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日本農民新聞 2023年5月18日号

2023年5月18日

アングル

 

 

JA共済事業のこれから

 

JA共済連
経営管理委員会会長
青江伯夫 氏

 

 

 JA共済連は、5月18日に「令和4年度JA共済優績組合表彰式」を開催し、組合員・利用者に〝寄り添った〟活動を実践し、普及推進で優秀な成績を挙げたJAを表彰した。これに先立ち、JA共済事業をめぐる環境と、普及推進の成果を踏まえたこれからの共済事業のあり方への想いをJA共済連・青江伯夫経営管理委員会会長に聞いた。


 

大きな環境変化のなかで

この1年を振り返って。

 昨年度も1年を通して、新型コロナウイルス感染へのリスクを念頭においた行動を余儀なくされた1年でした。罹患された皆さまと、感染拡大により生活に多大なる影響を受けておられる地域の皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。コロナ禍も4年目に入り、またロシアによるウクライナへの軍事侵攻という民主主義の根底を揺るがすような事態もいまだ解決せず、世の中が大きく変化を続けています。

 こうしたなかで、昨年も豪雨や台風などの自然災害が発生し、加えて新型コロナウイルスの第7波の流行を受けて、JA共済事業は入院共済金の請求が急増する状況となったものの、迅速かつ円滑な支払い対応に一丸となって取り組んでいただいたことに感謝申しあげます。

 

600万人を超えた3Q活動

令和4年度の普及推進活動は?

 令和4年度における普及推進活動については、「JA共済3か年計画」の初年度として、全契約者への3Q活動の実践にむけた、対面と非対面が融合した効率的かつ組合員・利用者の利便に適う活動の展開を目指しました。また、生命保障を中心とした『ひと・いえ・くるま・農業』の万全な保障提供に向けた取組みを強化するとともに、WebマイページやJA共済アプリ、「げんきなカラダプロジェクト」など、利用者の満足度の向上に資するサービスの提供に努めました。さらに、LA・スマサポ体制・育成体制の整備、コロンブスをはじめとしたデジタル技術の積極的な活用に、系統一丸となって取組んでいただきました。

 その結果、極めて厳しい事業環境にあっても、保障性仕組みのLA実績は、前年を上回る結果となり、3Q活動の実施数も600万人を超え、組合員・利用者、地域の皆さまに安心の輪を広げることができたものと考えます。

 また、令和4年度にお支払いした共済金は、満期共済金等をあわせて3兆1086億円となり、全国の組合員・利用者の皆さまに安心をお届けすることができました。

 受賞組合はじめ、系統役職員のみなさま方のご尽力に改めて感謝と敬意を表します。

 

事業活動の大きな転換期

直面する課題と今後の対応は?

 令和4年度も自然災害の多発・激甚化や、新型コロナウイルスの感染拡大を繰り返すなかで、非対面・非接触をはじめとする新たな生活様式のもと、保障サービスのニーズの多様化やデジタル化がさらに進展しており、JA共済の事業活動のあり方も大きな転換期を迎えています。

 JA共済は、大きな環境変化のなかにあっても、変わらぬ「安心」と「満足」を組合員・利用者へ提供し続ける必要があり、「令和4年度から6年度のJA共済3か年計画では「新たな時代に、変わらぬ安心を~地域とともに、農とくらしの未来を支えるJA共済~」をスローガンに掲げ、各取組みを進めています。

 令和5年度は、今次3か年計画の単なる中間年度ではなく、大きな転換期を迎えた大事な年度です。このような大事な年度であるからこそ、共済事業の原点に立ち返り、組合員・利用者の〝生命と財産を守る〟という我々の理念や使命を果たす必要があります。

 そのために、重点取組事項に掲げた「事業基盤づくりに向けた共済事業体制総点検運動の展開」をはじめとする各取組みについては、今まで以上にJAと連合会が連携した取組みが必要となります。

 また、コンプライアンス態勢を強化し、JA共済の信頼性を向上させることが、組合員・利用者一人ひとりに寄り添った安心と満足の提供を使命とするJA共済の原点となることも忘れてはなりません。

 

「対面」と「非対面」の融合へ

5年度の普及活動のポイントは?

 令和4年度から6年度における3か年の普及活動計画では、持続可能な事業基盤の強化・確立に向けて、「『対面』と『非対面』が融合した全契約者・組合員への活動の実践」、「生命保障を中心とした「ひと・いえ・くるま・農業」の万全な保障の提供」、「全契約者・組合員への活動に向けたLA・スマサポ体制・育成体制の整備」、「各種施策の取組促進に向けたデジタル技術等の活用」の4つの重点事項を設定し、JAと連合会が一体となって普及活動を展開しています。

 令和5年度は、3Q活動の基本に立ち返り、今まで以上に組合員・利用者に〝寄り添った〟活動を実施する必要があります。先に挙げた重点取組事項を着実に実践するとともに、令和4年度の課題を踏まえ、各取組みを実施してまいります。

 また、デジタル技術等で非対面での効率化を図りながらも、JA共済事業は、組合員・利用者とお会いして、顔を見ながら、声を聴きながら活動することが大前提です。令和5年度はそのための活路が徐々に見いだしていけるのではないかと思っています。

 そして、「農業者」への保障提供の充足では、農業保障の案内活動を実践するとともに、地域・農業活性化積立金を活用した取組みや、農作業事故の未然防止活動の取り組みを引き続き強化してまいります。

 JA共済はこれまでの活動を通じて社会に認知され、頼られています。日本ではお守りを身につける習慣がありますが、そういった想いを込めて「組合員・利用者の人生における〝お守り〟はJA共済」となれるよう、皆さまとともにJA共済の次の100年に向けて、各取組みを一歩一歩前に進めてまいります。

 

身近な相談機能さらに強化を

改めてJA共済事業の意義を。

 JA共済がここまで伸長することができたのは、地域の相談機能も兼ねた組織であることが大きいと考えます。

 このJA共済しかない利点を最大限に活かすためにも、組合員・利用者、地域の皆さまに寄り添い、身近な存在として相談機能を強化するなど、さらに間口を広げていきたいと思います。これまでの活動を見直しつつ、事業に対して地道に謙虚に取組んでいけば、まだまだ展望は拓けると確信しています。

 事業環境が大きく変化している今こそ、原点に立ち返り、役職員一人ひとりが共済事業の原点をしっかり理解し、JA共済が大きく飛躍するための起点となる1年にしていく所存です。

 これからも組合員・利用者、地域の皆さまにさらなる「安心」と「満足」をお届けできるよう、これまで以上に強い使命感と情熱をもって、よりよい保障・サービスの実現と健全な経営による誠実な事業活動を行ってまいります。


 

〈本号の主な内容〉

■アングル
 JA共済事業のこれから
 JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏

■令和4年度 JA共済優績組合表彰 5月18日開く
 JA共済大賞 受賞JAの概要
 JA共済優績組合表彰 受賞JA一覧

■令和5年度 家の光事業の取り組み方向とポイント
 家の光協会 代表理事専務 河地尚之 氏

■オンラインJA経営者セミナー JA全中が今年度創設
 リアルとオンライン参加が可能
 定額で〝いつでも・どこでも・何人でも〟

蔦谷栄一の異見私見「協同組合間連携で『農あるまちづくり講座』」

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