日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈行友弥の食農再論〉需要に応じない生産?

 鈴木憲和農相の評判がメディアで芳しくない。米政策をめぐる「(政府は)価格にコミットしない」「需要に応じた生産が原則」などの発言が、消費者より生産者に顔を向けた古い農政への先祖返りと受け止められているからだ。本当にそうだろうか。  鈴木氏の主張をひっくり返せば「政府が米価にコミットし、需要を無視して生産する」ことになる。筆者のような旧世代から見ると、それは30年前に廃止された食糧管理制度への回帰に思える。食管制度では国が主食用米を直接売買した。緊急時に備えて買い入れ、平時は5年後に飼料用として処分する現行の備蓄制度とは違う(食管時代も過剰在庫を飼料用などにして処分することはあったが)。  ...

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日本農民新聞 2025年11月20日号

JA全農「TAC・出向く活動パワーアップ大会2025」記念号 【JA全農 担い手営農サポートシステム(NEサポシステム)】 ■TACの活動に導入したJA南彩(埼玉県)の取組みと活用 【JAバンクの担い手コンサルティングの取組み】 ■アングル  農業担い手の所得向上へ~担い手コンサルの現状と今後~  農林中央金庫 理事専務執行役員 食農法人営業本部統括役員  尾崎太郎 氏 ■㈱OCファーム 暖々の里(愛媛県)代表取締役  長野 隆介さんに聞く ■JA全農の資材・技術提案  〈園芸資材〉系統農POフィルム クリンテート、生分解性マルチ(きえ太郎Z)、こめパワーマット、本州太陽...

〈蔦谷栄一の異見私見〉市民の農に参画する権利と都市農地の公共性

 一般市民を対象に、「農業振興と緑地を含めた都市農地保全の取組や、都市農業経営の実情、市民の農への参画、地産地消の推進、持続可能で循環型の社会づくり、地元の歴史等を学ぶ」連続講座である「農あるまちづくり講座」の実施・展開に取組んでいる。開催地を特定しての、月2回、半年間にわたる連続講座だ。講師は地元で活躍している農業者や団体、自治体、JA等の登壇を基本にしてきた。その第1回を2022年9月に西東京市でスタートさせ、以降、世田谷区、所沢市、足立区、日野市の順で開催し、この10月には府中市で開講した。府中市の講座で6回目となり、いずれも定員20名で募集をしてきたが、これまでの受講者を累計すると14...

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日本農民新聞 2025年11月15日号

〈本号の主な内容〉 ■このひと  ふるさと回帰運動のこれから~都市と農村をつないで~  (公社)ふるさと回帰・移住交流推進機構  代表理事・理事長 高橋公 氏 ■令和7年度 JA組織基盤強化フォーラム  JA全中が開催 ■第29回JA女性組織フレッシュミズ全国交流集会  JA全国女性組織協議会が開催 ■JA共済の地域貢献活動  防災・災害救援、交通事故対策の最近の取組みから ■かお  JA共済連  常務理事の 織田哲治 氏  常勤監事の 倉林理 氏 ■蔦谷栄一の異見私見「市民の農に参画する権利と都市農地の公共性」   このひと   ...

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日本農民新聞 2025年11月1日号

〝国消国産〟特別号   〈本号の主な内容〉 ■10月・11月は「国消国産月間」  JAグループが東京・丸の内で国消国産をPR ■令和7年度(第64回)農林水産祭 実りのフェスティバル  10月31日~11月1日 サンシャインシティ ワールドインポートマートビルで ■令和7年度農林水産祭  天皇杯に、おしの農場、佐藤勲氏、ヤマニファーム等7点 ■特別インタビュー  農業・農政の現状と課題を語る  (公財)日本農業研究所 研究員  東京大学・福島大学 名誉教授  生源寺眞一 氏 ■お米の食パン 米粉専用品種で広がる用途  ~国産を食卓に~ JA全...

〈行友弥の食農再論〉免疫と寛容

 大阪大学の坂口志文特任教授が、米国の研究者2人と共同で今年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。免疫機能の過剰反応を抑える「制御性T細胞」の発見という業績が評価された。  免疫は生物の体を異物から守る仕組みだが、時に暴走する。代表格が食物アレルギーだ。食品に含まれる特定の物質(アレルゲン)を免疫細胞が「敵」と認識し攻撃することで、さまざまな症状を引き起こす。命にかかわる場合もある。  免疫の本質は「自己と非自己の識別」とされる。生命を維持するには常に外界と物質をやり取りしなければならない。有用なものは取り込んで「自己」の一部とし、有害なものは「非自己」として排除する。その基準が厳し過ぎると...

