日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈蔦谷栄一の異見私見〉親環境農業をリードするカンドン農協

 GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の失効は免れたものの、日韓関係は最悪の状況が続いている。こうした時ほど民間レベルでの交流が重要だ、との思いも手伝って、韓国の都市農業や協同組合を中心にヒアリングや現地調査に出かけてきた。  訪問先で最も興味をひかれた一つがソウル市にあるカンドン(江東)農協の親環境農業への取組である。親環境農業は有機栽培、無農薬栽培を対象とするが、1997年に親環境農業育成法を成立させて以降、当初、助成対象としていた低農薬栽培や転換期間中を対象から除外する等によってレベルアップをはかってきた。有機農業が占める農地面積割合(16年)は1.2%と日本の0.2%(認証ベース...

日本農民新聞 2019年12月5日号

〈本号の主な内容〉 ■アグリビジネス創出フェア開く ■JAグループ 令和2年度畜産・酪農対策に関する政策提案 ■日本食農連携機構が設立10周年 ■国産材を主体とした木材利用の拡大へ  ウッドソリューション・ネットワーク   総会で3年の成果を確認   木材業界と学界の"協創"で第2クールへ ■町産木材を利用した循環型地域社会づくり  官民複合施設「オガールエリア」(岩手県紫波町)を訪ねて ■第6回JA窓口担当者交流大会  農林中金が開催 ■かお  JA全農 監事・常務理事に就任した4氏   大河原秀一郎 監事   竹本尚史 常務理事   倉重徳也 常務理事  ...

国内小売業で初、来秋からリユース容器使用商品を販売=イオン

 イオンはこのほど、国内の小売業として初めて繰り返し使えるリユース容器を利用した商品のショッピングプラットフォーム「Loop」に参画すると発表した。来秋から、東京都の「イオン」「イオンスタイル」で、同プロジェクトに参画するメーカー各社の日用消耗品や食品など、リユース容器を利用した商品の先行販売および使用後の容器回収を開始、2021年から順次、本州・四国の約400店舗への拡大を目指す。  Loopは、国際的なリサイクル企業であるテラサイクルが開発。従来、使い捨てされていた洗剤やシャンプーなどの日用消耗品や食品などの容器や商品パッケージを、ステンレスやガラスなど耐久性の高いものに変え、繰り返し利...

こめ油業界初、近赤外分光法を「こめ油」の製造工程管理に応用=築野食品工業

 築野食品工業㈱(本社=和歌山県伊都郡、築野富美代表取締役社長)は、こめ油業界初となる近赤外分光法(*NIR)によるこめ油の製造工程管理を確立、このほど本格的に運用を開始した。約2年以上の検証を重ねてきたもの。  油脂製造において、良品質の製品を作るためには、原料や中間製品の分析による工程管理が欠かせず、酸価、よう素価、曇り点など多様な分析が用いられており、一般的に普及している化学分析の場合、対象項目毎に検体を用意し、それぞれの分析法により有機溶剤等を用いて分析する必要がある。  このため、同社では重要な管理点となる酸価やよう素価、曇り点の他に、こめ油特有の成分であるγ―オリザノールやビタ...

牛の行動モニタリングシステムがデンマーク農業研究機関の実証実験の対象に決定=デザミス等

 畜産向けIoT事業・コンサルティング事業を展開するデザミス㈱(東京都江東区、清家浩二代表取締役兼CEO)とNTTテクノクロス㈱(東京都港区、串間和彦代表取締役社長)は、デンマークの農業研究機関SEGES(セゲス)と共同で、牛の行動モニタリングシステム「U-motion」の実証実験をデンマーク国内で行う。  U-motionは、牛の行動をリアルタイムでモニタリングするサービス。牛に装着した専用センサが採食、飲水、起立、横臥、歩行、反芻などの行動データを24時間収集し続ける。セゲスは、環境、衛生、アニマルウェルフェアなどに配慮しながら、デンマークの酪農・農業が効率的かつ競争力のある農業生産を目...

