日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈蔦谷栄一の異見私見〉異常気象は行き過ぎた近代化・工業化への警鐘

 この7月には熊本を中心に宮崎、鹿児島で記録的な豪雨と洪水。間もなく豪雨は東に飛んで岐阜、長野で。さらに福岡や大分、広島でも発生し、甚大な被害をもたらした。しかも日本でのこうした非常事態発生に目が釘付けになっている間に、お隣の中国でも記録的大雨により長江流域で洪水が発生し、東京都の人口を上回る1500万人もが避難し、経済損失は何と1.3兆円に及ぶ見通しとの報道もある。異常気象は日本にとどまらず、地球規模で頻発しており、大雨、干ばつ、森林火災等が各地で発生している。  鬼頭昭雄『気候は変えられるか?』によれば、地球の気候の変動は、「大気・海洋・雪氷圏などからなる気候システム自体の内部変動による...

農林中金バリューインベストメンツ奥野一成常務取締役兼最高投資責任者(CEO)「新型コロナ禍の社会と投資方向」

日本農民新聞 2020年8月5日号

このひと 新型コロナ禍の社会と投資方向 農林中金バリューインベストメンツ㈱ 常務取締役 兼 最高投資責任者(CEO) 奥野一成 氏  農林中金バリューインベストメンツ(NVIC=新分敬人代表取締役社長)は、国内外の上場株式への長期厳選投資をコンセプトに投資運用業務を展開している。〝アフターコロナ〟〝ウィズコロナ〟と呼ばれるこれからの時代の金融・経済情勢等について、運用の最前線に立つ同社の常務取締役 兼 最高投資責任者(CIO)、 奥野一成氏に話を聞いた。 新型コロナ禍もチャンスと捉え ■新型コロナ禍での金融・運用環境をどのように捉えるか。  個人の生活の立場からすると、と...

選果・出荷・流通技術の動向:施設と園芸190号

施設と園芸190号(2020年夏)特集:選果・出荷・流通技術の動向

巻頭言 野菜の生産から出荷・流通の合理化と発展に向けて~「Society 5.0」実現への取組み~ 農研機構 野菜花き研究部門長 岡田邦彦 ■特集■ 選果・出荷・流通技術の動向 青果物の流通における包装による品質制御 (千葉大学大学院園芸学研究科 教授 椎名武夫) 低段密植栽培高糖度トマトの選果データに基づく販売管理と顧客への対応 (㈱新門トマト農園 代表取締役 新門 剛) JA熊本市における野菜広域選果の取組みの現状と課題 (熊本市農水局西南部農業振興センター 所長 岡本 岬) 高品位選別システムを導入した高糖度トマト専用集出荷場の概要と運用 (JAおおいがわ 高糖度...

〈行友弥の食農再論〉グリーンリカバリー

 先日、ある講演会で残念な話を聞いた。新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされた人が農業現場へ働きに行ったが、その後で「あんなひどい仕事とは思わなかった。二度とやりたくない」と感想を漏らしたという。外国人技能実習生らが来られなくなり、人手不足に陥った農業を、休・廃業に追い込まれた業界の人々が支えれば一石二鳥だし、新規就農者を増やす呼び水にもなるのでは、と期待していたが、少し甘かったようだ。  こんなことでは、ますます農業が敬遠されてしまう可能性もある。それに、やはり技能実習生らは劣悪な条件で酷使される存在だったのか、と胸が痛む。  もちろん、実習生を手厚く処遇してきた農業者もおり、講演...

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日本農民新聞 2020年7月25日号

このひと   JAにおける旅行事業の役割   山形県 JAさがえ西村山 代表理事組合長 安孫子常哉 氏    (株)農協観光はこのほど、令和元年度に旅行や各種イベント等を通じてJAや地域コミュニティの活性化に貢献し、優れた事業実績を収めたJA・組織を表彰する優績JA表彰受賞JAを決定し、最優秀賞に山形県・JAさがえ西村山を選定した。平成25・28年度に続き受賞した同JAの安孫子常哉組合長に、JA旅行事業の取り組みと事業が果たす役割について聞いた。   組合員・地域との架け橋として貢献 ■3回目の最優秀賞受賞の感想を。  長...

日本フードサービス協会赤塚保正会長

日本農民新聞 2020年7月15日号

このひと 外食産業と日本の農業 日本フードサービス協会 会長 赤塚保正 氏  日本フードサービス協会(JF)は、5月の総会で第19代会長に赤塚保正副会長(㈱柿安本店代表取締役社長)を選任した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外食産業全体が厳しい環境にあるなか、これからの外食産業のあり方への想いを赤塚新会長に聞いた。 協会に「ご縁」と「ご恩」、これまでの集大成を今こそ発揮 ■就任の経緯と抱負から。  会長就任は私にとって、これまでのJFとの「ご縁」と「ご恩」に伴う天命だと思っている。  柿安本店がJFの会員となって約40年。先代社長の父も副会長をはじめ20年近くJFの役...

