施設園芸協会の50年の歴史のなかで、会長には農水省出身や学識経験者が就任されてきたが、4年前に初めて会員企業から鈴木秀典氏(㈱大仙会長)が会長として選出された。 これは、協会会員自らが... 2022年7月15日
労働者協同組合法は2020年12月に成立したが、その施行をこの10月1日に控える。労働者協同組合(以下「ワーカーズコープ」)連合会のシンクタンクである協同総合研究所によれば、労働者協同組合法の成立にともなって、ワーカーズコープの設立・活用について、現場から400を超える相談が舞い込んでいるという。福祉、医療、住まい・宿泊・暮らし、学び(教育・学習)、文化・芸術等、多様な分野からの相談がある中に、食・農・環境についての相談も多く、マルシェ、共同売店、子ども食堂、カフェ等とともに、有機農業、里山再生、農福連携、さらには竹林整備、都市緑化等についての相談が寄せられている。 この労働者協同組合法... 2022年7月5日
アングル 食料安全保障をめぐる情勢と対応方向 前 農林水産省 食料安全保障室長 (現OECD日本政府代表部参事官) 久納寛子 氏 新型コロナウイルスの世界的感染拡大、さらにはウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱などから、食料安定供給のリスクが顕在化し、食料安全保障についての議論が高まりをみせている。農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室で室長(取材当時。現OECD日本政府代表部参事官)を務めた久納寛子氏に情勢と対応方向を聞いた。 食料安全保障の基本は国内農業生産の増大 ■食料安全保障をめぐる情勢と課題か... 2022年7月5日
若い人には驚かれそうだが、子どものころ、バナナは高級品のイメージがあった。それが今は安価な果物の代表格だ。総務省の家計調査によると、2人以上の世帯が昨年1年間に購入したバナナの平均数量は19.8kg。リンゴの10kg、ミカンの9.7kgを大きく引き離し果物類のトップだ。 「物価の優等生」といえば鶏卵だが、バナナもそうだろう。かつて台湾産が主流だったバナナは1963年の輸入自由化をきっかけにフィリピンからの輸入が増え、それによって大きく値下がりした。おいしく栄養豊富なバナナを日常的に食べられるようになったことをフィリピンの生産者に感謝しなければならない。 しかし、そのフィリピンからSO... 2022年6月25日
このひと 外食産業のこれから 一般社団法人 日本フードサービス協会(JF) 会長 近藤正樹 氏 日本フードサービス協会の新会長に5月12日、近藤正樹(副会長、日本KFCホールディングス㈱顧問)氏が就任した。コロナ禍の逆境を乗り越えてこれからの外食産業の展開にどのように舵を切っていくのか、新会長に聞いた。 外食産業全体の元気を取戻す ■就任への思いから。 この通常のレベルではない厳しい事業環境の中、まさに身の引き締まる思いでお引き受けした。ケンタッキーからのJF会長は私で3人目。諸先輩の思いを受け継ぎ、外食産業全体が再び... 2022年6月25日
このひと 生協から見た食料安全保障 ~「つくる」と「たべる」が支え合い~ パルシステム生活協同組合連合会 副理事長 生活協同組合パルシステム東京 理事長 松野玲子 氏 コロナ禍、ウクライナ情勢など世界規模の緊急事態の渦中にあって、食料安全保障の重要性についての認識が広がってきている。消費者サイドとしてこの情勢をどうとらえているか、パルシステム生活協同組合連合会の松野玲子副理事長に聞いた。 産地とのパートナーシップを育む「産直」 ■組織の概要と、生産者との関わり方について。 パルシステム生活協同組合連合... 2022年6月15日
自民党はこの5月19日、総合農林政策調査会(江藤拓会長)、食料安全保障に関する検討委員会(森山裕委員長)、農林部会等による合同会議を開催して、食料安全保障政策に関する提言をとりまとめた。提言は大きく、「『食料安全保障予算』の検討方向」と「食料・農業・農村基本法の見直しを含む『中長期的な検討課題』」に分かれる。 「『食料安全保障予算』の検討方向」であげられている項目を列記すれば、①価格高騰対策、肥料の安定確保体制の構築、国内資源の有効活用、②輸入依存穀物(小麦・大豆・トウモロコシなど)の増産、備蓄強化、➂米粉の増産・米粉製品の開発、食品産業国産原料への切替促進等、④みどりの食料システム戦略... 2022年6月5日