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日本農民新聞 2025年10月25日号

  〈本号の主な内容〉 ■〈高市内閣が発足〉農林水産大臣に鈴木憲和氏 ■かお  JA全農 代表理事専務に就任した 尾本英樹 氏 ■持続可能な農業、地域共生・活性化へ  わがJAの取組み  ・JAレーク滋賀  代表理事理事長 木村義典 氏  ・JA東京あおば  代表理事組合長 久保秀一 氏  ・JAはだの    代表理事組合長 宮永均 氏  ・JA晴れの国岡山 代表理事組合長 内藤敏男 氏 ■生産現場への総合防除(IPM)の浸透に向けて  農林水産省 消費・安全局植物防疫課防疫対策室 ■行友弥の食農再論「免疫と寛容」

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日本農民新聞 2025年10月15日号

  〈本号の主な内容〉 ■かお  JA全中 専務理事に就任した 秋吉亮 氏 ■持続可能な農業、地域共生・活性化へ  わがJAの取組み  ・JA徳島県     代表理事組合長 橋本浩 氏  ・JA福岡市     代表理事組合長 柴田清孝 氏  ・JAきたみらい   代表理事組合長 大坪広則 氏  ・JAひがしうわ   代表理事組合長 石野満章 氏  ・JA松本ハイランド 代表理事組合長 田中均 氏 ■トップインタビュー  米麦をめぐる現状と農産物検査  (一財)全国瑞穂食糧検査協会 理事長 塩川白良 氏

〈蔦谷栄一の異見私見〉面白くなる? 未来の日本農業

 生産性の向上、生産コストの低減をねらいに、農水省はスマート農業技術の導入によって、担い手への農地の集積・集約化の旗振りに懸命だ。スマート農業技術はまずは営農上の負担軽減に有効としており、高齢者対策をも含めて、スマート農業技術は実質、最大の担い手対策として位置づけられている感もある。手作業に馴染んできた高齢者にとって体力低下は避けられず、機械力でカバーするしかないのも確かである。筆者も週末は10aほどの畑で作業をしており、30年以上も鎌を使っての草刈りにこだわっていたが、このところの温暖化も加わって、刈払機をとうとう購入して酷暑をしのいでいるのが実情だ。  スマート農業技術よりも機械化と言う...

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日本農民新聞 2025年10月5日号

  〈本号の主な内容〉 ■農林水産省新幹部の横顔  農産局長に就任した 山口靖 氏  経営局長に就任した 小林大樹 氏 ■令和7年度ミライ共創プロジェクト 第1セッション  JA全中が開催  「地域で事業を生み出すためには」テーマに熱海のまちづくりに学ぶ ■第25回 店舗戦略トップセミナー  全国Aコープ協同機構、(一社)農協流通研究所が開催 ■秋冬野菜の 病害対策(露地栽培、施設栽培)  農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 生物的病害虫防除グループ長 窪田昌春 氏 ■秋冬野菜の 虫害対策(露地栽培、施設栽培)  農研機構 植物防疫研...

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日本農民新聞 2025年10月5日号

  〈本号の主な内容〉 ■農林水産省新幹部の横顔  農産局長に就任した 山口靖 氏  経営局長に就任した 小林大樹 氏 ■令和7年度ミライ共創プロジェクト 第1セッション  JA全中が開催  「地域で事業を生み出すためには」テーマに熱海のまちづくりに学ぶ ■第25回 店舗戦略トップセミナー  全国Aコープ協同機構、(一社)農協流通研究所が開催 ■秋冬野菜の 病害対策(露地栽培、施設栽培)  農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 生物的病害虫防除グループ長 窪田昌春 氏 ■秋冬野菜の 虫害対策(露地栽培、施設栽培)  農研機構 植物防疫研...

〈行友弥の食農再論〉子ども食堂の13年

 子ども食堂は2012年に東京都大田区でオープンした「だんだん」が第1号とされる。数年後にはメディアで取り上げられ、注目を浴びるようになった。その後は右肩上がりに増え続け、今では中学校の数より多い全国1万ヵ所以上にあるという。  21年に豊島区の「要町あさやけ子ども食堂」を訪問した。コロナ禍で食事の提供は自粛していたが、企業などから提供を受けた食品を母子らに手渡ししていた。主催者の男性は仕事を引退し、伴侶にも先立たれて孤独を感じていたが、その伴侶の友人たちの協力で子ども食堂を開き「自分自身が救われた」と話していたのが印象的だった。  同じ年に「農政ジャーナリストの会」は食の格差をめぐる研究...

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日本農民新聞 2025年9月25日号

  〈本号の主な内容〉 ■農林水産省新幹部の横顔  消費・安全局長に就任した 坂勝浩 氏  農村振興局長に就任した  松本平 氏 ■令和7年度 JA新任常勤理事研修会  JA全中が開催 ■家の光協会 読書ボランティア関連講座   ・第22回家の光読書ボランティア養成講座   ・第19回家の光読書ボランティアスキルアップ講座 ■JA全農 令和7年度事業のポイント  総合エネルギー部 西村英治 部長 ■行友弥の食農再論「子ども食堂の13年」