厚生事業審議会が雨宮会長に答申書を手交=JA全厚連

早期収支改善厚生連に提言可能等、全厚連の機能強化  JA全厚連(雨宮勇経営管理委員会会長)は12日、東京・大手町のJAビルで第4回厚生事業審議会(委員長=今井長司新潟県厚生連経営管理委員会会長)を開き、「JA厚生事業にかかる機能強化と組織のあり方」について取りまとめた答申書を、雨宮会長に手交した。今年6月21日に雨宮会長が「経営悪化の未然防止および経営破綻防止の取組に関して、より実効性を高めるためのスキーム」等を同審議会に諮問していた。同日に開かれたJA全厚連の理事会および経営管理委員会で承認され、令和2年度より適用される。  答申は経営改善にかかる取組みの課題に対応するため「収支改善にか...

〈行友弥の食農再論〉「じゅうねん」がつなぐ未来

 福島では「じゅうねん」と呼ぶ。最近、健康食品として注目されるエゴマのことだ。血液をサラサラにするなどの効果があるα―リノレン酸を豊富に含み、福島での呼び名も「10年長生きする」に由来するという。  そのエゴマが、原発事故からの農業復興を担う。川内村、浪江町、飯舘村などで生産が広がっていることは知ってていたが、調理や試食も体験する機会に恵まれた。食と農と地域をつなぐ活動を行う東京のNPO法人「コミュニティスクール(CS)まちデザイン」の一員として、今月初めに飯舘村を訪問したのだ。  村内の各所を回ったが、メーンは2日目の住民との交流会。女性はエゴマを使った料理を作り、男性はうどんを打ちエゴ...

JA全中専務理事比嘉政浩氏

日本農民新聞 2019年11月25日号

アングル JAの経営基盤強化へ~課題と取組み方向   JA全中 専務理事 比嘉政浩 氏  JAグループでは、第28回JA全国大会決議の重点の一つである「持続可能な経営基盤強化の確立・強化」に基づき、さらなる取組みを強化するための検討を開始し、年度内に基本的方向をとりまとめることとしている。現状での課題と取組みの考え方を、JA全中の比嘉政浩専務理事に聞いた。 JA自己改革の成果 ■農協改革集中推進期間を終えての課題から。  今年5月に、5年間の「農協改革集中推進期間」を終え一定の評価を受けた。7月の参院選における与党公約では「准組合員利用規制の検討は『組合員の判断...

JA新いわて 代表理事組合長 小野寺敬作 氏

日本農民新聞 2019年11月14日号

このひと   地域農業振興とTACの役割   JA新いわて 代表理事組合長 小野寺敬作 氏    農業者の所得増大による地域農業活性化の取組みが、JAグループを挙げて進められているなか、地域農業の担い手に出向くJA担当者「TAC」の役割は、ますます重要性を増してきた。岩手県北部の18市町村をエリアとするJA新いわてのTACの活動から、広域JAの地域農業振興とTACの役割を小野寺敬作組合長に聞いた。   販売額500憶円を目指す ■管内農業の概況から。  管内は、四国4県に匹敵する岩手県のほぼ半分をエリアとし18市町村にまたがる...

〈蔦谷栄一の異見私見〉映画「ワーカーズ 被災地に起つ」の自主上映の輪を広げよう

 あなたは映画「ワーカーズ 被災地に起つ」について小耳にはさんだことはないだろうか。これは日本労働者協同組合連合会、通称ワーカーズコープが、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北を舞台に、復興に向けて地域で協働しながら奮闘する人々の姿を追ったドキュメンタリーで、厚生労働省の推薦映画にもなっている。昨年10月に東京のポレポレ東中野で劇場公開されたのを皮切りに、全国各地で自主上映の運動が展開されつつある。  その流れに呼応して、この10月17日、小金井市にある宮地楽器大ホールでその上映会が開催された。これは翌18日に行われた川崎平右衛門研究会の前夜祭的位置づけも兼ねて上映されたもので、川崎平右衛門...