このひと 次世代の農業経営者育成へ ~日本農業経営大学校の新たな挑戦~ アグリフューチャージャパン 代表理事理事長 兼 日本農業経営大学校 校長 合瀬宏毅 氏 日本農業経営大学校を運営するアグリフューチャージャパン(AFJ)は、日本農業経営大学校が設立10周年を迎えた今年度を契機に、2024年度を目途に新たな教育体制への移行を始めた。これからの時代の農業経営者育成に向けた教育のあり方のねらいとその具体策を、この3月末就任した合瀬宏毅AFJ理事長・日本農業経営大学校校長に聞いた。 ... 2022年6月5日
穀物価格が急騰した2008年は、輸入食品をめぐるさまざまな問題が浮上した年でもあった。1月に起きた中国製冷凍ギョーザの農薬混入事件は、千葉と兵庫で10人が中毒症状を訴え、女児1人が一時、意識不明の重体になった。9月には基準値を超える農薬やカビ毒に汚染された輸入米が不正に転売され、学校給食にも使われていた事実が発覚した。 前者については、毎日新聞「記者の目」欄で論争が起きた。経済部の中村秀明記者は、翌年の消費者庁発足につながる消費者保護の強化論に疑問を投げかけ「消費者は守られるだけの存在でいいのか。食の安全や生産現場の環境・人権問題などについて『学び』を促すことも必要だ」と指摘した。 ... 2022年5月25日
このひと JA青年組織活動のこれから 全国農協青年組織協議会 会長 佐藤崇史 氏 全国農協青年組織協議会(JA全青協)が5月19日開いた通常総会で、令和4年度の新会長に佐藤崇史氏(JA全青協副会長、岩手県農協青年組織協議会会長)が就任した。佐藤会長に、抱負や青年組織活動に対する思いを聞いた。 次世代につなげる 中期活動目標策定に力 ■就任しての抱負を。 コロナ禍において多様な活動が制限されている。地元の単組青年組織をはじめ、県域、全国域でも青年部の盟友は、少なからず活動に悩みを抱えている部分... 2022年5月25日
アングル JA共済事業の明日に向けて JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏 JA共済連は、5月19日に「令和3年度JA共済優績組合表彰」を開催し、令和4年度の普及推進で優秀な実績を挙げたJAを表彰する。これに先立ち、JA共済連の青江伯夫経営管理委員会会長に、これからのJA共済事業の展開方向への思いを聞いた。 ひと保障を強化、生命回帰を実現 ■令和3年度の普及推進結果を振り返って。 昨年度も新型コロナウイルスに翻弄された1年になりました。罹患された皆さまと、感染拡大により生活に多大なる... 2022年5月19日
みどり戦略法案がこの4月22日に可決・成立した。本法は農業の環境負荷低減を目指して、農家や食品事業者、消費者らの理解・連携を基本に、化学肥料・農薬の低減や有機農業などの実現に取り組む農家を融資や税制で支援する仕組みの創設等を見込む。 昨年5月に決定されたみどり戦略は当初、唐突感をもって受け止められたものの、少しずつ浸透しつつある。JAグループは昨年10月29日に開かれた第29回JA全国大会で、「みどりの食料システム戦略をふまえた環境調和型農業の推進」が含まれた大会議案を決議している。具体的には「化学肥料・化学農薬の使用量削減や温室効果ガスの排出低減に向け、土壌診断にもとづく適正施肥や耕畜... 2022年5月10日
このひと 中食・惣菜産業の現状とこれから ~日本惣菜協会の取組み~ 日本惣菜協会 会長 平井浩一郎 氏 食生活の多様化を背景に、中食、中でも惣菜産業は近年、急成長を続けており、市場規模は年間約10兆円となっている。惣菜の製造・販売を手がける370社を正会員に擁する(一社)日本惣菜協会の平井浩一郎会長に、取組みの現状と今後を聞いた。 コロナ禍では成長が初停滞 ■中食・惣菜産業の歩みとコロナ禍での事業環境の変化について。 毎日の国民の生活に欠かせない惣菜を製造・販売している私たち惣菜産業の市場規模は、2010... 2022年5月10日
