日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈行友弥の食農再論〉嫌なニュース

 暑苦しい季節に嫌なニュースが続く。昨年度の食料自給率(カロリーベース)が37%と、93年に並ぶ史上最低になった。天候不順による小麦や大豆の不作が原因というが、米の作況指数が74だったあの年とはレベルが全く違う。農業者の高齢化と後継者不足で生産基盤の崩壊が進んでいることは明らかだ。  昨年は49歳以下の新規就農者が5年ぶりに2万人を割り込んだ。多くの産業が人手不足に悩む中、若い人材の奪い合いが起きている。自給率は仮想的な数字であり、天候など偶発的要因にも左右されるが、農地・人・技術という生産要素を総合した自給力の確保が課題だろう。  国連の気候変動政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化の影...

JA全農山﨑周二代表理事理事長インタビュー「これからの全農事業の舵取り」

日本農民新聞 2019年8月25日号

このひと これからの全農事業の舵取り JA全農 代表理事理事長 山﨑周二 氏  7月26日開かれた全農の通常総代会後の経営管理委員会で、代表理事理事長に山﨑周二氏(代表理事専務)が就任した。山﨑新理事長に、4月からスタートした中期3か年計画を踏まえた、これからの全農の方向と舵取りへの思いを聞いた。 全農グループの存在感を明確に示す ■全農理事長に就任されたご心境は?  退任直前までトップスピードで走り続けた神出前理事長からバトンを渡されました。スピードを緩めず力強く走っていかなければリレーには勝てないとの思いを強めています。  4月にスタートしたばかりの中期3か年計画をき...

家の光協会 代表理事会長 中出篤伸 氏

日本農民新聞 2019年8月15日号

このひと   家の光事業の果たす役割   家の光協会 代表理事会長 中出篤伸 氏    家の光協会の6月25日の通常総会後の理事会で、代表理事会長に中出篤伸氏(奈良県農協中央会代表理事会長)が選任された。JAグループ全体で今年度から新たな中期計画に取り組み始めた組織が多いなか、今後のJAグループ事業に果たす家の光事業の役割や展望を中出新会長に聞いた。 JA教育文化活動のさらなる活性化 ■就任の抱負を。  平成4年、農業協同組合のマークが「稲穂」から「JA」に変わったとき、「農協もこれからは大きく変わっていかなければ、環境の変化についていけ...

〈蔦谷栄一の異見私見〉小さいことに価値を置く令和に

 平成から令和へと元号が変わったが、振り返ってみれば平成はTPPやFTAに象徴されるようにグローバル化の進展が顕著であり、これを必然化させたのが利益追求と組織化・システム化・規模拡大であろう。組織化・システム化・規模拡大は市場化・自由化の流れの中で膨張を続け、大きくなることによって利益と競争力を確保すると同時に競合相手を倒したり吸収・統合してきた。こうしているうちに国内でのマーケットは成熟してしまい、一方で生産能力は過剰化して、海外にマーケットを求めるしかなくなったというのがグローバル化の本質と考える。この間、競争に勝ち抜いていくためにコスト低減が至上命題となり、低廉な労働力を求めて生産拠点の...

㈲木之内農園代表取締役会長/東海大学経営学部学部長木之内均氏

日本農民新聞 2019年8月5日号

このひと 野菜園芸経営の将来展望 ㈲木之内農園  代表取締役会長 東海大学  経営学部学部長 木之内均 氏  熊本でイチゴを中心に大規模な施設園芸を展開する㈲木之内農園は、熊本地震での壊滅的な被害を乗り越え、新しい農業スタイルの創造を目指している。木之内均会長は、7月に熊本市で開かれた全国野菜園芸技術研究会で、これからの野菜園芸経営の将来展望を要旨次のように語った。 農業者が農業者を育てる仕組づくりを ■自身の経営の概要から。  「㈲木之内農園」は、南阿蘇農場でイチゴ、ミニトマトを中心に9ha、大分県境の波野農場で露地野菜8haを栽培。社員20名、パート8名で、観光農園...