日本農民新聞 2019年11月5日号

〈本号の主な内容〉 ■JAグループ担い手アグリサミット2019  JA全農がJA西日本営農技術センター(広島)で開催 ■集中連載 第2回  「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」へ   わがJAの自己改革と今後  福岡県 JA糸島    代表理事組合長 山﨑重俊 氏  大阪府 JA大阪南   代表理事組合長 中谷清 氏  千葉県 JAちば東葛  代表理事組合長 勝田実 氏  兵庫県 JAたじま   代表理事組合長 尾﨑市朗 氏  岩手県 JAいわて平泉 代表理事組合長 佐藤鉱一 氏  福井県 JA花咲ふくい 代表理事組合長 冨田勇一 氏  岡山県 JA阿新    ...

〈行友弥の食農再論〉おお、運命の女神よ

 6年前、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」という曲がヒットした。失恋しかけた友人(自分?)を「未来はそんな悪くないよ」と励ます歌詞。他愛もない恋の歌と言えばそれまでだが、東日本大震災や福島原発事故の被災者への応援歌にも聞こえた。  「フォーチュン」は英語で「運命」や「幸運」を意味する。語源はローマ神話の豊穣の女神フォルトゥーナだ。豊かな実りは常に約束されているわけではなく、不作の年も必ずある。だから「運命」の意味も持たされたのだろう。  「おお、フォルトゥーナ!」の叫びで始まる合唱曲がある。南ドイツの修道院から発見された古い詩歌集に20世紀の音楽家カール・オルフが曲を付けた「カル...

日本農民新聞 2019年10月25日号

〈本号の主な内容〉 ■台風19号 農林水産関係にも甚大な被害 ■集中連載 第1回  「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」へ   わがJAの自己改革と今後  鳥取県 JA鳥取中央  代表理事組合長 栗原隆政 氏  岩手県 JAいわて中央 代表理事組合長 浅沼清一 氏  東京都 JA東京あおば 代表理事組合長 洒井利博 氏  栃木県 JAなすの   代表理事組合長 菊地秀俊 氏  埼玉県 JAふかや   代表理事組合長 石澤清治 氏  長野県 JA中野市   代表理事組合長 望月隆 氏  茨城県 JA水戸    代表理事組合長 八木岡努 氏 ■これまでの被害に学ぶ ...

農水省大澤誠農林水産審議官

日本農民新聞 2019年10月15日号

アングル 国際交渉と農林水産行政のこれから 「日米貿易協定」最終合意を受けて 農林水産審議官 大澤誠 氏  9月26日の日米首脳会談で、農林水産品に係る日本側の関税などを含む日米貿易協定が最終合意に至った。TPP11、日EU・EPAに続いての日米貿易協定最終合意で、新たな国際環境を迎えた日本における農林水産行政のこれからを、農林水産審議官の大澤誠氏に聞いた。 期待に応えられた成果の日米交渉 ■7月に経営局長から農林水産審議官に就任され、日米交渉に臨まれたが。  4年前に国際担当の総括審議官として臨んだTPP交渉は、農産物の本格的な包括的関税交渉として日本で初めてだった。その...

〈蔦谷栄一の異見私見〉永続的経済成長という「おとぎ話」への決別

 この9月下旬にニューヨークの国連本部で開かれた気候変動問題に関するサミットは「気候行動サミット」と称する。国連事務総長は「美しい演説ではなく具体的行動を」と呼び掛けており、その思いをもろに出した名称が掲げられた。  これに日本からは小泉環境大臣が出席したが、22日の関連会合に出席した際、記者団に「スピード感を持って、できることは全部やる。日本は本気だということを伝えるべく動きたい」と抱負を述べ、また記者会見では「政治には非常に多くの問題があり、時には退屈だ。気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と語ったことが報じられている。国連事務総長の思いとは真逆の、魂...

