日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2020年2月15日号

2020年2月15日

全国農協青年組織協議会(JA全青協)第66回JA全国青年大会記念座談会第66回JA全国青年大会 記念座談会

農業・JAの担い手が描く日本農業の姿
~担い手育成・支援をめぐって~

全国農業協同組合連合会
常務 久保省三 氏
JA全国女性組織協議会
会長 加藤和奈 氏
全国農協青年組織協議会
会長 今野邦仁 氏

 全国農協青年組織協議会(JA全青協)は、第66回JA全国青年大会を、18・19の両日、東京・港区のメルパルクホールで開催する。これを記念して、JA全青協の今野邦仁会長と、JA全国女性協の加藤和奈会長、JA全農の久保省三常務に、これからの日本農業の姿を、担い手の育成・支援の視点から話し合ってもらった。


食と農の課題

 今野 僕たちはいま、過去に経験したことのないような変化に遭遇しています。大雨や台風など予測できない異常な災害は、生産現場にも厳しい影響をもたらしています。異常気象は自分たちの営農に直結する深刻な問題です。
 農業を巡る内外の環境も大きく変化しています。国際貿易協定が次々と締結され、国内では食料・農業・農村基本計画の見直しが検討されています。
 生産現場の労働力・担い手不足は、JAグループと連携を強化して課題解決の方法を探っています。その方法は、地域ごとに作目や作業体系が異なるため一括にはできません。今、TACをはじめJAや連合会の職員が、生産者とコミュニケーションをとり、スマート農業やICTなどを駆使した革新的な営農が生まれつつありますが、これも手段であって万能ではありません。この“手段”に血を通わせるのが僕たちやJAグループです。課題解決は、青年部の日頃の活動の中にヒントや答えがあると思います。新たなイノベーションがその契機となると思っています。

 加藤 食と農の乖離が深まっていると日々感じます。人は生きるために食べていますが、命を守るために命をいただくという食の原点が忘れられてしまっているような気がします。
 自然災害の影響は私たちの台所にも直結します。生産者であり消費者でもあり、台所を守る立場であるJA女性組織から声をあげ、食と農の乖離を少しでも埋めていかなければと思っています。

 久保 最近は自然災害が常態化し、“想定外”ではなく“想定内”で考えなければならないと言われるようになりました。作物を育てるためのスマート農業も大事ですが、気象データからリスクを予測して回避していく、生産者の圃場や地域の気象変動が予測できるような仕組みを考えていく必要があると思います。
 一方、年始の小売業界のトップメッセージを見てみると、これまでのプッシュ型の事業拡大から、持続的農業へのサポートや食文化を消費につなぐという方向に視点が移ってきています。その意味では、加藤会長が言われた食と農の乖離は大きなビジネスチャンスと捉えることができます。食と農を具体的にどのようにマッチングさせていくか。JAグループではレストラン等の飲食事業、直売所や農泊の取り組み等、食と農を直接近づける取り組みを進めています。

 今野 食料自給率カロリーベースで37%は、高い低いの数字として議論していますが、“生産者と消費者の乖離”の視点から見れば、逆にそれだけ“伸びしろ”があるのではないでしょうか。
 女性部は日頃から食と農の価値の発信に取組み、全農とコラボしての商品づくりや「どんぶり47プロジェクト」などの企画の展開など、組織の内外に向け活動を展開しています。JAグループ全体が一丸となって取組めば、グループの底力が起爆剤となって乖離を埋めることができる。37%はそのチャンスでもあると思います。

 加藤 若い方達は自分の子どもの食については非常に敏感で、食関連のTV番組の視聴率は高いようです。ただ、その方向性が必ずしも農と直結していないと感じます。食のバックグラウンドに農が存在することを理解してもらうことが、日本の農畜産物の大切さを伝えることにもなります。

 久保 女性協は今年度からスタートした3か年計画でSDGsの取組みを提唱されていますが、食と農の乖離を埋めていくうえでとても重要な取り組みだと思います。
 今の企業活動は、多かれ少なかれSDGsに則した活動になっていると言われています。新たに何かをやるというよりも、自分達の活動がSDGsに則っていることをどれだけ意識して、常に発信できるかが大事だと思います。特に、協同組合運動はまさしくSDGsの仕組みそのものです。これを女性協が活動方針に謳われ発信していることは素晴らしいことだと思います。

