政府は14日、規制改革推進会議農林水産WG(オンライン会議形式〔非公開〕)を開催し、JAグループから自己改革の実践状況についてヒアリングを行った。JA全中(全国農業協同組合中央会)、JA全農(全国農業協同組合連合会)、JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)、農林中金(農林中央金庫)、福井・越前たけふ農協が対象。
会合後、内閣府が行った説明によると、佐久間総一郎座長(日本製鉄常任顧問)は「農協改革集中推進期間終了後も引き続き自主的に自己改革を行うことをWGとしても評価したい。農業者のため、単協の改革をしっかりと応援してもらいたい。農水省には所管省庁として引き続きJAグループに改革を促し、適切な指導をお願いしたい」「低金利下において長期的に農協が機能を発揮していくためには、信用事業の見直しが不可欠という議論をしてきたところだ。コロナウイルスの状況を考えると、グローバルな市場環境は、今後さらに悪化するものと考えられることから、必要に応じて資金運用のあり方についても議論したい」「農水省も農林中金と連携して、国内の農業にどのように資金を還元するかという視点から出融資の仕組みを検討するとともに、農業分野における出資の資本規制の見直しなど、国内農業の投資環境の整備、選択肢の創設についても検討してもらいたい」「来年4月を目途とする改正農協法の5年後見直しを見据え、改革の進捗状況を踏まえた必要な措置については議論を加速していきたい」と総括。
会合では、委員から農協について、「農業者利益の向上に最も貢献できる組織であり健全にその活動を継続すること、経済事業を立て直して農業者利益のために改革を進めているということが非常に重要であることからも、農業者視線で改革を行ってもらいたい」「地方創生のためには、地方の中で資金の還元サイクルが農業分野等で出来上がる必要がある。超低金利の中、生きた資金のサイクルを地方でできるように努力してもらいたい」との意見があったという。
また、内閣府によれば、「農林中金は海外への投資よりも国内の農家への支援や投・融資に積極的に取り組むべきではないか」「農業融資の割合に対して住宅ローンへの貸し出しの割合が高いのでは」との意見に対し、農林中金からは、▼農業融資の市場規模は約4・8兆円、そのうちJAの残高は25%を占める(信連・農林中金を含むJAバンク全体では54%)、▼住宅ローンの市場規模は約200兆円、そのうちJAの残高は5%程度で、全国の個人貯金の10%ほどがJAバンクに寄せられていることと比べても住宅ローンの割合が大きすぎるとは言えない、等と説明、「農業資金の融資に関しては、これまでも強化すべきだと考えてきた。引き続き取組みを強化していきたい」と答えた、としている。