〈行友弥の食農再論〉『農福連携』が消える日まで

 静岡県浜松市で野菜の施設園芸を営む「京丸園」の鈴木厚志社長は困惑した。規模拡大のため従業員を募集したら、障害のある子とそのお母さんが訪ねてきたからだ。「障害者に農作業は無理」と考えて断ったが、母親は「給料はいらないから働かせて」と頼み込んだ。1週間だけ農作業体験として受け入れたが「給料はいらないから」という言葉が鈴木さんの頭をしばらく離れなかった。  福祉施設に勤める知人に聞くと「もし就職できなければ、その子は福祉施設に行く。それは面倒をみてもらう立場になるということだ」と言われた。鈴木さんは「仕事はお金のためにするもの」と考えていた自分を恥じ、農業を福祉に生かすことを考え始めた。  障...

日本農民新聞 2019年7月25日号

〈本号の主な内容〉 ■JA全農新3か年計画と2019年度事業のポイント 〇畜産総合対策  JA全農 畜産総合対策部 小林茂雄 部長 〇畜産生産事業  JA全農 畜産生産部 齊藤良樹 部長 〇酪農事業  JA全農 酪農部 鈴木富雄 部長 〇営業開発事業  JA全農 営業開発部 山田尊史 部長 〇施設農住事業  JA全農 施設農住部 根倉修 部長 ■行友弥の食農再論「『農福連携』が消える日まで」

果樹の施設生産における最新の動向:施設と園芸

施設と園芸186号(2019年夏)特集:果樹の施設生産における最新の動向

巻頭言 果樹の施設園芸の発展に向けて 農研機構 果樹茶業研究部門 企画管理部長 中村ゆり ■特集■ 果樹の施設生産における最新の動向 ・わが国の果樹施設栽培における現状と課題、今後の方向性  千葉大学大学院園芸学研究科 園芸産業創発学研究室 大川克哉 ・ハウスミカンの省エネルギーと高品質・多収生産  大分県農林水産研究指導センター 農業研究部果樹グループ 主幹研究員 矢野拓 ・ハウスミカン栽培におけるヒートポンプの有効活用技術  佐賀県果樹試験場 常緑果樹研究担当 松元篤史 ・水稲育苗ハウスを活用したブドウのアーチ栽培  新潟県農業総合研究所園芸研究センター 根津潔 ...

全国野菜園芸技術研究会 会長 渋谷忠宏 氏

日本農民新聞 2019年7月15日号

このひと   全野研の役割と想い   全国野菜園芸技術研究会 会長 渋谷忠宏 氏    野菜農家がつくる全国野菜園芸技術研究会(全野研)は今年3月の通常総会で新会長に神奈川県のトマト農家の渋谷忠宏氏を選任した。渋谷新会長に、就任の抱負と今後の研究会の活動、また7月16・17の両日、熊本県で開催される第64回「全国野菜園芸技術研究会 熊本大会」への想いを聞いた。 収量以外にも所得増やす方法を検討 ■就任の抱負を。  当会ではこれまで〝儲かる農業〟を目指して、全国の農家の皆さんから増産・増収に関する取り組みを学び、お互いの技術を高...

〈蔦谷栄一の異見私見〉「家族農業の10年」で変えていくために

 「家族農業の10年」がスタートしたが、昨年12月の国連総会で決議された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言(小農の権利宣言)」とともに、家族農業と小農についての議論が広がりつつある。  「農家・市民・地域・運動・NGO・研究者などの交流・連携を深める『場』として、2019年1月に設置」された“国連小農宣言・家族農業10年連絡会”によって、参議院議員会館と衆議院第二議員会館で既に2回にわたって院内集会が開催されたのをはじめ、各地でさまざまな動きが展開されているが、正直なところまだ議論は空回りし本格的な始動には至っていないと言わざるを得ない。その主因は、国連で小農権利宣言を採択するに...