「食料を自給できない国を想像できるか? それは国際的圧力と危険にさらされた国だ」 TPP(環太平洋経済連携協定)を巡る議論が盛んなころ、よく引用されたブッシュ元米大統領の発言を思い出した。農産物や農業資材の値上がりが、ロシアのウクライナ侵攻で加速されているからだ。 ロシアとウクライナは穀物の大輸出国。日本は直接の輸入は少ないが、世界の市場は一体であり、影響は免れない。ロシアは原油・天然ガスのほか肥料の原料などの主要な産出国でもあり、日本への打撃は多面的で深刻だ。 食料安全保障をテーマとする外務省主催のシンポジウムが先月末に開かれた。国連食糧農業機関(FAO)のチーフエコノミストが... 2022年4月25日
アングル JA全農 中期計画がめざすもの JA全農 代表理事専務 安田忠孝 氏 JA全農は3月30日の臨時総代会で、令和4~6年度の中期計画と4年度事業計画を決定した。2030年の全農グループの目指す方向に向け、「生産振興」をはじめとした6項目の全体戦略を設定した今期中期計画のポイントを全農の安田忠孝専務に聞いた。 農業産出額拡大や原料調達に課題残る ■前中期計画の成果と課題から。 令和元年度から3年度までの前中期計画では、「生産基盤の確立」「食のトップブランドとしての地位の確立」「元気な地域社会づくりへの... 2022年4月25日
アングル JA厚生事業の役割と 全国厚生連の取組方向 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事理事長 中村純誠 氏 JA全厚連は3月末の総会で、令和4年度から6年度の第10次3ヵ年計画と、これに基づいた令和4年度の事業計画を決定した。3年目に入った新型コロナウイルス感染症に対応しつつ、組合員・地域住民の保健・医療・高齢者福祉を守り続けるJA厚生事業のこれからの取組方向を、JA全厚連の中村純誠代表理事理事長に聞いた。 コロナ対応で高く評価された厚生連の事業 ■JA厚生事業を取り巻く情勢は? 令和2年1月10日、... 2022年4月15日
ここにきて食料安全保障をめぐる動きが本格化しつつある。自民党は総合農林政策調査会の下に、2月4日、食料安全保障に関する検討委員会を設置。3月の9日には農林政策調査会、検討委員会、水産総合調査会が合同して食料安全保障の強化を政府に求める決議を行い、同日には農水大臣に決議の申入れを行った。検討委員会は有識者へのヒアリング等を踏まえて5月に食料安全保障に関する強化策をまとめて政府に提言する予定とされる。 3月9日に行われた決議では、食品原材料や生産資材の海外依存度が高いことから、「我が国の農林水産業・食品産業が抱えるリスクは増大している」との認識をもとに、肥料での調達先の多角化や堆肥の活用推進... 2022年4月5日
〈本号の主な内容〉 ■JA全農が臨時総代会=3月30日 中期計画等3議案を可決 ■農水省が令和4年度入省式=4月1日 金子農相が訓示 ■JA全国機関新規採用職員研修会=4月1日 11団体のフレッシュマンが参加 ■生分解性マルチ導入推進シンポジウム2022 農業用生分解性資材普及会(ABA)が開く 導入事例報告 ■ノウフク・アワード2021 農福連携等応援コンソーシアムが開く グランプリに京丸園㈱(静岡)、さんさん山城(京都) ■蔦谷栄一の異見私見「期待したい 国会での食料安全保障の本格論議」 2022年4月5日
アングル JA共済連 新3か年計画と4年度事業計画 JA共済連 代表理事専務 村山美彦 氏 JA共済連(青江伯夫経営管理委員会会長、柳井二三夫代表理事理事長)は3月28日、臨時総代会を開き、令和4~6年度のJA共済3か年計画と、令和4年度事業計画を決定した。JA共済をめぐる事業環境・課題と今後の方向性、計画のポイントについて、村山美彦代表理事専務に聞いた。 〝生命回帰〟実現も保障課題別に強化を ■JA共済事業をめぐる状況と令和3年度事業を振り返って。 令和元~3年度のJA共済3か年計画では、3つの重点取組... 2022年3月30日