日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈蔦谷栄一の異見私見〉地域特産品「信州人蔘」を協同組合で守る

 JAは地域に深く根差した存在であり、地域と一体となっての活動展開を本来とする。しかしながらそれが当然とはいえ、これにともない困難を避けられないことも多く、言うべくして容易ではない。その中にはJAに置かれた部会の扱いが含まれるケースもある。部会はJAと一体的に活動していくことが求められるものの、就業規定や給与規定等のJAの運営ルールで一体化が難しく、また税務問題も絡んで部会の運営継続そのものが困難となるケースも少なくない。こうした中で、〝協同組合内協同〟とでも言うべく事業協同組合として独立させながら、部会活動を実質継続させ、そのうえでJAと連携・一体化させての取組みによって活路を見出そうとのト...

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日本農民新聞 2023年3月5日号

〈本号の主な内容〉 ■JA広報大賞表彰式 JA全中が開催  大賞のJAあいち中央等を表彰 ■令和5年産米をめぐる JA全農の対応  JA全農 米穀部 金森正幸 部長 ■JA共済 組合員・利用者の利便性向上、JAの事務負荷軽減に向けて  「Webマイページ」「JA共済アプリ」  キャッシュレス対応、ペーパーレス対応 ■家の光協会が実施・展開する 読書関連の取組み ■野菜栽培における土壌伝染性病害の防除対策  農業・食品産業技術総合研究機構 植物防疫研究部門  作物病害虫防除研究領域 農学博士 越智 直 氏 ■蔦谷栄一の異見私見「地域特産品『信州人蔘』を協同組合で守...

〈行友弥の食農再論〉「じゅうねん」を過ぎても

 畑に近づくと、さわやかな香りが鼻をうった。昨年10月、福島県飯舘村でエゴマの収穫作業を手伝った時のことだ。  エゴマはシソ科の植物で、その葉は青ジソと見分けが難しい。似たような芳香も放つ。健康に良い不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、福島では「食べれば10年長生きできる」という意味で「じゅうねん」と呼ばれることは、以前も当欄で書いただろうか。  集まったのは同村南部の大久保・外内(よそうち)行政区の住民でつくる一般社団法人「いいたて結い農園」のメンバーと、その知人ら計20人程度。筆者も代表理事の長正増夫さんと数年前に知り合った縁で、いわき市に住む元同僚を誘い前年に続き参加した。  機械(除草用...

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日本農民新聞 2023年2月25日号

〈本号の主な内容〉 ■第69回JA全国青年大会開く  Web併用し3年ぶりの実開催 ■JA経営ビジョンセミナー・第4セッション JA全中が開催  「蔵の町、喜多方」で創業233年の大和川酒造店に学ぶ ■水稲除草剤の最近の特徴と今後の展望  日本植物調節剤研究協会 北海道研究センター  主任研究員 半田浩二 氏 ■第6回 和牛甲子園 JA全農が開催  岐阜・大垣養老高校が総合優勝 ■行友弥の食農再論「『じゅうねん』を過ぎても」

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日本農民新聞 2023年2月15日号

第69回 JA全国青年大会 記念鼎談 ピンチの今こそ最大のチャンス ~多様な農業の担い手を活かすために必要なこと~   全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長 佐藤崇史 氏 全国農業青年クラブ連絡協議会(全協=4Hクラブ)会長 山浦昌浩 氏 農林中金総合研究所 主任研究員 小針美和 氏    第69回JA全国青年大会が2月21・22日、千葉県・千葉県文化会館とウェブを併用して開催される。ここでは、今大会を記念し、JA全青協の佐藤崇史会長、4Hクラブの山浦昌浩会長、そして農中総研主任研究員の小針美和氏にお集まりいただき鼎談していただいた。両会長とも...

〈蔦谷栄一の異見私見〉土づくりをみどり戦略展開の基本に

 2021年5月に決定され、昨年7月にその根拠法となる法律が施行されたみどりの食料システム戦略は徐々に浸透し、各地で具体的な取組みも芽生えつつあるようだ。中でも肥料価格高騰の影響もあって、化学肥料の使用を減らし堆肥にシフトする動きについての報道が増えている。そしてこれは土壌診断とセットになって推進されているものが多いようだ。土壌診断によって不足している成分を明らかにし、これによって適正施肥を行い、過剰な肥料投入を避けることを基本にしている。この土壌診断による適正施肥は重要であり、異論はないのであるが、そのベースには〝土づくり〟への取組みが置かれてしかるべきだと考える。  土づくりのキーワード...

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日本農民新聞 2023年2月5日号

このひと   施設園芸 現状から今後を考える   絹島グラベル 代表 長嶋 智久 氏    肥料や燃油価格が高騰するなか、寒さ厳しい今冬にあってハウス栽培農家には、「この状況で経営を続けていけるのか」という不安が募っている。特に野菜の販売価格が上がらないことへの危機感が強い。栃木県宇都宮市で「絹島グラベル」ブランドのトマトを栽培する長嶋智久氏は、これまで面積拡大・周年出荷に取組んでいたが、トマト以外の作物を探し、新たな事業部門を立ち上げ、次を目指している。   中玉とミニトマトで周年出荷目指し… ■現在の経営状況から。  20...

