家の光事業が果たす役割
(一社)家の光協会
代表理事会長
栗原 隆政 氏
教育文化活動で自己改革支援
媒体特性活かしWebも活用し情報発信
家の光協会が6月22日開いた通常総会後の理事会で、代表理事会長に栗原隆政氏(鳥取県中央会代表理事会長)が就任した。栗原新会長に、JA教育文化活動に対する思いと、これからのJA事業・活動に家の光事業が果たす役割を聞いた。
教育・広報・文化活動に必要
■ご自身と家の光事業との関わりから
私の地元である旧・倉吉市農協は、昭和59年に家の光文化賞を受賞しました。そして合併後のJA鳥取中央も参事を務めていた平成19年に家の光文化賞を受賞しました。
JA鳥取中央管内は、教育・広報・文化活動に軸足をおき組合員や地域のみなさんと共に歩んできた歴史があります。なかでも食農教育には力を入れており、家の光協会が事務局を担当している「あぐりスクール全国サミット」も、始まったばかりの第2回目を当JA管内で開催しました。当JAのあぐりスクールは今年で18期を迎えました。昨年はコロナで中止を余儀なくされましたが、これまでの実質16年間で延べ1800名が参加しています。今年もコロナ禍ですが、保護者の送迎で現地集合・解散の親御さんも参加した屋外でのスクールを開催することにしています。
JAが教育文化活動を進めるには、まず、役職員が協同組合としてのJAと、そこにおける教育文化活動の重要性を理解することが肝心です。「家の光事業」はそのために必要なツールを提供しています。当JAでは私が皮切りとなり、週ごとの部門長会議で、『家の光』で印象に残った記事をそれぞれが発表し合っています。
JA経営と教育文化活動は両輪
■協会の会長として特に力を入れていきたいことは?
JAグループは、創造的自己改革の実践に全力で取組んでいますが、JAの経営はコロナ禍による環境変化も加わりさらに厳しくなっています。引続き不断の自己改革を通じ農業・地域の展望を切り拓いていかなければなりません。
家の光事業もこうした環境変化に対応し、企画や記事構成など、変えるべきところは変え、新たに取り入れるべきところは積極的に取り入れ、協会自身の自己改革の実践に役職員一体となって取り組んでいかなければなりません。
二宮尊徳先生の『報徳の精神』は私のJA人生に大きな影響を与えました。経済発展の前提には道徳があって然るべきです。JAの経営と教育文化活動は、経済と道徳の関係であり車の両輪です。自己改革のためにも教育文化活動はますます重要になってくるでしょう。
教育文化活動の重要性の発信と自己改革の情報共有による「JA事業・活動」への理解を深めることが「家の光事業」の目的であり普及推進や記事活用促進はその手段です。
その役割を発揮するためにも、情報発信と組合員との対話を先頭に立って実践していきます。
JAへの求心力・結束力を高める手段として
■家の光事業のこれからの課題は?
協会では「ハッピー マイライフ運動」や、「家計簿記帳運動」でのライフプラン充実、不測の事態へ備えるための「わたしノート」作成など、組合員の幸せづくりを積極的に支援しています。JAグループのSDGsの取組方針にもあるように、全ての人が持続的に生活を営むことができる環境・社会・経済の実現が求められているなかで、組合員や地域住民がJAを拠り所として安心して暮らせるようにすることがたいせつです。そのためにも、JAの総合事業を活かした協同活動をすすめ、JAの事業・組織基盤の維持拡大に貢献していかなければなりません。
同時に、組合員の世代交代がすすむなか、農協の歴史や協同組合の意義を理解する人達がだんだん少なくなってきました。女性組織や青年組織活動を通じて、『家の光』や『地上』などを活用しながら、JAとは何か、協同組合とは何かを原点に返って学習する機会を提供し、改めて「JAっていいね!」と実感してもらうことも大事な役割です。
JAの広域合併が進み組合員の多様化も進んでいますが、そうしたなかで教育文化活動はJAへの求心力、結束力を高める手段として期待されています。家の光事業はそれをバックアップする大切な役割を担っています。
食、農、暮らし、協同、家族を大切に
■10年後のJAの姿を見据えた次の3か年の事業の方向は?
JAグループの出版・文化団体としての機能を発揮し、JAグループの自己改革の取組みを各媒体の特性を活かした情報発信によって支援するとともに、組合員のアクティブ・メンバーシップの確立に資するJA教育文化活動の促進にさらに取組んでいきます。
『家の光』ではJAグループの自己改革に資する関連企画を継続掲載し、組合員とJA役職員の対話運動のコミュニケーションツールとして活用を促進してきました。
2年度以降コロナ禍で事業・活動に大きく制限を受けていますが、各媒体がそれぞれWebやSNSと連動して情報の発信を続けています。
『共同の心を家庭で育む』。この創刊の原点にたって、食、農、暮らし、協同、家族を大切にしながら、まずはコロナ禍に対応した企画から、JAグループの自己改革実践に役立つ企画、組合員の幸せづくりを支える企画、〝つながる〟をキーワードに人、組織、地域を元気にする企画、地域の魅力を引き出し活き活きと健康に暮らすための企画、などの充実を図っていきたいと考えています。
存在価値を損なわず、次の100年へ変革
■組合員、JAのみなさんへメッセージを
まずJA役職員が協同組合としてのJAと教育文化活動を理解するために、率先して『家の光』や『地上』を購読し、記事活用等を通じて農協運動の牽引役となって欲しい。こうした活動が女性組織や青年組織の育成と活性化につながることを大いに期待しています。
情報発信は組合員のみならず消費者に向けても力を入れていかなければなりません。消費者の農業やJAに対する理解を促進するためにも、家の光クッキング・フェスタやあぐりスクール等の開催をすすめ、食農教育活動に力を入れていただきたい。本会としてもWebサイトやSNSなども活用して、食の安全安心や農業農村の役割、JAグループの自己改革の取組み等、国民理解醸成につながる情報を幅広く発信し支援していきたいと思います。
2025年、令和7年に『家の光』は創刊100周年を迎えます。1世紀にわたり発刊し続けている雑誌は、今日の時代にあって類い希れな存在です。それだけ協同組合の家庭雑誌としての役割を発揮してきたことになります。その存在価値を損なうことのないように、時代の変化に柔軟に対応しながらも歴史を大切にし、次の100周年に向かって変革をすすめていきたいと思います。
〈本号の主な内容〉
■このひと 家の光事業が果たす役割
(一社)家の光協会
代表理事会長 栗原隆政 氏
■農水省が食と農のつながりの深化に着目した新たな国民運動「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」を開始
■令和4年6月末在庫は210万t=米穀の基本指針
■全国農協カントリーエレベーター協議会が総代会を開催
■農協観光経営再生計画と新たな事業展開
㈱農協観光 吉野浩司 常務取締役
■クボタ、inaho、オプティム等6社がハウス栽培のスマート化実証実験を開始
■全農・農林中金・JR東日本が新宿で「にっぽん応援マルシェ」
■農林中金香港駐在員事務所とJAたじまが香港日本人学校でオンライン授業