日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2025年5月15日号

2025年5月15日

〈本号の主な内容〉

■アングル
 JA共済事業のこれから
 JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏

■令和6年度 JA共済優績組合表彰 受賞組合決定
 JA共済大賞に JA兵庫六甲(兵庫)・JAあいち知多(愛知)・JAふくしま未来(福島)

■令和7年度 家の光事業の取組み方向とポイント
 (一社)家の光協会 代表理事専務 木下春雄 氏

■TAC・出向く活動パワーアップ大会2024
 TAC部門 全農会長賞を受賞した
 JA京都中央 営農販売課 佐藤聖也さん

■トップインタビュー
 農林中金全共連アセットマネジメント㈱(NZAM)
 代表取締役会長 長島佳史 氏


 

アングル

 

JA共済事業のこれから

 

JA共済連
経営管理委員会会長

青江伯夫 氏

 

 JA共済連は5月15日、「令和6年度JA共済優績組合表彰式」を開催し、組合員・利用者に〝寄り添った〟活動を実践し、普及推進で優秀な成績を挙げたJAを表彰する。JA共済事業をめぐる環境と、普及推進の成果を踏まえたこれからの共済事業について、青江伯夫経営管理委員会会長に聞いた。


 

 はじめに、組合員・利用者の皆さまには、日頃からJA共済事業へご理解いただいておりますことに、心よりお礼を申しあげます。

 また、令和6年度JA共済優績表彰受賞組合をはじめ、系統役職員の皆さま方の日々のご尽力に対し、あらためて感謝と敬意を表します。

 令和6年度は、日本各地で地震、台風や記録的な豪雨など大規模自然災害が頻発し、農業生産、生活に甚大な被害をもたらしました。被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申しあげますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。

 

6年度支払い共済金は3.5兆円

令和6年度事業を振り返って。

 令和6年度は、改正監督指針や規制改革実施計画等の新たな環境変化を踏まえ、「組合員・利用者本位の業務運営」を基本方針としたうえで、組合員・利用者への寄り添う活動の徹底と一人ひとりに応じた最適な保障の提供に向けて、共済事業推進の強化に取り組んでまいりました。

 普及推進活動につきましては、「JA共済3か年計画」の最終年度として、①全契約者への3Q活動の実践、②LA(ライフアドバイザー)の活動量拡大(あんしんチェックの拡大)、③LAの提案力強化(新規契約の推進強化)、④LAの活動支援(日常的な活動管理の拡充)、⑤推進活性化に向けた環境づくりに系統一丸となって取り組んでいただきました。

 その結果として、建物基盤実績は前年を上回る挙績となりました。また、自動車共済の推進総合実績は、市場が縮小する中にあって、同様に前年を上回る挙績となりました。

 また、令和6年度にお支払いした共済金は、満期共済金・事故共済金等をあわせて3兆4924億円となり、全国の組合員・利用者の皆さまに安心をお届けすることができました。

 

組合員・利用者本位の事業運営を

JA共済の直面する課題への認識と今後の対応について。

 令和7年度から9年度までのJA共済3か年計画においては、「組合員・利用者とともに歩み続けるJA共済~協同の力で広げる安心の輪~」をスローガンに、全ての活動において、組合員・利用者本位の事業運営を基調として取組みを展開し、組合員・利用者との関係性強化・仲間づくりの実践を通じて、組合員・利用者の豊かなくらしと活力ある地域社会の実現に貢献し続けていきます。

 昨年の第30回JA全国大会決議にも「くらしに寄り添う接点創出」や「組織基盤強化戦略(JA仲間づくり戦略)」が掲げられており、まさに新たな3か年計画はこうした取組みと連動し、着実に実践していかなければなりません。

 具体的には、次のような取り組むべき課題を的確に捉え、対応を進めてまいります。

 まず、JA職員数・LA数の減少等を受けた、事業実施体制の立て直しです。これからも変わることなく組合員・利用者にしっかり寄り添っていくため、JAの強みである「総合事業機能を発揮した接点創出・仲間づくり」、「デジタル技術の効果的活用」、推進者がさらに専門性を発揮するための「事業推進体制の再構築」に取り組んでいきます。

 次に、JA共済連では、これらJAにおける取組みを強固に支援するため、「個々のJAの課題に応じた伴走支援」、「大規模自然災害への適切な備え」、「今日的な仕組み・サービス・システム等の整備・提供」を通じて、JAと一体となった事業運営を展開します。

 さらに、高齢化や自然災害の多発等で弱体化している、農業生産基盤や生活基盤の持続性確保に積極的に貢献するため、「農業・地域社会の発展に資する活動の重点的な展開」、「農業・地域社会とJA共済双方の持続的発展に資する取組みの検討・展開」に取り組んでいきます。

 

新たな四半世紀に向けたスタート年度に

今後の事業展開について。

 令和7年度は、JA共済3か年計画の初年度であるとともに、国連により2度目の国際協同組合年に定められていること、JA共済連創立75周年を迎える節目の年度であることから、新たな四半世紀に向けたスタート年度と位置づけ、3か年計画の着実な実践と環境変化を踏まえた変革に着手し、組合員・利用者の生命と財産を守り、豊かなくらしと活力ある地域社会の実現に取り組んでまいります。

 そのため、次の3つの重点取組事項を掲げ、取組みを進めてまいります。

 1点目は「保障・サービス提供等の深化」です。

 JAグループ一体となった組合員・利用者との関係性強化・接点づくりに向けて、事業・部門の垣根を越えた対面による組合員への情報提供・ニーズ情報の把握に取り組むとともに、そこで把握したニーズ情報を活用し、専門性の高い事業・部門でニーズ対応を行う取組みの浸透を進めていきます。

 2点目は「事業推進体制等の再構築」です。

 事業推進担当者が推進活動に専念できるよう、LA・スマサポの役割明確化を踏まえた訪問体制・拠点相談体制の確立、収集したニーズ情報の適切な差配に資する情報活用機能の段階的導入などに取り組みます。

 また、JAの取組みを後押しするJA共済連のさらなる機能発揮に向けて、JA支援担当者の育成強化、県域・JAの状況に応じたJA支援体制の構築に取り組むとともに、JAの事務負荷軽減に向けて取組みを強化します。

 3点目は「農業・地域社会の持続的発展への貢献」です。

 組合員・地域住民との繋がり強化、JAファンの拡大による仲間づくりに向けて、コンテンツの拡充等を通じた魅力的なイベント展開に取り組むとともに、SNS等を活用した情報発信の強化等に取り組んでいきます。

 また、持続可能な社会の実現に向けて、社会課題解決に資する取組みや、国際協同組合年を契機として、協同組合の役割や価値に対する理解醸成、認知度向上に向けた取組みを進めます。

 

先入観にとらわれず挑戦を

系統役職員に向けたメッセージを。

 JA共済は共済事業開始以来75年にわたり相互扶助の理念のもと、地域に「しあわせの輪」を広げ、豊かで安心して暮らすことのできる地域社会づくりに取り組んでまいりました。

 今後、いかなる環境下においてもJA共済が組合員・利用者の皆さまに「安心のお守り」をお届けし続けるためには、この75年という歴史の中で積み重ねてきたことに加え、これまでの常識や先入観にとらわれることなく、新たなことに挑戦し続けることが必要です。

 共済事業に携わる役職員の皆さまには、これからも組合員・利用者の皆さまの信頼と期待に応え、更なる「安心」と「満足」をお届けできるよう、決して歩みを止めることなく、日々の推進活動に邁進していただくことを願っています。

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