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日本農民新聞 2023年2月1日(増刊)号

JAグループ国産農畜産物商談会 出展者インタビュー   わがJAの加工食品の開発と販売   JAふらの(北海道) 加工食品部 東京営業所長 桑原春亀 氏    JA全農と農林中金は2月1、2日の両日、第17回「JAグループ国産農畜産物商談会」を、東京・港区の都立産業貿易センター浜松町館で開催する。コロナ禍でオンラインのみの開催が続いてきたが4年ぶりの会場開催となる。今回は「地域の魅力を未来につなごう!」をテーマに、86団体、106小間が出展し地域の特産品を紹介する。数年来、毎年出展している北海道・JAふらのの加工食品部は、レトルト食品を中心にオリ...

〈行友弥の食農再論〉スマート農業の光と陰

 福島第1原発事故で約6年間の全村避難を強いられた福島県飯舘村。その地で和牛の繁殖を営むある若手農家は、母牛の体に取り付けたセンサーで体温を測定し、出産などの兆候をスマートフォンに知らせるシステムを活用している。子育てなどの事情で隣町からの「通い農業」を続ける彼にとって、離れていても家畜の状態が把握できる仕組みは心強い味方だ。  人口減少と高齢化が一気に進み、農業の担い手が足りない被災地では、スマート農業の導入が進められてきた。南相馬市小高区では、自動運転のトラクターなどを使い、100ha規模で米やナタネなどを生産している株式会社もある。営農情報を統合的に管理する「農業クラウド」も導入し、そ...

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日本農民新聞 2023年1月25日号

特集:第68回JA全国女性大会   〈本号の主な内容〉 ■第68回 JA全国女性大会開く ■JA女性 想いをひとつに かなえよう☘  実開催・WEB併用で広くつながりを  JA全国女性組織協議会 会長 洞口ひろみ 氏 ■JA女性組織に期待する  全国農協青年組織協議会 会長 佐藤崇史 氏 ■JA女性組織、農業女子の活躍に期待します  農林水産省 経営局 就農・女性課 女性活躍推進室室長  渡辺桃代 氏 ■エーコープマーク品  いまおすすめのラインナップ ■未流通農産物の商品化  農家所得向上へJA全農の取組み ■JA全農の労働力支援の取組み ...

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日本農民新聞 2023年1月15日号

このひと   消費者と食品行政をめぐって   消費者庁長官 新井 ゆたか 氏      昨年7月、農林水産審議官から消費者庁長官に就任した新井ゆたか氏に、就任半年を振り返って、食品関係に絞って消費者行政への思いを聞いた。   消費者に関する施策を間口広く ■消費者庁長官に就任して半年。この間の感想から。  消費者庁は、商品の取引、製品や食品等の安全、表示など、消費者の安全・安心に関する問題を幅広く扱い、担当する省庁が明確でない、ルールがない、といった〝すきま事案〟と言われる問題も扱っている。設立当初、各省庁が所管する...

〈蔦谷栄一の異見私見〉21世紀の「武蔵野新田開発」構想

 新しい年を迎えたが、平和な一年となることを切に願う。  農業界では酪農に象徴されるように農家経営は逼迫し、経営の持続が懸念される中、食料安全保障や新基本法の検討、みどりの食料システム戦略の実践等重要課題が山積する現状にある。まさに農政のあり方も含めて抜本的な梃入れが求められるが、併行して地域レベルでの生産者や消費者が連携しての地域循環形成に向けての取組みも強く求められている。新年最初の記事でもあり、関連して自らの本年の目標、〝夢〟を語ってみたい。  江戸時代中期、享保の改革のいっかんとして行われた武蔵野新田開発を成功に導いた府中・押立村の名主で新田世話役として幕府に取り立てられた川崎平右...

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日本農民新聞 2023年1月5日号

2023 持続可能な農業・社会をめざして   〈本号の主な内容〉 ■年頭所感      野村哲郎 農相 ■JAグループトップ新春の決意  JA全中      中家徹 会長  JA全農      菅野幸雄 会長  JA共済連     青江伯夫 会長  農林中央金庫   奥和登 理事長  JA全厚連     山野徹 会長  家の光協会    栗原隆政 会長  ㈱農協観光  全国農協観光協会 櫻井宏 会長  文化連      八木岡努 会長 ■新春に想う  持続可能な社会づくりを地域レベルで  一橋大学 経済学部准教授 山下英俊 氏 ■20...

〈行友弥の食農再論〉1本の用水路から

 3年前、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲さんの記録映画「医師 中村哲の仕事・働くということ」を先日見た。中村さんについて一応は知っているつもりだったが、思っていた以上に偉大な人だったことがわかり、深く感銘を受けた。  中村さんは80年代からパキスタンで医療に携わり、旧ソ連の侵攻で荒廃したアフガニスタンにも診療所を開いた。戦乱と干ばつで農地はひび割れ、雑草も生えない状態だった。栄養と水の不足で単なる下痢でも命を落とす子どもたちに、彼は「100人の医者より1本の用水路だ」と立ち上がった。  畑違いの土木技術を学び、自ら図面を引いた。「農業をやり、自分たちの手で国を立ち直らせたい」と訴える現...