 今野 昨年は基本計画の見直しが検討された年だったので、政策提言に向けて現場の意見を擦り合わせ、地域や作物によっても細かな議論を展開してきました。農水省との意見交換では、特に災害支援対策で、災害が起きてからの対応だけでなく、収入保険やNOSAI、資材等の改良など、事前の対策の必要性を生産現場からのアイデア等もつなぎながら提言してきました。5年先10年先の中長期にわたる計画を、生産現場の声をしっかり汲み取って制度設計していただきたいと思います。

仲間づくりを巡って

 今野 僕の母は地元のJAで女性部の部長を務めていました。だから、女性組織は身近なお母さん的存在で、いつも青年組織の背中を押し守ってくれるようなイメージがあります。
 地元の青年部長となったとき、JA常勤役員と女性部・青年部合同の意見交換会を開催させていただきました。そこで女性部長さんの提案で、総代会にオブザーバー席を設けてもらい、総代の発言や理事者たちの答弁を聞くことが出来ました。JAの事業運営に参画する第一歩とも言えます。女性部さんと一緒にJAに働きかけて実現できたことです。
 嬉しかったはオブザーバー席に赤ちゃんの泣き声が聞こえたことです。フレミズさんが子連れで総代会にくる。それは次代のJAの担い手につながる。ゆくゆくは託児所付きの総代会みたいなものが広がればいいなと思いました。
 それ以降、僕は青年部の役員として一貫して女性部さんとのコミュニケーションづくりを主張してきました。営農上でも組織運営上でも、必ず一緒に活動できるヒントを見つけていきたいと思っています。

 加藤 地元愛知県での青年部の人達の活動は、私たちの刺激にもなります。女性部の活動は、“守り”に入ってしまいがちですが、青年部の活動や思いに触発されて自分達の活動を見直したりすることもできます。
 「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」。稲を現場で学びながらでなければ毎年同じものを作ることは絶対できないと言われて育ちました。その経験は、私たちが伝えていくことができます。日頃からコミュニケーションをとり、自分の持っている情報を出来る限り伝え、若い人からは新しい情報を真摯な姿勢で聞いていかなければなりません。いろいろな所から刺激をもらいながら前向きに女性部活動に取組んでいきたいと思います。

 今野 僕は今東京などでいろいろな会議に出席して、全国の方の話を聞くことが出来ますから、それを地元の盟友たちに積極的に伝えるようにしています。青年部は、その気になれば日本中に友達をつくることができます。これは47都道府県に単協をもつJAグループの特権です。まずは、青年部の活動を通じて地元で仲間の輪を広げる。次に地区だけでなく県域やブロックの集会等にも出ていき、さらに2月には全国大会に参加して仲間をつくって欲しい。
 全青協は年に数回、都道府県代表の会議を設けています。そこでの名刺交換から電話やメールのやりとりが始まり、季節には地域の特産物を贈ってくれる盟友もいます。地元の青年部活動を基軸としながらも、ちょっと“シャイ”の殻を打ち破ってみると、さらに仲間を広げることができるのです。日本中に友達をつくれる可能性が青年部活動にはあります。

 加藤 JA女性組織は、正組合員はもちろんのこと、准組合員や非農家といった多様な方々も活動しています。最近生活が多様化して、地域にたくさんのサークル活動があります。でも、そういったサークル活動とは異なり女性部活動の根底には、JAを拠り所に食と農を基軸とした活動があります。その情報を伝え共有することが、仲間づくりのなかでも大きな魅力となっていると感じています。
 私は他県にレンコンを贈ったときに、土付きの長いレンコンを初めて見たと言われました。農畜産物で話題ができ地域の特徴を知ることができる、それぞれの特徴を活かすからこそ特産品が生まれる、そうした活動を共有して、新たな“味”を伝えることも私たちの活動ではないかと思います。
 母親である私たちが、地元の農産物を次の世代につないでいくことは、女性部として大変大事な役目だと思います。

 久保 地元にはそれぞれ特徴的な食材や商品があり、それぞれに特徴的な農業があります。農業に関わっている人もいない人も、いろいろな立場の人がそれを実感できることが必要です。例えば、直接知り合いがいなくても、地域の食材やレシピがわかって、さらに地域との繋がりをもつことができる、地域にある情報が広がりを持てるような仕組みづくりが重要になっていると思います。