施設園芸新技術セミナー・機器資材展 in 佐賀 出展企業・団体 出展内容

施設園芸新技術セミナー・機器資材展 in 佐賀へ シーシーエス㈱ ◆出展内容=トマト、キュウリ等の果菜類の収量増、品質向上に効果のある樹間補光用LED照明をご紹介します。品目毎の事例集も配布しており、冬期の収量40%増の事例もございます。高圧ナトリウムランプを代替可能な高出力LED照明もございます。また、紫外線LEDを使用した光殺菌もご紹介します。 ㈱村田農場 ◆出展内容=苗は土づくりから始めます。地元有機物を原材料として育てる環境にやさしい手作りの苗です。昔ながらの育苗を大切にし、生産者の皆様に「選ばれる」育苗を続けています。 ㈱サカタのタネ ◆出展内容=クラウド連携型DIY...

〈蔦谷栄一の異見私見〉期待したい「農林水産省環境政策の基本方針」の全面展開

 新たな食料・農業・農村基本計画がスタートした。基本構図は従来方針を踏襲しながら高齢化や人口減少の進行を踏まえて地域政策の展開を強化しようとしているように理解される。環境政策については、第3「食料、農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策」の2「農業の持続的な発展に関する施策」の一番最後となる(8)で「気候変動への対応等への環境政策の推進」に取り上げられているように位置づけはきわめて弱い。  筆者が座長をつとめる「持続可能な農業を創る会」は、基本計画の抜本的見直しを求めて2月に提言をとりまとめ、農水省事務次官への提言・要請を行った経過がある。その提言の主となるのは、①持続可能な農業の...

馬場利彦日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務

日本農民新聞 2020年7月5日号

第98回国際協同組合デー 記念インタビュー -ウィズ・コロナの時代- いまこそ協同組合の連携を力に 日本協同組合連携機構(JCA) 代表理事専務 馬場利彦 氏 労働者協同組合法の実現に向けて ■まず、労働者協同組合法案が国会に提出されたことへの思いから。  6月12日に、労働者協同組合法案が与野党全会派の賛同を得て衆議院に提出された。関係者の長年の課題であった協同労働の法制化が、次期国会で成立の運びとなったことは、日本協同組合連携機構(JCA)としても本当にうれしい。  この法案の第1条では、「組合員が出資しそれぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、自ら事業に従事する...

農業関連団体総会|日本農業法人協会

 公益社団法人日本農業法人協会(山田敏之会長)は6月30日に開いた総会で令和元年度事業報告・決算等を承認するとともに、理事の補充・選任を行い、新理事に稲垣照哉氏(一般社団法人全国農業会議所事務局長)を新たに選任した。任期は令和3年6月総会終結まで。  なお、令和元年度事業報告書(平成31年4月~令和2年3月)によると、令和2年3月31日現在で会員は2057会員と前期末に比べ54会員増加している。

inahoが農研機構等の実証事業に採択

 自動野菜収穫ロボットを開発するinaho㈱(代表取締役=菱木豊/大山宗哉)は、農研機構の「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」等実証事業・補助金プロジェクトに採択された。  今回、同社が採択されたのは、上記の農研機構事業、農研機構生物系特定産業技術研究支援センターの「イノベーション創出強化研究推進事業」、経産省の「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」の3事業。同社では「自動野菜収穫ロボットを通じて、日本の農業が抱える人手不足と経営課題を解決する」としている。 ※詳報は日刊アグリ・リサーチに掲載しています。

内藤邦男理事長再任=JA共済総研

 一般社団法人JA共済総合研究所は6月22日の通常総会で任期満了に伴う役員の選任を行うとともに、29日の理事会で内藤邦男理事長、有長光司専務理事を再任した。  通常総会では令和元年度の貸借対照表及び正味財産増減計算書の承認を受けた。また、令和元年度の事業報告を行い、これまで実施してきた調査研究等内容の検証・課題の洗い出し等により調査研究等のさらなる充実強化をはかるよう取り組んだこと等が報告された。  なお、今回の通常総会・理事会における決議・報告事項は、新型コロナウイルス感染予防の観点から、全正会員・全役員からの書面による同意等の意思表示により決議・報告があったとみなしたものである。

人事|JA三井リース

 JA三井リース㈱は7月1日付で機構改組を行う。システムイノベーション部システム推進室を「IT基盤統括室」に、同システム統括室を「IT業務推進室」に名称変更するとともに、以下の通り人事異動を行う。  ▽システムイノベーション部IT基盤統括室長(システムイノベーション部システム推進室長)田中洋二▽同部IT業務推進室長(システムイノベーション部システム統括室長)吉田潤

JAグループ北海道=中央会長に小野寺俊幸氏、ホクレン会長に篠原末治氏

 JA北海道中央会、ホクレン、共済連北海道本部、信連、厚生連は役員の選任を行い、中央会代表理事会長に小野寺俊幸氏(JAところ)、ホクレン代表理事会長に篠原末治氏(JA士幌町)、共済連北海道本部運営委員会会長・厚生連代表理事会長に中瀨省氏(JA北はるか)を選任した。信連経営管理委員会会長の佐藤彰氏は再任。その他の役員は以下の通り。 【中央会】▽副会長理事=串田雅樹(新・JA十勝清水町)▽専務理事=柴田倫宏(再) 【ホクレン】▽代表理事副会長=畠山良一(新・JA新はこだて)、村木秀雄(新・JAいわみざわ)、西川寛稔(新・JA中春別)▽代表理事専務=箱石文祥(新・代表理事常務)▽代表理事常務=矢...

