日本協同組合連携機構(JCA)は9月28日、東京・明治大学リバティタワーで「協同組合らしい地域包括ケアの実践と地域共生」をテーマに、「第1回協同組合の地域共生フォーラム」を開催した。「地域包括ケア」とは、高齢者介護における、住まい、医療、介護、介護予防、日常生活を包括的かつ総合的に支援するもの。フォーラムは、協同組合が地域共生社会づくりへ更に積極的に関わるため、協同組合間協同の推進とともに、関係省庁・自治体・有識者・大学等との連携を強めながら、協同組合が地域で果たすべき役割について考えることを目的としており250名以上が参加した。JCA内に結成されたJA全中・JA全厚連・文化厚生連・日本生協連等7団体による実行委員会が企画の検討・運営に当たり、内閣府地方創生推進室、厚労省、東京都のほか、JA全農、JA共済連、農林中金などJA全国連等が後援した。
フォーラムでは、「協同組合らしい地域包括ケアの実践と地域共生」をテーマとしたパネルディスカッションで、JA愛知厚生連足助病院、生活クラブ風の村(千葉県)、松戸地域福祉事業所あじさい(千葉県)、南医療生活協同組合(愛知県)による実践報告、「居場所で支える認知症~お茶のみ保健室の役割」「『生協10の基本ケア』と自立支援の実践・効果」「地域の基幹病院として、行政と一体での地域包括ケアの取組み」「県域で創る社福と厚生連、単協の協同・福祉事業」「ともに生きる地域づくり~協同労働でみんなの居場所と役割を作り出す」「今必要とされている『居場所』を広げて行くために」をテーマとした分散会が行われた。
このうち実践報告では、足助病院が、中山間地域においてコミュニティの場として、文化の発信地として開かれた病院づくりに取組んでいること、名古屋大・豊田市・地域住民と共働で取組む「助け合いプロジェクト」を説明、風の村は、生活クラブ生協千葉と地域で連帯し、地域共生社会づくりに取組み、サロンや買物バス、認知症カフェ、こども食堂などを行っている事例を紹介した。
開会挨拶でJCAの馬場利彦専務は、「(各団体は)それぞれ地域包括ケアの活動をされているが、お互いにそれぞれの活動を意識するということは殆どなかったのではないか。本日は、JA、生協、ワーカーズコープ、ワーカーズ・コレクティブはじめ、ケアに係る協同組合の実践者が、ここに一堂に会する、まさに歴史的な日と思っている」と語った。また、「協同組合は人を大切にする人の組織だ。だからこそ、医療・福祉・健康の社会的課題の解決に役割を果たさねばならないし、また一つの協同組合では為しえないことも、連携して可能になると確信している」と述べた。