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日本農民新聞 2020年3月25日号

2020年3月25日

JA共済連令和2年度事業のポイント|JA共済連代表理事専務村山美彦氏このひと

JA共済連 令和2年度事業のポイント

JA共済連
代表理事専務
村山美彦 氏

 JA共済連は3月19日、臨時総代会を開催し令和2年度事業計画を決定した。令和元年度からの「JA共済3か年事業計画」の中間年度となる2年度の事業展開のポイントをJA共済連の村山美彦代表理事専務に聞いた。


“生命保障回帰”、JA事務負荷軽減すすむ

3か年事業計画の初年度となったこの1年を振り返って。

 今次3か年計画では、重点取組事項として「契約者数の確保に向けた生命保障を中心とする保障提供の強化」、「新たなJAファンづくりに向けた農業・地域に貢献する取組みの強化」、「事業の効率化・契約者対応力の強化および健全性の向上」の3点を掲げて取り組んでいます。
 初年度となる令和元年度はまず、契約者数の確保に向けた生命保障を中心とする保障提供の強化を目指し、生前贈与や農業者の事業継承ニーズに対応する「生存給付特則付一時払終身共済」、低廉な掛金で若年層のニーズに応える「定期生命共済」、年金支払開始年齢・加入年齢を拡大した「予定利率変動型年金共済」などの仕組改訂を行いました。
普及活動面では、地域特性に応じた推進・保全両面でのエリア戦略の実践や3Q訪問活動・はじまる活動の強化が必要となります。引き続き生命保障回帰に向けた取り組みを継続するとともに、「ひと・いえ・くるま」の各施策の再徹底を図っていきます。
 新たなJAファンづくりに向けた農業・地域に貢献する取組みでは、農業経営の安定化に向け、「農業リスク診断活動」や「農作業事故未然防止活動」に取り組むとともに、農業者における農業経営を取り巻くリスクに対して共栄火災と連携し保障提供を行いました。
 また、組合員・地域住民等とのさらなる関係強化に向けて「地域・農業活性化積立金」を活用し、県域ごとに地域の特性を活かした独自施策等に取り組んできました。今後も、農業関連施策を含め、地域活性化に向けた取り組みの徹底を図るとともに、地域貢献活動内容の周知に向けて、組合員・地域住民等への情報発信を強化する必要があります。
 事業の効率化・契約者対応力の強化と健全性の向上では、JAの事務負荷軽減や組合員・利用者の利便性向上を図るため、平成28年から段階的に、タブレット端末機(Lablet’s)を活用したペーパーレス・キャッシュレス等の新事務手続きを展開し、元年12月末時点でペーパーレス割合が長期共済で86.7%、自動車共済で90.6%、キャッシュレス割合は長期共済で85.0%、自動車共済で79.1%となっています。
 今後は、新事務手続きの対象範囲の拡大や固有事務手続きの削減等により、さらなるJAの事務負荷軽減に向けた取り組みを強化する必要があります。
 Lablet’sはJAにおける複合渉外担当者(共済業務と信用業務の双方を担当する渉外担当者)の負荷軽減を目的とした信用事業の機能搭載や、自動車共済における画像認識システムの導入など、新しい動きもでてきています。これまでは共済事業としてJAの事務負荷軽減を進めてきましたが、今後はJA事業全体の事務負荷軽減に貢献するとともに、さらなる組合員・利用者の利便性を目指した活用を図っていきます。

契約者フォロー活動徹底と効率的事業運営へ

2年度事業施策の重点は?

 今次3か年計画の中間年度にあたることから、計画の着実な実践に向け、元年度の進捗状況や課題を踏まえて、「重点的に取り組むべき施策」と「今次3か年計画に基づき展開する施策」に分けて取り組んでいきます。
 重点取組事項には、次の3点を掲げています。
 1つ目に「新仕組みを起爆剤とした万全な生命保障対策の徹底」を掲げ、ニーズに応じた漏れのない保障提供の強化や、3Q訪問活動やはじまる活動の活性化による組合員・利用者との絆の強化とともに、LAやスマイルサポーターの育成・強化に取り組みます。
 2つ目には、「組合員・利用者本位の推進活動および契約者フォロー活動の徹底等による信頼向上」を掲げ、適正な事務手続きの定着・実行、連合会による支援・指導の強化やCS向上に向けた事業運営の強化に取り組みます。
 3つ目は「今後の事業環境変化を見据えた取り組みの具体化」であり、将来にわたり万全な保障を提供し続けるため、組合員・利用者との接点強化に向けた環境づくりや、デジタル技術の活用による事務の合理化と利用者情報基盤の構築、契約者フォロー活動の徹底と効率的な運営に向けたJAの体制整備や保障提供・サービスの拡大を通じた共済の価値向上など、3年度以降の円滑な展開に向けた準備・周知に取り組みます。
 今次3か年計画に基づき展開する取組事項としては、次の4点を挙げています。
 まず、エリア戦略のさらなる実践、ニーズをとらえた仕組みの提供、共済を補完する共栄火災の活用などによる「万全な保障充足に向けた総合保障の提供」。
 次に「農業・地域への貢献を起点とした新たなファンづくりの促進」として、自己改革の理解促進に向けた情報発信、農業経営安定化に向けた取組みの強化などにより、組合員・地域住民等との関係をさらに強化します。
 3つ目は「新技術の活用等を通じた事業の効率化と契約者対応力の強化」であり、JAの事務負荷軽減の取組みや業務効率化、契約者・利用者の対応力をさらに強化するとともに、迅速・適正な損害調査方法の確立、自動車損害調査体制の再構築と契約者サービスの強化に取組みます。
 そして「永続的な保障提供に向けた健全性・信頼性の向上」として、リスク管理の高度化・対応力強化、SDGsの達成への貢献に向けた取組み、資金運用の取り組みと業務の効率化、連合会職員の育成などに取り組みます。

新技術で契約者・利用者との接点拡充

直近での取組み課題は?

