JAグループ国産農畜産物商談会
出展者インタビュー
わがJAの加工食品の開発と販売
JAふらの(北海道)
加工食品部 東京営業所長
桑原春亀 氏
JA全農と農林中金は2月1、2日の両日、第17回「JAグループ国産農畜産物商談会」を、東京・港区の都立産業貿易センター浜松町館で開催する。コロナ禍でオンラインのみの開催が続いてきたが4年ぶりの会場開催となる。今回は「地域の魅力を未来につなごう!」をテーマに、86団体、106小間が出展し地域の特産品を紹介する。数年来、毎年出展している北海道・JAふらのの加工食品部は、レトルト食品を中心にオリジナル商品の開発・販売に取組んでいる。今回出展する〝イチオシ商品〟を東京営業所の桑原所長に聞いた。
農業者所得向上へ 積極的に責任果たす
■貴JA事業の基本方針から。
JAふらの管内は、玉ねぎを始めとした高収益作物で野菜産地を形成しており、JAは農業者の所得向上に責任を果たすべく積極的に対応をすすめている。より効率的な事業運営を目指すことと産地の基盤強化を図るべく、これまで以上に組合員の営農支援にあたり、各種事業を遂行するために組織体制の強化に取組んできた。エリア化による事業の効率化をすすめ、販売部では園芸の品目の受入施設集約によるコスト削減に着手している。
レトルト中心に ドレッシングやジュースも
■現在の主な取扱品目は?
レトルト関係をメインに50アイテムほどを扱っている。PR用のカタログの表紙は、「ふらの丘の上のレストラン」をイメージして、これからディナーに向かうような高揚感を出すデザインにし、それぞれの商品分野ごとにコース料理をイメージしたメニュー表を作った。
まずはスープ、パスタソース、カレー、ドレッシング、ジュース、その他ジャムやソース、ポテトチップスなどを揃えている。
当初は、製造委託先と、原料と商品を擦り合わせて品目を増やしていった。商談に行ったバイヤーからもらうヒントも開発に大きく貢献した。
玉ねぎはどの商品にも大体入っている。剥く、カット、みじん切りのソテーなどを行う工場をもち、一次加工で原料を用意できることが強み。玉ねぎとニンジンから多様な商品の開発を進めていった。
商品群充実へ、PB商品の提案も
■商品群の展開姿勢は?
例えば、『ブラックカレー』は、ブラックカレーと謳っている何軒かの店に製造委託メーカーの担当者と実際食べに行って、店の味をベンチマークにして作った。単品で出すよりも何品かをシリーズで提案した方が、卸やバイヤーに採用される確率が高かった。ドレッシングなども1品より2~3品置いた方が売場としては映える。『ブラックカレー』は、ビーフ、ポーク、焙りチキンの3品揃えた。
業務用ではなく直接消費者に向けた商品がほとんどで、商談会を契機に新規の売場を広げたり、スーパーのバイヤーの要望に応えたPB商品の開発につなげている。
差別化商品の追求
■加工食品市場の傾向は?
ここ数年は、コロナ禍での在宅勤務などでレトルト食品が伸びている。今までそれほど食べることが少なかった方もレトルト商品の種類や味の良さなど認識され、そこでうちの商品も広がりを見せたと考えている。
もう一つは価格帯の変化。JAふらのの商品は高い。十年前400円台のレトルトカレーはほとんどなかったが、北海道フェアなどでの集中的な営業を重ね「高いけど美味しい」という評価を得て売上を伸ばしていった。
今は更に上の価格のものも出て、これが中間的な商品の価格帯になった。そうした売場のなかで700~800円のスープカレーが売れている。
時代時代のニーズの変化は、東京でアンテナを張っていれば情報が入ってくる。そのタイミングを逃さずに開発していくことが大切だ。
新商品は何でも出せばいいというものではない。作ったからにはきちんと利益が出るように売っていかなければならない。賞味期限内に売り切るためには月どれくらい製造するのか等々を計算し、ロットを判断していくことが重要になる。
『大豆ミートのスープカレー』と『豚丼』で
■今回のJAグループ商談会への出品のメインは?
ここ数年、JAグループの商談会に毎年参加している。
この部署は食品卸を中心に営業しているので、食品卸の展示会をメインに参加してきたが、この商談会には加工食品を出品するJAも多く、量販店のバイヤーの来場が多い。この商談会の案内をすると、ぜひ行きたいというバイヤーもたくさんいる。販路を広げるためには有効な展示会と受け止め積極的に参加している。
出品は最近発売した商品をメインにしており、今回は昨年秋に発売した『大豆ミートのスープカレー』と、今年から展開する『豚丼』の2品を試食で案内することにしている。
近年の健康飲料に押されがちな野菜ジュースの需要の復活を願って『ニンジンジュース』にも力を入れる。
最近、植物を使用した代替肉の需要が伸びているなかで、原料の展示会でも大豆ミートを出展するメーカーも多い。
『大豆ミートのスープカレー』は製造委託先と協議を重ね原料にこだわって始めた。乾燥品を販売しているメーカーが多く、水に戻して成型するとどうしても大豆臭さが残るが、チルド状態で販売する商品は臭みがなく、これにソテーオニオンを加えてハンバーグとして再現したとことから開発をスタートした。この原料メーカーはエンドウ豆から抽出したタンパクエキスを加え、さらに大豆臭さを消すとともに肉の食感を出した。
スープカレー商品は、チキンレッグ、豚バラ、牛肉、ホタテ、エビ出汁+鶏手羽元とフルラインを揃え売上げも好調なことから、新たな具材として大豆ミートのハンバーグを採用した。価格は800円(税抜)。しかし国内では大豆ミート自体の市場がまだ確立されていない。もっといろいろなメーカーが大豆ミートを使用した商品を出して需要を掘り起こすことを期待している。海外では代替肉の人気が高いので輸出の可能性も当たっている。
『豚丼』は1月の展示会で初めて出品し非常に好評だった。価格は620円(税抜)。レトルト食品の丼ぶりの具商品はスーパーではあまり見かけないしメーカーも限られている。しかも大体が200円以下で販売されている。一方で高級スーパーや地域の名産品として500~600円で売っている物もある。まずは試しに定番の棚においてもらったり、北海道フェアなどで取扱ってもらいたいと考えている。
内容は北海道産の豚肉を甘辛く煮て玉ねぎ、ニンジン、タケノコを加えた。賞味期限は2年。新しいカテゴリーとして、まず1品から始め徐々に増やしていきたい。
〝ご褒美の食事〟レトルトへ
レトルト食品は今後さらに伸びていくだろう。1人暮らしや核家族がどんどん増え、簡便な食事の需要もますます高まると思うので、パッケージのままレンジで加熱できる商品も増えていくだろう。
片や、非常食や料理を作らないといったネガティブなイメージから抜け出した利用が増えていくとみている。「今日は手抜きでレトルトね」ではなく、「今日はご褒美でレトルトね」というような時代になるのではないか。ご褒美の美味しい食事としてレトルトの需要が増えてくるのではないか。
〈本号の主な内容〉
■JAグループ国産農畜産物商談会 出展者インタビュー
わがJAの加工食品の開発と販売
JAふらの 加工食品部 東京営業所 所長
桑原春亀 氏
■JA活力ある職場づくり全国ネットワーク研究会
JA全中が開催
■第17回 JAグループ国産農畜産物商談会
2月1・2日 東京都立産業貿易センター浜松町館で
JA全農・農林中金が開催