新会社発足の背景は?
 JAの生活事業の取扱いは年々減少してきている。北東北3県をみても、平成14年を100すれば18年には70〜50に落ちてきている。農村市場、生活を取り巻く環境変化が大きな要因であるが、この間、JAが生活事業活動に大鉈振るわざるを得なかった結果でもある。
 15年3月に、農水省に設置された「農協のありかたについての研究会」が報告書「農協改革の基本方向」を提出。これをベースとした行政指導のもとに全中が15年12月に打ち出した「経済事業改革指針」では、「生活事業その他事業」は純損益段階で原則として3年以内に収支を均衡させることが示された。これを受け各JAは一斉に生活事業の収支改善に着手し始めた。生活指導員の削減、生活担当部署の合理化等が始まり、生活部・生活課は経済部署や営農部署に包括されていった。
 こうした中で、県域の生活事業は、JAと協力しての直接農家対応をする必要に迫られ、より柔軟により合理的な対応が必要となってきた。そこで岩手では、16年に「鰍`コープ・ライフサービスいわて」を設立し、生活事業全般をカバーすることとした。青森や秋田でも同様の方向が指向されていた。北東北3県は、全農統合を機に、施設事業・石油事業の広域事業所化が実現しており、生活事業広域化の素地はすでに出来上がっていた。全農に統合して5年。組合員やJAに対し、全農県本部としてダイナミックに変わろうとしていることを示すうえでも行動を起こす必要があった。

発足の経緯と業務内容は?
 16年から県域の枠を越えた新事業方式構築の協議を行い、全農「新生プラン」の生活事業広域化による事業再編、事業基盤強化の方針に基づいて、青森・岩手・秋田の3県本部が参画する広域生活総合会社による一体化を目指すこととなった。Aコープ・ライフサービスいわてを母体に、青森・秋田両県本部の生活事業移管し組成した新会社は、組織購買、食材宅配、配置家庭薬、葬祭、店舗、家具・仏壇・ギフトの6事業を取扱い、売上高220億円、当期利益2億円を目標としている。

広域生活総合会社のねらいと、事業展開のポイントは?
 全農の全国第1号の広域生活総合会社として、生活事業の両輪である、組織購買事業と店舗事業を総合的に取扱い、広域化による事業分量の拡大によるスケールメリットの創出や専門性を発揮し、組織購買・店舗それぞれの特性を活かした会社運営で組合員ニーズに対応し、JAへの提案力強化を目指す。
 本社と青森・岩手・秋田の3支店体制とし、本支店の機能を明確にした経営責任体制を構築。本部機能を集中した効率的な本社運営によるコストの低減と、支店による地域ごとの特性を活かしたJAへのサポート機能が発揮できる体制を目指している。
 食品関連では、共同購入・Aコープ店舗での国産農畜産物の取扱をさらに強化し、「生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋」機能の発揮に努めるとともに、地元特産品のエリア内交流の促進を図り、3県域での地産地消に積極的に取り組んでいく。また、エーコープマーク品の取り組み強化や食材メニューの企画統一などにより、仕入機能を強化しメリット発揮をめざしていく。組合員・利用者の多様化するニーズや技術革新に対応した、健康で快適なくらしに役立つ商品・サービスの提供にも積極的に取り組んでいく。
 20年度は売上高205億円を計画し、3支店取扱商品の標準化、選択と集中を行うとともに、3県の地域産物を用いた新商品の開発に取り組む。また、全国Aコープ協同機構との連携を強化し店舗競争力アップを図っていく。さらに、専門的ノウハウを会社全体へ拡大し、情報を共有することでより高度な組合員・JAへの支援体制を確立していきたいと考えている。

新会社の目指す方向は?
 北東北3県は、九州全域をカバーする広い面積を有しているが、地形も気象条件も厳しく農業経営も一筋ならぬものがある。しかし、21世紀は食の安全とくらしを見つめる時代に大きく変化していくだろう。その意味では北東北が持っている日本の食料基地としての機能、その潜在価値が試される時代が到来している。この貴重な地域・財産を守り育てる農業生産を担う農家・組合員の生活とくらしに、まじめに一生懸命お手伝いすることが当社の大きな使命である。農産物生産地帯における自立したJA生活事業を確立し、今後のJA生活事業を牽引していくパイロットの役割を果たしていきたい。


2008年6月25日号 第2823号
このひと
         株式会社Aコープ北東北
           代表取締役社長 櫻井秀俊 氏
 4月1日、青森・岩手・秋田の北東北3県の全農県本部が参画する「(株)Aコープ北東北」が発足、全農として全国初の広域生活総合会社が誕生した。組織購買、食材宅配、配置家庭薬、葬祭、店舗、家具、仏壇、ギフトの6事業を取扱い、北東北3県のJA生活事業全般をカバーする同社がめざす方向を、櫻井社長に聞いた。