先の9月16から18日、東京・浜松町にある東京都立産業貿易センターで第7回目のオーガニックライフスタイルEXPOが開かれた。これと併行して日本オーガニック会議の主催によるオーガニックカンファレンスとして、各種パネルディスカッション等が続いた。
日本オーガニック会議は先に取り上げたことがあるが、「サスティナブルな社会実現のため、有機農業を核とした持続可能な農業やオーガニック市場の拡大を目的として、生産・加工・流通、その他関連事業の実務者等が横断的に集う会議。政策立案者や学識者等とも協力しつつ、建設的な議論を活性化し、政策提言等を行い、イノベーティブな行動変容を創り出すプラットフォーム」を目指す。7つのパネルディスカッション等のテーマをあげておけば、「カーボンニュートラルな社会構築に向けて~農業の可能性とみどり新法~」「オーガニック市場拡大の課題と戦略」「どう使いこなす? 認証ラベルの活用と実践~サステナビリティ実現に向けて~」「くらしにつながるオーガニック~気候危機と生物多様性 シナジーを生むには?~」「オーガニックって何~高橋メアリージュンと学ぶオーガニックライフスタイルスクール~」「公共調達のオーガニック化が地球を救う!?~グリーン購入法から学校給食まで~」「未来へ繋ぐオーガニックな農業 有機農業で生きていく」となる。そしてこれらの議論を踏まえて最終日、総まとめ的な位置づけで、官民連携創出会議が開かれた。
官民連携創出会議では、農水省と環境省から担当審議官と課長が参加して、30名ほどの日本オーガニック会議の実行委員と今後の課題等について意見交換が行われた。総じて見える化や学校給食等の推進をはじめとする課題を共有・確認した中身であり、みどり戦略の目標実現に向けてスタートを切った感がある。ここではJAグループの環境調和型農業への取組みの必要性・重要性についての意見が出されたことも特記しておきたい。
話は変わるが、8月2日にNHKのBS1で放映された番組「カーボン・ファーミング」があちこちでけっこう話題となっている。これは今年の2月に放映されたものの再放送である。アメリカで拡がりつつある不耕起・カバークロップ・輪作混作を基本とするカーボン・ファーミング、吉田俊道氏の雑草を使っての菌ちゃん農業、そして山梨県の果樹農業での4パーミル運動への取組みが取り上げられている。これら事例をつうじて、植物の地上部での光合成作用だけでなく、地下部・根圏での根から滲出される炭素化合物と土壌菌からの微量要素との交換、そしてこの過程で土の団粒構造が形成され、通水性・保水性等機能が驚異的に向上するとともに、健全な土から健康な農産物が生産され、化学肥料・化学農薬の使用を不要とすることをリアルに示す。土づくりの重要性は連綿として強調されてきた経過があるが、これを炭素をキーワードに科学的に解明した中身となっており、説得力に富む。
みどり戦略推進では、有機農業や減農薬・減化学肥料が強調されるが、基本は土づくりにある。持続可能性は土づくりからもたらされる。みどり戦略の原点を忘れてはならない。
(農的社会デザイン研究所代表)
日本農民新聞 2022年10月5日号掲載