青年協・女性協・全農との連携

 久保 全農では5年前から生産資材事業研究会を開催し、全青協や日本農業法人協会、4Hクラブといった農業者団体のみなさんに私どもが扱っている資材や営農技術を紹介・提案し、ご意見をいただいています。
 一昨年開発した共同購入の60馬力クラスの大型トラクターは、3団体のみなさんの要望をまとめ、メーカーに要求しました。また、出来上がったトラクターに実際に試乗していただき、意見を聞きながら最終的に決定したものです。現在は、28~35馬力クラスの中型トラクターの開発をすすめています。今後もこうした取り組みを通して農家のみなさんが求めているものをダイレクトに聞きながら事業を進めていきたいと考えています。
 また、販売面では、各種販売先等と全農でMD(マーチャンダイジング)部会を設け、主菜・副菜・惣菜・加工品・デザート等、あらゆる分野で国産農畜産物を活用した商品の開発をおこなっています。地域食材の活用など、まさに食と農のマッチングですので、女性協のみなさんからもぜひ地域のおいしい食材などの情報を提供していただきたいと思っています。

 今野 全青協では、農作業にも使用できるウエットタオルを全農と共同開発しました。昨年の台風被害に対しては、青年組織の「絆プロジェクト」を通じ購入してもらった益金を被災地に義援金として贈りました。
 僕ら生産者は作る側のプロとして畑で頑張ります。全農はその頑張ってできた農産物を消費者の口まで運ぶルートの確立に、引き続き力を入れて欲しいと思います。
 4~5年前に中国・厦門(アモイ)にある全農関連会社の肥料工場のプラントを見せてもらいました。圧倒的に資源のない日本で、耕作していくためには、このように海外のプラントで化成肥料を作り輸入し土作りをしていかなければならない。高い安いだけの問題ではなくその過程でこうした努力が、消費者の口に届く食物に含まれていることを、JAグループは積極的に伝えていくべきです。
 昨年は、全青協の海外研修で、米・ニューオーリンズの全農グレインの穀物積出し施設を見学しましたが、その規模に圧倒されました。世界最大の穀物輸出国アメリカに、日本の全農の施設が存在するだけで、どれだけ世界の市場に影響力を与えているか。全農の力を目の当たりにしました。
 これからは生産者自らが、グローバルスタンダードについて勉強していかなければならないし、要求する一方ではなく提案できるようにならなければいけないと痛感しました。

 加藤 JA全国女性大会では、全青協が製作した1分間動画を上映しました。また、全青協と全農が共同開発したウエットタオルも全国のみなさんに紹介させていただきました。これをJA女性組織では、温めて介護事業に使うことができると新たな活動へ取り入れるアイデアも拡がり、全青協の活動に刺激をもらった大会となりました。
 畑から食卓へ、私たちに何ができるのか。グローバルな話と対極をなすマスコミに勝るとも劣らない“口コミ”が、私たち女性組織には全国規模であります。生産者の立場、消費者の立場、台所を預かる立場から、全国の仲間の口コミで食と農の大切さを伝えていきたいと思います。

 久保 今野会長が言われたグローバルな視点と加藤会長が言われたローカルな視点を組み合わせて事業を展開していく必要があります。まさに、グローカリゼーションの取り組みです。全農は、海外の生産資材・原料の調達から、国内での作物生産、消費者への食の提供までのバリューチェーンを構築していきたいと考えています。
 生産に軸足をおいた事業とあわせて、これからは消費という出口へのアプローチを強化して、市場や小売段階から消費まで取り込んでいくことが大事になっています。
 全農のくらしの支援事業部では、農業に対する関連人口を増やしていく視点から、農泊の取組みをスタートさせています。農泊に限らず、労働力支援や農業体験も含めて、より多くの人々に農業に関わってもらう、それは必ず食に結びつくはずです。そういう機会を増やしていくためにも、全青協や女性協のみなさんとのコラボがこれからますます重要になってくると思います。

