〈本号の主な内容〉
■JA旅行事業 令和6年度優績JA最優秀賞を受賞して
旅行事業がJA・地域・組合員にもたらすもの
愛知県 JAあいち知多
代表理事組合長 山本和孝 氏
代表理事専務 伊藤勝弥 氏
■令和7年度 JA観光推進協議会全国会議
㈱農協観光が開催
■6月1日は「牛乳の日」 6月は「牛乳月間」
■JA全農 令和7年度事業のポイント
JA全農 営業開発部 安藤浩 部長
JA全農 フードマーケット事業部 太田純 部長
JA旅行事業
令和6年度優績JA最優秀賞を受賞して

右から、山本組合長、伊藤専務
旅行事業がJA・地域・組合員にもたらすもの
愛知県
JAあいち知多
代表理事組合長
山本和孝 氏
代表理事専務
伊藤勝弥 氏
㈱農協観光は5月20日開催した令和7年度JA観光推進協議会全国会議において、6年度に取扱高実績などの評価ポイントの合計点で上位のJA・組合員組織を「優績JA」として表彰した。最優秀賞を受賞したJAあいち知多(愛知県)の山本和孝組合長、伊藤勝弥専務に、旅行事業にかける思い、取組みを聞いた。
旅行事業を事業改革の手段として
■最優秀賞受賞の感想から。
山本 私は農協観光「ふれあいツーリズム」の旅行には、理事になるまでの毎年、皆勤賞で参加してきた。今回、最優秀賞を受賞させていただき、うれしさもひとしおだ。役職員一同、たいへん喜び光栄に思っている。
当JAは、知多半島全域の5市5町を管内としている。役職員全員のベクトルを一つにするための〝考える拠り所〟として掲げている「アグリスウェイ」の中で、「農業を基軸とした協同活動を通じて、地域の人々とともに心豊かで健康な暮らしと地域社会づくりに貢献します」との基本理念、ビジョン、共有価値観、行動原則を示している。役職員は常にこの「アグリスウェイ」に基づいて業務にあたっている。
伊藤 旅行事業は、組合員・利用者とのつながり強化事業だと捉えている。組合員・利用者相互やJAの各部門をつなぎ合うことで取引深耕につながる、JAの総合事業にとってとても重要な、潤滑油のような役割を担っている。その旅行事業を当JAでは、事業改革の手段として活用している。
こうした強い思いで旅行事業に力を入れてきたことを認めていただき、今回の受賞に結びついたことをたいへんうれしく思っている。
新規利用者の開拓を目的に企画旅行
■旅行事業の取組みについて。
伊藤 コロナ禍の中にあっては、旅行活用JAとしての取組みも形骸化していた面があったが、明けてからは旅行事業の意義と重要性を役職員で再度共有し、日頃の感謝の意味を込めて「サンキューツアー」と銘打ち企画旅行を催行している。
6年度は「JAあいち知多合併25周年記念事業サンキューツアー」として一層力を入れ、「夏の十勝・帯広3日間」に109名、「ハワイ5日間」に40名、「5つ星の宿に泊まる大人の極上ディナービュッフェ2日間」(福井県あわら温泉)に107名の参加をいただいた。
これらの企画旅行はそれぞれ、目的を既存の部会旅行などとの差別化と新規利用者の開拓に置き、支店長・担当者を中心に役職員がこの目的を意識した集客に努めた結果、一定の成果があがったと考えている。
参加者に喜んでいただくためにはどうしたらいいか、農協観光からの提案だけにとどまらず、役職員自ら検討に検討を重ね、事前準備をしっかり行いながら取組んだ。
例えば「夏の十勝・帯広3日間」では、事前に現地の方とコミュニケーションをとりながら協議を重ね、一緒に下見にも行きしっかり現地を確認しながら行程を組んだところ、参加者の皆さんにたいへん喜んでいただけた。現地の方によると、十勝地方だけで3日間じっくり楽しむ滞在型旅行という例はあまりないそうだ。
お出迎えに参加いただけるよう、帯広市、帯広信用金庫、老舗菓子店「柳月」などを訪問。関係職員らが「歓迎!!ようこそ十勝・帯広へ」の横断幕を用いて歓迎いただいた(写真)。地元紙の北海道新聞や十勝毎日新聞にも事前に挨拶に行き、記事を掲載いただいた。「ハワイ5日間」では私も同行し、参加者の皆さんをおもてなししながら楽しく交流を重ねた。
旅行通じた交流から取引深耕へ
■JA事業全体への影響は?
伊藤 旅行から帰ると、年金の預け替えや貯金・共済の契約が自発的に増えるなど、JA事業への良い波及効果が現れる。
旅行への参加人数を集めることが主目的なのではなく、参加いただいた組合員・利用者の皆さんに喜んでいただき交流を重ねる中から、JA事業の提案やお困り事の相談につながる取引深耕が期待できることが大きいと考えている。事業ごとの単発的なつながり方とはまた違う、リレーション・コミュニケーション・ツール、親交を図るツールの一つとして、旅行事業はJA事業にとって大きな力になっている。
発地型だけでなく着地型の旅行事業も
■今後に向けて。
伊藤 7年度も新規利用者をターゲットに、国内1泊、国内2泊(2コース)の3本の旅行を計画している。8月催行予定の、十勝・帯広でゴルフを2プレイ楽しむ2泊3日の旅行「ナイスショット帯広㏌北海道」には、すでに約50人の参加希望が集まっている。
「JAの旅行は行って良かったよ。あなたも行ってみたら?」と参加した方々による口コミも広がっているようだ。
6年度からは、こちらから行く発地型だけではなく、こちらへ来ていただく着地型の旅行事業も行えるよう取組みを始めたところだ。
旅行に来ていただく方が増えることで、知多半島産農畜産物の統一ブランドの「知多どれ」を広く知っていただきたいという思いも強い。グリーンツーリズムとしての魅力発信や、海、島などの観光資源を生かしながら着地型で呼び込んでいくことができるよう、農協観光と一緒に取組みを強めていきたい。
参加者からの「参加して本当に良かった」「またぜひお声かけくださいね」といったうれしい声をたくさんいただき、旅行を企画・実施して本当に良かったと思う。これからも農協観光と連携しながら旅行事業に力を入れ、組合員・利用者とのつながり強化、総合事業の潤滑油としての事業価値を、より一層高めていきたい。