日本農民新聞 2019年10月5日号

〈本号の主な内容〉 ■第20回 店舗戦略トップセミナー  全国Aコープ協同機構、農協流通研究所が開催 ■10月2日は「直売所(ファーマーズマーケット)の日」  JAグループがイメージキャラクターらとPR ■蔦谷栄一の異見私見「永続的経済成長という『おとぎ話』への決別」

ハウスの高温対策の最新の動向:施設と園芸187号

施設と園芸187号(2019年秋)特集:ハウスの高温対策の最新の動向

巻頭言 施設栽培の周年化と高温期の課題 静岡大学農学部 生物資源科学科 教授 鈴木克己 ■特集■ ハウスの高温対策の最新の動向 自然換気温室の換気窓の配置・大きさと昇温抑制の効果  農研機構 農村工学研究部門農地基盤工学研究領域 農業施設ユニット長 石井雅久 高温期の遮光制御と作物生育への影響  ㈱ダブルエム 代表取締役社長 千葉大学講師(非常勤) 狩野敦 トマト大型ハウスにおける高温期の遮熱用塗布剤の利用の実際  ㈱トマトパーク 取締役 杵渕覚 ハウス栽培農業従事者の実態と熱中症予防対策  東京農業大学 国際食料情報学部 樫村修生 齊藤雄司 細霧冷房のタイプと効果的...

〈行友弥の食農再論〉「もろこし」はややこしい

 トウモロコシは、ややこしい。郷里の北海道では「トウキビ」と呼ぶ。漢字で書けば「唐黍」になるが「唐黍」は「モロコシ」とも読む。だがトウモロコシは「唐唐黍」ではなく「玉蜀黍」と書く。トウモロコシとモロコシは同じイネ科だが、別の植物だ。古語の もろこし」は異国を意味するから、いずれにせよ外来作物に違いない。  モロコシは英語で「ソルガム」、中国語では「コーリャン」。中国を代表する蒸留酒「白酒」(バイチュウ)の原料だが、最近はトウモロコシも使うという。トウモロコシは米国が世界最大の生産国で、バーボン・ウイスキーの主原料だから、酒については「米中合作」が進んでいることになる。  経済成長を遂げた中...

日本協同組合連携機構(JCA) 代表理事専務 馬場利彦 氏

日本農民新聞 2019年9月25日号

このひと   今、問い直す協同組合の価値 協同組合間連携のこれから   日本協同組合連携機構 (JCA) 代表理事専務 馬場利彦 氏    6月、日本協同組合連携機構(JCA)の代表理事専務に馬場利彦(前全中参事)氏が就任した。昨年4月にJJC(日本協同組合連絡協議会)の機能を引き継ぎ、JC総研を組織再編したJCAが発足して1年余。これまでの農協運動を振り返りながら、改めて協同組合の存在意義とJCAの役割を新専務に聞いた。   協同での社会課題解決を目指して ■JCA創設に至った背景をどう捉えるか。  協同組合はいま、国際...

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令和元年度 JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会 第5回「JA営農・経済フォーラム」=JA全中

営農・経済事業改革の深化へ 事例共有し人材育成・体制整備さらに    JA全中は、令和元年度JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会「第5回JA営農・経済フォーラム」を、8月27~28日に西日本地区(会場=福岡県内)、29~30日に東日本地区(東京都内)で開催した。営農・経済事業におけるJAの取り組み成果を全国で共有し、人材育成や体制整備等の観点から、JAの営農・経済事業改革を深化させることを目的に開催したもので、2地区合わせ約350名が参加した。  開会挨拶では、JA全中常務の肱岡弘典氏が、全国のJAにおいて実施している、JAの自己改革に関する組合員調査の中間...

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