 今野 僕の地元の人口は年々減っています。いきなり人口減少をくい止めたり増やすことはできませんが、その入り口としてまず地域に興味をもってもらい、いわゆる“交流人口”“関係人口”を増やすことはできます。
 地元の基幹産業である農業を媒介として、道内の青年部・JAが中心となって都市圏の親子対象の農業体験などを行なってきました。北海道の農協青年部では、次代の子ども達に伝える“プロ”である学校の先生方を対象に農作業ではなく農家生活を体験してもらう「農村ホームステイ」を実施しています。JAグループではグリーンツーリズムや道外からの修学旅行生に圃場に入ってもらう取組みも行っています。
 北海道への農学系の進学者が微増しているという講演を聞きました。将来農業やそれに関する仕事がしたい、北海道に移住したいということかららしいのです。大都市に核家族で住み、両親は共働き、子どもは一人でコンビニのおにぎりを買って塾に通う。その子どもたちが北海道に修学旅行にきて農作業体験すると、1泊2日でも目の色が変わってくるというのですね。受け入れた農家も出来た農産物を送ってあげる。そういう地道な活動があって北海道への農学系志願者が増えているというのです。この伸び率をいかに上げていくかJAグループ全体で考えていかなければならないと思います。

 加藤 農泊に限らず、農と関わりをもつことは大事なことです。愛知県の産直施設には他県からわざわざ買いに来る人も多いです。訪れた方からは「農業体験で、子ども達を含めて収穫の喜びを知りました」等々、様々なコメントが寄せられています。農業体験は子ども達の刺激になったでしょうし、家族の幸せのためにより安全安心な食を求めるきっかけにもなったでしょう。交流から始まる地道な活動が、農業を知ってもらう第一歩だと思います。

全農の担い手支援

 久保 全農は現在3か年計画の1年目で、(1)生産基盤の確立、(2)元気な地域社会づくりへの支援、(3)食のトップブランドとしての確立、(4)海外戦略の構築、(5)JAへの支援、を重点テーマに事業に取り組んでいます。
 なかでも生産基盤に関しては非常に危機感をもっています。この10年間で、最も大きな変化は農業従事者の減少です。農地は460万haから440万haに減少しましたが、その間、基幹的農業従事者は200万人から145万人となり、毎年5万人のペースで減少しています。
 ですから、日本農業が10年後の国内の食料消費を賄うためには、単位面積当たりの収量増加と経営体当たりの耕作面積の拡大が必要になります。
 先程、今野会長が、スマート農業の展開や労働力支援も、それぞれに地域性があり個人差があると言われましたが、そのとおりで、これに対応できるように多様なメニューを揃えていくことが必要だと思っています。
 現在、JAグループでは、担い手に出向くJAの職員「TAC」が地域の担い手を訪問し、ご意見をうかがいながら事業を進めています。全国1800名のTACが、8万戸の担い手に、年間65万回訪問しています。こうしたTACが担い手の意見を聞き、持続的な農業生産、農業経営の方向を一緒に考えています。
 労働力支援では、すでに単独県だけでは常時マッチングが難しくなっており、県域を越えたブロック単位での協議会を設立することを検討しています。1月28日には、九州ブロックで最初の協議会を設立しました。
 スマート農業についても、農業者の視点から考えるスマート農業の姿について、前述の生産資材事業研究会でご意見を聞いています。デジタル型になりすぎず、今持っているアナログを活かしながら、どこを目指すのか議論しています。
 全農では、前3か年において、全国55JAの83経営体で農家手取り最大化の実証に取り組みました。現3か年では、この取り組みを全JAに水平展開していくことにしており、現在150JAで取り組んでいます。今後も、生産コスト低減や営農・販売課題の解決を、地域の担い手のみなさんに実感していただける取り組みを進めていきます。

 今野 担い手のことは担い手に聞け。まさしくその担い手に聞きに行っているのがTACです。モデルJAの優良事例の水平展開も、全国の単協がそれをキチンと受け止める体制をつくっていかなければなりません。そこに、ぜひ地元の青年部が担い手の立場として参画して欲しい。JAに足を運んで、例えばTACが提案する新しい取組みのモニターになる、現場の実態を知らせ提言する等々、全農が投げかけたものに対し、キャッチボールをしてどんどん肉付けしていく作業で、よりより取組みにしていかなければなりません。
 生産基盤の確立に向けては僕個人ではやりたいことがありますが、家族経営の労働力の関係上、野菜作を止めました。地域に今後さらに耕作放棄地を増やすわけにはいかないので、家族4人で今持っている機械力でそれを受けなければならないからです。他から労働力を持ってくる、大規模集約化する等々、いろいろな選択肢がありますが、今野家が選んだのは作目を変えることでした。
 ある程度の機械化、集約化そしてJAにお手伝いいただきながら、今後出て来るであろう耕作困難な農地を集落で引受けきる考えでなければ、JAの責務である安全安心な農畜産物の「安定供給」が不可能になります。作りたい物ややってみたい事はありますが、その前にやらなければならないことが今の生産現場にはあるのです。
 そのためにも、全農にはTACのシステムを駆使して全国の優良事例を水平展開していただきたいし、キャッチボールの球をぜひ青年部層に投げかけてもらえればと思います。