人事|農水省

〔7月1日付〕▽水産庁増殖推進部参事官(国立研究開発法人水産研究・教育機構水産工学研究所水産業システム研究センター長)越智洋介▽同庁同部漁場資源課生態系保全室長(水産庁増殖推進部栽培養殖課課長補佐)金子守男 〔6月30日付〕▽退職・国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所業務推進部長へ(水産庁増殖推進部参事官)藤井徹生

施設園芸新技術セミナー・機器資材展 in 佐賀

施設園芸・植物工場における先進技術と九州(佐賀県)の地域農業を支える施設園芸 ●会期 2020年9月3日(木)~4日(金) ●会場 武雄市文化会館(佐賀県武雄市武雄町) 佐世保線「武雄温泉駅」より徒歩12分 博多駅~武雄温泉駅約75分(特急利用) ●参加費 セミナー聴講:1,000円(2日間でも1,000円) 【テキストは2,500円/1冊】 機器資材展見学のみは入場無料 《開催要領》 《講演プログラム・参加申込書》 《機器資材展 出展案内・出展申込書》 《機器資材展 出展企業・団体、出展内容紹介》  本セミナーは、「施設園芸・植物工場における先進技術と九州(佐賀県...

〈行友弥の食農再論〉本当に必要な人へ

 二十数年前、記者として横浜に勤務していたころ、寿町を何度か訪ねた。かつては港で働く日雇い労働者たちが暮らした地域。東京の山谷、大阪の釜ヶ崎と並ぶ「日本三大ドヤ街」の一つだ(ドヤは「宿」の隠語で、低料金で泊まれる簡易宿泊所のこと)。たまたま寿町の住人を支援する団体の幹部と飲み屋で知り合い、興味を抱いた。  昔は物騒な事件が多かったそうだが、意外に静かだった。その幹部は「もう、ここは労働者の街とは言えない。今は生活保護で暮らす高齢者や病人の方が多い」と教えてくれた。バブル崩壊後、日雇い仕事が激減したという。  他のドヤ街も同じらしい。先日、釜ヶ崎の現状を描いたNHKのテレビ番組を見た。段ボー...

農水省生産局渡邊毅畜産部長

日本農民新聞 2020年6月25日号

アングル 畜産・酪農の現状と新たな酪肉近のポイント 農林水産省 生産局 畜産部長 渡邊毅 氏  インバウンド需要の大幅な減少や学校給食向けの牛乳休止など、新型コロナウイルス感染症の拡大は国内の畜産・酪農業に大きな影響をもたらしている。  一方、今年4月に開始した基本方針「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)」では、状況変化を踏まえ10年先の酪農・肉用牛の政策方向を決定した。畜産・酪農業の現状と「酪肉近」のポイントについて、農林水産省の渡邊毅畜産部長に聞いた。 急に止められない生産 余剰在庫回避に支援策 ■まず、新型コロナウイルスの影響と対策について。 ...

鈴木宣弘教授(東京大学大学院農学生命科学研究科)

日本農民新聞 2020年6月15日号

このひと コロナ・ショックが 基本計画の具体化に問うもの 東京大学 大学院 農学生命科学研究科 教授 鈴木宣弘 氏  3月決定した新たな食料・農業・農村基本計画にも急遽記述が加えられた新型コロナウイルス感染症問題。人々の健康はもとより経済・社会活動が地球規模で極めて深刻な打撃を受け、食料安全保障上の問題も懸念される中、日本の食料・農業・農村に突きつけられた課題や〝コロナ後〟を見すえた今後などについて、鈴木宣弘東大大学院教授に聞いた。 過度の貿易自由化に歯止めを ■新型コロナウイルスの世界的感染拡大にともなう食料・農業・農村への影響・課題は?  新型コロナウイルス感染症の...

〈蔦谷栄一の異見私見〉コロナで加速させたい田園回帰の流れ

 「田園回帰志向強く」「東京圏在住 半数『移住に関心』」「農業人気」は、先の5月24日付日本農業新聞の第1面真ん中に掲載された記事の見出しである。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県の在住者を対象に行ったアンケート調査の結果を報じた衝撃的記事だ。同本部が本年1月に、20~59歳の男女1万人を対象にインターネットで実施したもので、全体の49.8%が1都3県以外での地方圏暮らしに関心があると回答している。しかも若い世代ほど移住の意向が強い傾向にあるとしている。あわせて「やりたい仕事」では、「農業・林業」が15.4%で最多となっており、「宿泊・飲食サービス」14....

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