 生命保障分野の拡充、コンプライアンス態勢の強化、新技術とSDGsへの対応です。
 生命保障分野は終身から生存給付型へとニーズが大きく変わってきているなか、組合員・利用者のニーズをしっかりと聞き、生命保障分野のリスクをチェックできる『安心チェックシート』を活用して不足している保障を把握し、複数の保障を組み合わせた提案をしていけるように、LAの教育に力を入れていきます。
 コンプライアンス態勢の強化では、不祥事を未然に防止する観点から、契約内容等の書類は連合会から契約者への直送を徹底し、支払いも連合会から直接口座に振り込む形を徹底していきます。
 また、『WEBマイページ』を構築し、いろいろな情報を提供することで契約者・利用者との接点の場を広げ、そのニーズをJAにつないでいく流れをつくっていきたいと考えています。
 また、SDGsへの対応としては、今年度より全国本部の組織機構を改編し、経営企画部の部内室として事業連携・SDGs推進室を新設して検討を進めてまいります。
 最終的には、これを信用事業や直売所のシステムなどとセットしたJAグループ全体のプラットホームを構築し、JAファンの拡大にもつながっていくようなものにできればと、期待しています。

保有・契約継続重視で付加収入長期安定化

持続可能なJA経営基盤の確立・強化に向けた共済事業の取り組みは?

 平成24年の第6回農協共済審議会の答申書が手交され、「JA共済事業の展開方向」について方向性が示され、今後取り組むべき課題が整理されました。その中では、これからの共済事業は農村の少子高齢化の波を受け非常に厳しくなるという認識のもとで、事業の永続性と健全性を確保するための方策が中心テーマでした。
 具体的には、契約者数も契約量も減少が見込まれるなかで、付加収入の下げ幅を抑えていく取組みが求められました。そのため、付加収入の長期安定化へ保有・契約継続を重視した施策を展開する一方で、費用面では、ペーパーレス・キャッシュレスの導入、自動車損調体制の全国一元化への再構築、連合会の費用負担による契約者直送、各都道府県本部で行っていた業務を業務センターに集約することなどの効率化に取組み、その効果をJAに還元してきました。
 これからさらに環境が厳しくなっていくなかで事業運営の健全性を確保していくためには、保有面での落ち込みをカバーするための契約者フォローが重要です。特に30~40歳代の若い世代のアフターケアに重点をおき、この3か年の取組み課題を定着させていけば、安定した事業運営ができると考えています。
 ペーパーレス・キャッシュレスの活用範囲をさらに広げ、WEBマイページサービスを構築し、新技術等を活用した審査・査定業務の効率化を図る。こうした契約者・利用者の利便性向上と窓口事務の軽減につながるような取り組みを強化していきます。

地域農業への貢献を見据えた取組みは?

 「地域・農業活性化積立金」は、JAグループ全体で取組む農業者の所得増大、農業生産の拡大に貢献できるような活動に使ってほしいという思いがあります。農業生産基盤確保に向けて新規就農を支援する、高齢者でも農業が継続でき担い手もつくられていくような取り組みを応援する、地域のみなさんに地域農業を盛り上げてもらうような取組みを支援する等々、多様な活動にどんどん役立てていただきたいと考えています。
 その結果、JAの経営基盤が強化でき共済事業の基盤も確保していけるような取り組みをJAと一緒に展開していきます。
 農業リスク等の保障については、共栄火災とタッグを組んで提供していますが、JA共済としての保障提供も検討に着手しています。

地域のくらしと農業を支えるJA共済へ

JA共済の使命・役割は?

 我々の使命は、組合員・利用者が安心して日々暮らしていけるために必要な保障を提供することです。保障提供に限らず事故の未然防止や、病後のリハビリ・社会復帰に向けた活動などでも社会全体に貢献してきました。
 これまで70年にわたり取り組んできたことを、もう一度しっかり見直し、ニーズに応じた安心の仕組みをつくっていかなければなりません。組合員だけでなく地域のみなさんにも“幸せの輪”を広め、地域のくらしと農業を支えるJA共済を目指していきます。


〈本号の主な内容〉

■このひと
 JA共済連 令和2年度事業のポイント
 JA共済連 代表理事専務
 村山美彦 氏

■JA戦略型中核人材育成研修 全国研究発表会
 JA全中が開く

■全農 労働力支援の取り組み全国展開へ

■ゆめファーム全農の取り組み

■令和元年度 JA営農指導実践全国大会
 JA全中が開く

■創立30周年を迎えて
 農中総研の役割とこれから
 農林中金総合研究所 社長 齋藤真一 氏に聞く

■JAグループにおける情報システム対策の現状と今後の方向
 ・JAグループ情報システム基本構想
 ・全農グループを支える情報システム
  全農ビジネスサポート 代表取締役社長 井上啓造 氏
 ・JA共済を支える情報システム
  中央コンピュータシステム 代表取締役社長 櫻田巧 氏
 ・DX時代の農林中金・JAバンクを支える情報システム
  農中情報システム 代表取締役社長 雪元章司 氏

■利用進む 生分解性マルチフィルム

■農産物検査制度見直し 現状と今後の方向

■全農エネルギーが創立40周年

■ウンカ類防除の切り札 ピラキサルト

行友弥の食農再論「努力の途中」

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