JA全国女性組織協議会 会長 加藤和奈 氏

日本農民新聞 2019年7月5日号

このひと   JA女性組織活動のこれから   JA全国女性組織協議会 会長 加藤和奈 氏   女性の意識改革に力 SDGsの視点で活動を再確認  JA全国女性組織協議会は5月16日の通常総会で、新会長に加藤和奈氏(JAあいち女性協議会会長、JAあいち海部女性部部長)を選任した。加藤氏に、就任の抱負と、これからのJA女性組織活動への想いを聞いた。   〝わがJA〟意識を醸成 ■会長就任の抱負を。  まずは各地の女性がJA運営への参画を進めるよう、私たちを含め、女性組織に参加する方々の意識を変える活動を行いたい。 ...

施設園芸新技術セミナー・機器資材展 in 千葉

施設園芸・植物工場における先進技術と関東(千葉県)の地域農業を支える施設園芸 開催終了 ●会期 2019年8月7日(水)~8日(木) ●会場 千葉県東総文化会館(千葉県旭市ハの666番地) JR総武本線旭駅より徒歩15分 東京駅~旭駅90分(特急利用) ●参加費 セミナー聴講:1,000円(2日間でも1,000円) 【テキストは2,500円/1冊】 機器資材展見学のみは入場無料 〈開催案内・参加申込書〉 〈機器資材展・出展案内〉  《機器資材展 出展企業・団体、出展内容 紹介》 本セミナーは、「施設園芸・植物工場における先進技術と関東(千葉県)の地域農業を支える施設...

施設園芸新技術セミナー・機器資材展in千葉 出展企業・団体 出展内容 

トヨタネ株式会社 ◆出展内容=「ココバッグシステム」・・養液栽培に最低限必要な内容を追求した簡単・安価な培地管理システム。培地は研究農場での試験結果に基づいた空気層を豊富に含んだオリジナルの配合。実績豊富な栽培マニュアルと充実のアフターフォローにより、さらなる高収量・高品質を実現します。 ◆プレゼンテーション(7日予定)=日本版セミクローズドハウス「Profarm T-cube」・・ハウスに本当に必要な機能をワンパッケージで提供。必要換気量に合わせて吸気FAN・機器を制御するスマート制御により、気流・気温・CO2濃度が均一化され、安定した栽培環境を実現します。 株式会社サカタのタネ ◆...

第64回 全国野菜園芸技術研究会 熊本大会

●会期:2019年7月16日(火)…講演・事例報告       7月17日(水)…視察研修(予定) ●場所:くまもと森都心プラザ(熊本市) 開催要領は、全野研ホームページでご案内しております。 野菜園芸生産者の全国組織である全国野菜園芸技術研究会(全野研)は、毎年全国各地で生産・流通・販売・経営の先進事例に学ぶ、全国大会を開催しています。 今年は園芸生産の盛んな熊本県で大会を開き、野菜生産者同士の活発な情報交換を通じて、各自の技術向上や経営発展を目指します。 ぜひ皆様でお誘いあわせの上、ご参加ください。

〈行友弥の食農再論〉教訓を語り継ぐ

 今月8日、福島県二本松市の東和地区に「里山文化あぶくま研究所」が設立された。研究所といっても学術研究が目的ではない。里山の生活文化を継承し、福島原発事故で傷付いた農と地域社会の再生を目指す取り組みだ。  設立の会には多彩な顔ぶれが集まった。地元農家や研究者、学生、ジャーナリストら数十人が地域の現状と未来を熱っぽく語り合った。  しかし、真の主役は2年前に63歳で亡くなった新潟大の野中昌法教授だった。野中さんは原発事故後の福島へ通い続け、有機農業の土づくりによる放射能汚染の克服に力を尽くした。その成果は著書「農と言える日本人」に詳しい。  事故直後は被災地を単なる「事例」と見て、一方的な...

