日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2019年8月15日号

2019年8月15日

家の光協会 代表理事会長 中出篤伸 氏このひと

 

家の光事業の果たす役割

 

家の光協会
代表理事会長
中出篤伸 氏

 

 家の光協会の6月25日の通常総会後の理事会で、代表理事会長に中出篤伸氏(奈良県農協中央会代表理事会長)が選任された。JAグループ全体で今年度から新たな中期計画に取り組み始めた組織が多いなか、今後のJAグループ事業に果たす家の光事業の役割や展望を中出新会長に聞いた。


JA教育文化活動のさらなる活性化

就任の抱負を。

 平成4年、農業協同組合のマークが「稲穂」から「JA」に変わったとき、「農協もこれからは大きく変わっていかなければ、環境の変化についていけなくなる」と、痛感しました。
 以後、JAは支店の統廃合をはじめ様々な合理化を進めてきました。収益があってはじめて、組合員の所得向上や地域の活性化につなげていくことが可能となり、JAの存在に価値がでてきます。そのJAという〝足元〟が崩れたら全国団体の存在もあり得ません。その意味でも全国連は、もっと改革を進めていかなければなりません。改革にはリスクが伴いますが、もはや避けて通ることはできません。
 今までにない大きな環境変化のなかで、JAグループの出版・文化団体である家の光協会は、JAの自己改革の実践を支援していくために、普及活用運動の提案力を強化し、JA教育文化活動のさらなる活性化をめざしていかなければなりません。
 とくに『家の光』は、大正14年の創刊から、令和7年に100周年の節目を迎えます。これまで継続してきた歴史を振り返るとともに、現在の環境やニーズに合わせ見直し、より組合員や地域に貢献できる内容に改革していく必要があると思っています。

 

農業・農村、JA、協同組合意義を浸透

JAグループにおける家の光事業の位置づけは?

 家の光事業は、『家の光』『地上』『ちゃぐりん』『やさい畑』「家の光図書」の普及や、JA教育文化活動等の展開などによって、農業・農村、JAの事業・活動、協同組合の意義を組合員や地域の皆さんに浸透・定着させる役割を担っています。組合員から必要とされるJAとなるためには、JAからの発信力強化が欠かせません。そこを支援していくのも本会の役割だと思います。また、若い世代の雑誌や新聞離れが進むなか、それに代わる何かを求めていくことが問われています。
 今、『家の光』は来年の創刊95周年にむけて、見やすいデザインへの変更や、AR動画の正式導入などのリニューアルに取り組んでいます。
 今年の5月号からは、スマートフォンやタブレット専用のサービス、アプリ「家の光AR」を始め、スマホをかざすと動画が楽しめるようになりました。12月号では、一部企画をウェブでも閲覧できるようにし、情報の共有・活用の利便性を向上させ、誌面と動画でインパクトある記事活用をめざしているところです。
 こうした新たな取り組みにもどんどん挑戦し、「読まなければ話についていけない、遅れてしまう」と思えるような企画を積極的に発信していきたいと思います。

 

共感の輪広げ、協同の心育む

とくに力を入れていきたいことは?

 農業と地域をどのように未来に結び付けていくかは、家の光協会の存続にもつながっていきます。持続可能な農業の実現、豊かでくらしやすい地域社会の実現に、協同組合の役割を発揮していくことが、農業と地域の未来につながると確信しています。そのために、家の光協会としてJA教育文化活動を支援し、地域に根ざしたJAの存在意義を積極的にPRしていきたいと思います
 JA教育文化活動を通じたJA自己改革の実践を支援し、連携による地域の活性化への貢献、組合員のアクティブ・メンバーシップの確立支援、食・農・協同組合にかかる国民理解の醸成に取り組んでいきます。
 『家の光』創刊100周年ビジョンでは「つながる・広がる・願いがかなう、〝共感の輪〟」「人・組織・地域の幸せづくりをめざす農協運動の底力」を掲げています。役職員・組合員一人ひとりの力をあわせて組織基盤を固め、JAの事業・活動への広い理解と共感を促し、「協同の力」を結集して、難局を一つずつクリアしていかなければなりません。
 家の光事業は今年度からの3か年計画で「共感の輪を広げ、育もう協同の心 拓こう農業と地域の未来」をスローガンに、役割発揮に取り組んでいます。農協運動の底力となる家の光事業をめざしていきたいと思います。


 

〈本号の主な内容〉

■このひと 家の光事業の果たす役割
 家の光協会 代表理事会長 中出篤伸 氏

■JA共済連 平成30年度の取り組みと成果

■効率的な農業経営へ スマート農業の普及に向けて
 ・JA全農の取り組み
  JA全農耕種総合対策部スマート農業推進室長 平野幸教 氏
 ・スマート農業導入の現場から
  たけもと農場(石川県)

■森林組合トップセミナー 森林再生基金事業発表会
 全森連、農林中金が開催

■「教育文化・家の光プランナー」専修講座
 家の光協会が開催

■農業系教育機関のいま【福島大学 農学群食農学類】
 福島大学 農学群食農学類長 生源寺眞一 氏

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