日本農民新聞 2022年12月25日号

〈本号の主な内容〉 ■政府が令和5年度予算案閣議決定  農林水産は微減の2兆2683億円  食料安保強化に向けた構造転換対策など11の重点事項 ■JA全農 日本産農畜産物の海外輸出戦略  JA全農 輸出対策部 髙木克己 部長 ■第40回全農酪農経営体験発表会  最優秀賞に北海道・浦部雄一さん ■第1回JAバンク経営者フォーラム  農林中央金庫が開催 ■令和4年度JA教育文化活動研究集会  家の光協会・家の光文化賞農協懇話会が開催 ■第12回 全国和牛能力共進会 鹿児島大会  和牛日本一の名誉賞に鹿児島(種牛の部)、宮崎(肉牛の部)  鹿児島勢が6部門で優等賞1席を獲...

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日本農民新聞 2022年12月15日号

  〈本号の主な内容〉 ■海外流出防止へ 農産物の知的財産管理検討会が提言取りまとめ〈農水省〉 ■農水省・環境省・消費者庁等が「おいしい食べきり」全国共同キャンペーン ■睡眠の質を高める音声コンテンツを公開〈JA全農〉 ■令和4年度JA助けあい組織全国交流集会  JA全中がオンライン開催 ■かお  JA共済連 常務理事の 森哲弥 さん  JA共済連 常務理事の 深井裕 さん  JA共済連 常勤監事の 後藤一英 さん ■TACパワーアップ大会2022  JA全農が11月17・18日開催  地域農業の担い手の要望を聞き、提案するTAC活動を表彰

〈蔦谷栄一の異見私見〉SDGsを下支えする資源リサイクル産業

 愛知県といえばトヨタ自動車、がすぐに頭に浮かぶように、自動車や機械等の製造業が盛んであるが、渥美半島の電照菊や施設園芸、名古屋コーチンがよく知られるように農畜産業も盛んで、農業産出額約4分の1を畜産が占める畜産大県でもある。  名古屋から西に名鉄電車を使って15分のあま市に、㈱堀田萬蔵商店を中心とする堀田グループの工場があり、友人からの誘いに乗って見学してきた。畜産物の資源リサイクルを業とするグループであるが、食用とならない不可食部位を食品原料・飼料・燃料等に再生利用するレンダリング事業、原皮・皮革事業、ペットフード事業の三つの事業からなる。  話しは一転するが、牛は概ね生体重量700k...

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日本農民新聞 2022年12月5日号

  〈本号の主な内容〉 ■農林中金が「第1回JAバンク経営者フォーラム」  JA経営層同士の相互研鑽、優良事例の横展開など ■施設園芸新技術セミナー・機器資材展in高知 開く ■JAグループが令和5年度畜産・酪農対策に関する政策提案  生産資材価格の高騰、長引く生乳需要の低迷などで  「生産現場は全国的に営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響」 ■農中総研が緊急フォーラム第3弾  世界と日本の食料安全保障を考える  ~世界で進む食料需給の構造変化と日本の食料安全保障~ ■「GAP Japan 2022」日本GAP協会が開く  「SDGsの達成に貢献す...

〈行友弥の食農再論〉未来を選ぶ「てまえどり」

 スーパーなどの食品売り場で「てまえどり」という表示を見るようになった。説明は不要かも知れないが、食品ロス削減の取り組みだ。手前に置かれた商品、つまり賞味期限が近いものを買うよう勧め、期限切れによる廃棄を減らす。少しでも新鮮なもの、日持ちするものを買いたいという消費者に再考を促す効果は大いにあるだろう。  文章で書くとこんなに長くなることを、たった5文字で伝える「てまえどり」。誰が考えたかは知らないが秀逸だ。行動経済学でいう「ナッジ」(ひじを軽くつつくように注意喚起し、望ましい行動に導く)の一種といえる。環境や人権など社会問題の解決につながるエシカル(倫理的)消費が叫ばれているが、理屈っぽい...

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日本農民新聞 2022年11月25日号

このひと   ロボットを活用した施設園芸の未来   AGRIST㈱ 共同代表取締役 兼 最高技術責任者 秦 裕貴 氏    経済産業省と日本機械工業連合会が主催し、農水省はじめ関係省が共催する第10回「ロボット大賞」で、再生可能な農業の実現をめざした自動収穫ロボットの活用に取組む宮崎県のAGRIST㈱が農林水産大臣賞を受賞した。児湯郡新富町を拠点に、自社農場を持ち施設園芸ピーマンの自動収穫ロボットに挑戦し続ける同社の秦裕貴代表に、同社の取組みと農業におけるロボットの将来像を聞いた。   現場で生産者の声を聞きながら ■ロボット...

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