農林水産業みらい基金 事業運営委員長 山口廣秀 氏

日本農民新聞 2019年6月25日号

このひと 農林水産業みらい基金の運営方向   一般社団法人 農林水産業みらい基金 事業運営委員長 山口廣秀 氏  ※廣はまだれに黄   農林水産業と食とくらしの発展へ チャレンジに“あと一歩の後押し”を    2014年、農林水産業と食と地域のくらしを支える全国各地の取組みの支援を目的に、農林中金が200億円を拠出し「農林水産業みらい基金」(以下=基金)は設立された。この5年の取組みを振り返りつつ、今後の基金の運営方向を、助成対象案件を審査・選定している事業運営委員会の委員長を務める山口廣秀氏に聞いた。 ※廣はまだれに黄 &nbs...

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イーグルデザイン採用の乗用田植機を10月発売=三菱マヒンドラ農機

 三菱マヒンドラ農機(株)は10月からイーグルデザインを採用した乗用田植機5機種の販売を開始する。  ▼LKE60AD〔写真〕=従来の紙マルチ田植機「LKE60AD」にイーグルデザインを採用してイメージを一新。パワフルかつ低振動・低騒音で20・5馬力のハイパワークリーンディーゼルエンジンを搭載。また、田植えと同時に田面に専用の再生紙を敷き詰めることで雑草を抑制する。  ▼LE50/60/70/80ADシリーズ=同シリーズは5~8条田植機をラインアップ。湿田での走行性能に優れ、パワフルかつ低振動・低騒音で20・5馬力を発揮するハイパワークリーンディーゼルエンジンを搭載。LEDヘッドランプを採...

農林中央金庫大竹和彦専務理事

日本農民新聞 2019年6月15日号

アングル 次期JAバンク中期戦略のねらいとポイント 農林中央金庫 専務理事 大竹和彦 氏 変化を追い風に 新たな価値創造へ挑戦 農林水産業を牽引しさらなる持続的成長を  JAバンク(JA・信連・農林中金)は、本年4月からスタートする「JAバンク中期戦略」(平成28~30年度)を策定した。JAバンクが3か年ごとに策定する総合的戦略である「中期戦略」のねらいとポイントを、農林中金の大竹和彦専務に聞いた。 10年後のJAバンクの目指す姿掲げ ■まず、現JAバンク中期戦略の成果から。  今年度は、現行の中期戦略(25~27年度)の最終年度にあたります。現行中期戦略では、10年後...

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農業女子の声反映した自動応答サービスを開始=日本農薬

 日本農薬(株)はこのほど、ホームページ上でAIを活用した自動応答プログラム「チャットボット」によるサービス(https://www.nichino.co.jp/products/index.html)を開始した。  農薬を使った作物の安全性、農薬登録の流れ、農業場面の病害虫解説やおすすめ製品の紹介などに限定し、ホームページ上に表示されたフクロウのキャラクター「レイミー」が回答する仕組み。  今後は利用者が入力する単語から興味や関心を分析、「ニーズにあったコンテンツ」として充実させる予定。同サービスは、農水省が推進する「農業女子プロジェクト」に同社が参画する中で、独自企画として立ち上げた「...

ブロッコリーの出荷予測モデルを開発・実証開始=NTTデータ、JSOL

 (株)NTTデータと(株)JSOLは、JA香川県、生産者部会、香川県および市町村等と5日、「香川県スマート農業技術推進連絡協議会」を設立した。同協議会では、NTTデータが2018年10月から提供している、営農支援プラットフォーム「あい作」を活用して、農作物の出荷予測モデルの構築を目指す。品種ごとの栽培記録・地域ごとの気象情報・出荷管理データを分析し、地域全体で精度の高い出荷計画策定に向け、実証を進める。まずは、香川県内のブロッコリーで出荷量の予測モデルを構築、順次県内の他品目にも展開を見込む。  NTTデータは、出荷予測モデルを現場で利用するにあたり、生育状態の記録を「あい作」で実施。出荷...

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