日本農民新聞 2025年9月15日号

〈本号の主な内容〉 〈特集号〉実りの秋を迎えて 米の生産・集荷・検査・保管・流通 ■令和7年産米の検査・保管に当たって  JA全農 米穀部 藤井暁 部長 ■JA全農米穀事業における業務用需要に向けた契約栽培の取組み  需要に応じ 労力分散で 安定生産を  「ZR1」など多収品種の作付が拡大 ■令和7年産米に対する農産物検査への期待  全国米穀販売事業共済協同組合 業務部 西村裕二 部長 ■令和7年度 米のカントリーエレベーター品質事故・火災防止強化月間(8月1日~10月31日)  品質事故の防止、火災事故の防止、衛生管理の徹底を

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日本農民新聞 2025年9月5日号 -第2部-

〈本号の主な内容〉 ■アングル  日本の施設園芸の将来像  (一社)日本施設園芸協会 常務理事 藤村博志 氏 ■JA全農 令和7年度事業のポイント  園芸部 鈴木貢 部長 ■イチゴ定植期の病害虫と防除対策  栃木県農業試験場 研究開発部 病理昆虫研究室長 山崎周一郎 氏  ■施設園芸新技術セミナー・機器資材展in愛知 開催概要  日本施設園芸協会が9月4~5日、愛知県豊橋市内で開催  「施設園芸・植物工場における先進技術と東海(愛知県)の地域農業を支える施設園芸」テーマに   アングル   日本の施設園芸の将来像    (一社)...

〈蔦谷栄一の異見私見〉首都圏での流域自給圏づくりからの食料安全保障確立

 改正食料・農業・農村基本法では食料安全保障の強化が最大の柱として位置づけられた。ウクライナ侵攻が穀物相場高騰のトリガーとなったが、食料安全保障についての議論は迫力に欠ける感じは否めなかった。これを一変させることになったのが令和の米騒動で、低迷していた米価が急騰する一方、深刻な農地減少・担い手不足の構造が浮かび上がり、日本農業が崩壊の崖っぷちにあることについての国民の理解がやっと広まり始めた。  こうした状況を踏まえて、この4月に食料・農業・農村基本計画が閣議決定され、その目玉として2027年度から水田政策を見直ししていくことが盛り込まれた。まさに令和の米騒動という災いを福に転じていくために...

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日本農民新聞 2025年9月5日号 -第1部-

〈本号の主な内容〉 ■このひと  新たな「酪肉近」の方向と畜産行政  農林水産省 畜産局長 長井俊彦 氏 ■家の光文化賞JAトップフォーラム 2025  家の光文化賞農協懇話会、家の光協会が開催  「経営的視点による教育文化活動の展開~協同活動と総合事業の好循環を実現する~」テーマに ■JA全農 令和7年度事業のポイント  畜産総合対策部 佐藤勧 部長  畜産生産部   富所真一 部長  酪農部     服部岳 部長 ■蔦谷栄一の異見私見「首都圏での流域自給圏づくりからの食料安全保障確立」   このひと   新たな「酪肉近」の方向と畜産行政...

〈行友弥の食農再論〉減反廃止論への違和感

 福島県飯舘村の田んぼでは、飼料用作物が広く栽培されている。飼料用米や稲のホールクロップサイレージ(WCS)、デントコーン、牧草などだ。WCSや牧草のロールが並ぶ光景に「こんなの昔はなかった」と漏らす高齢の住民もいる。  田園風景を変えたのは福島第1原発事故だ。6年間の全村避難を経て主食用米の生産が急減した。風評被害もあるが、農家自体が大幅に減ったからだ。和牛の繁殖など畜産が比較的早く再開されたこともあり、少数の担い手が農地をまとめ、飼料生産に取り組んでいる。それでも休耕田は多いが、耕畜連携が農地の荒廃を防いだ部分は確実にある。  水田で飼料用作物を生産すれば転作奨励金が出る。いわゆる「事...

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日本農民新聞 2025年8月25日号

〈本号の主な内容〉 ■このひと  家の光協会の事業展開  (一社)家の光協会 代表理事会長 伊藤清孝 氏 ■JA全農 第49回 通常総代会  令和6年度取扱高5.1兆円、計画比104%  出資配当4%、利用高配当を3年連続実施  新専務に尾本英樹氏、新常務に土屋敦氏 ■かお  農林中央金庫 常務執行役員に就任した4氏  ・常務執行役員(バンキングユニット) 食農法人営業共同責任者 長谷川智成 氏  ・常務執行役員 JA・JF事業共同責任者 篠田崇 氏  ・常務執行役員(バリューチェーンユニット) 食農法人営業共同責任者 爲井清文 氏  ・常務執行役員 共同投資責任者(...

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日本農民新聞 2025年8月15日号

〈本号の主な内容〉 ■このひと  クロップライフジャパン これからの取組み  クロップライフジャパン 会長 岩田浩幸 氏 ■JA共済連 令和6年度の取組みと成果 ■かお  JA共済総合研究所 理事長の 小川良介 氏 ■クローズアップインタビュー  林野庁長官に就任した 小坂善太郎 氏   このひと   クロップライフジャパン これからの取組み   クロップライフジャパン 会長 岩田浩幸 氏    クロップライフジャパンは5月14日に開催した通常総会で新役員体制を決め、新会長に岩田浩幸氏(日本農薬㈱代表取締役社長)が...

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