 加藤 私たち女性組織は、将来を生きる子ども達に豊かな農業と安全安心な食を残していきたいと活動しています。そのためには農家が一生懸命作った農畜産物を大切しなければならないという思いがあります。一方でフードロスが大きな問題となっています。生産基盤が大きな危機に瀕しているにも関わらず、たくさんの食べ物が捨てられている状態では、次の世代が安心して食べていけるのか不安です。
 ただ、クリスマスケーキや恵方巻などを予約で作り始めたというニュースなどを知ると、私たち女性組織も、大切な国産農畜産物の消費に向けて少しでも変えられる部分があることを、伝えていく役割があると考えますし、こうした点に全国組織もより一層力をいれていただきたいと思います。

SDGsと協同組合

 久保 持続的な農業生産・農業経営をおこなうために何が必要なのか。SDGsの17項目は、日常のいろいろな活動のなかで実際に取組まれていることだと思いますが、そのことをどのように意識して活動し、かつ伝えていけるのかが、全青協、女性協はじめJAグループの大きな役割だと考えています。
 そのためには、農業者団体との連携、TACの活動などを通して、農業者のみなさんの意見を聞いてキャッチボールしていかないと、納得感が得られないと考えています。
 一例として、全農では、Z-GISという圃場管理ができる地図情報システム(全農営農管理システム)を開発し、普及を進めています。画面上で、管理している圃場を作物・作業・収量・土壌分析結果などに基づいて色分けし、圃場状態を一目で把握できるソフトです。まず担い手のみなさんがビジュアルで自分の圃場の個々の状態を把握し、それを見ながら、日常の管理、発生するリスク、安定的な経営を検討することをTACと一緒に考える、こうした農家経営の見える化の取り組みにも、全青協、女性協の皆さんと一緒に取組んでいければと期待しています。

 加藤 私たち女性組織の普段の活動そのものがSDGsなのです。常に17のゴールを確認しながら活動を確認し志気を高め、足らない部分は見直していかなければなりません。今後も全青協とタックを組みながらSDGsと関わりをもった活動に積極的に取組んでいきたいと思います。

 今野 今なぜSDGsか。国民がそれを欲しているのだと思います。当たり前のことを確認しましょうと。
 JAグループが先頭を切ってSDGsに取組まなければならないのは、国の安全保障上の根幹をなす食を扱っているからだと思います。このSDGsが叫ばれる時代だからこそ、今一度、協同組合の役割を再確認する必要があります。
 全青協は、人材育成の観点から毎年海外研修を実施しています。この1月には、協同組合の信用事業の原点を探ることを目的にドイツのライファイゼンに行きました。協同組合の源流を学ぶことで、これからの協同組合の形を青年部から発信していけないかと考えています。

Time to Go! ~さあ 行こう!~
新たな時代に輝き続ける6万の光

 今野 全国大会は、女性協、全農はじめ多くの連合会、関係機関のご支援があって開催できるものであり、この場をお借りして感謝申し上げます。大会初日は、日頃の活動の集大成を発表する「青年の主張」と「活動実績発表」。2日目は、青年部が今思い悩んでいることをテーマにしたパネルディスカッションを企画しています。みなさんからアドバイスをいただきながら、成功させたいと思いますので、よろしくお願い申しあげます。


〈本号のおもな内容〉

■第66回JA全国青年大会 記念座談会
 農業・JAの担い手が描く日本農業の姿
 ~担い手育成・支援をめぐって~
 JA全農    常務 久保省三 氏
 JA全国女性協 会長 加藤和奈 氏
 JA全青協   会長 今野邦仁 氏

■JA全農 第3回 和牛甲子園
 総合評価部門最優秀賞・取組評価部門最優秀賞
  =鹿児島県立市来農芸高等学校
 枝肉評価部門最優秀賞
  =岩手県立水沢農業高等学校

■トップインタビュー
 片倉コープアグリ㈱ 代表取締役社長 野村豊 氏
 創立100周年 その歩みと今後の事業展開

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