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農水省がJA自己改革実践のサイクル構築を提案

2021年5月18日

JAは組合員と対話し方針等を策定、具体的に実行

 農水省は、今後の農協改革の推進の方向性を規制改革推進会議農林水産WG(13日開催)に示した。各JAが継続して自己改革に取り組むために、組合員との対話を通じて自己改革実践のためのサイクルを構築、農水省がこのサイクルを前提として指導・監督等を行う内容。

 今回、農水省が示した具体的な取組み内容は以下の通り。

1 農協において、組合員との対話を通じて自己改革を実践していくサイクルを構築する。

2 具体的には、
①農協において、次の方針等を策定し、組合員との徹底的な対話を 行い、総会で決定する。
ア 自己改革を実践するための具体的な方針
イ 中長期の収支見通しについてのシミュレーション
ウ 准組合員の意思反映及び事業利用についての方針
②この場合、
・アについて、それぞれの農協が置かれている事業環境に応じて、農業者の所得向上につながる実績を判断するためのKPI等の目標を設定するとともに、農業者の所得向上に取り組むための具体的な行動内容等を定める。
・イについて、農業者の所得向上に取り組むべく、健全で持続性のある経営を確保する観点から、経済事業はもちろん、全ての事業について将来の収支見通しを作成する。
・ウについて、准組合員の意思反映に関する仕組みを明確化するとともに、事業利用について、組合員が具体的な利用状況を把握した上で、農業者の所得向上を図るとの農協改革の原点に立って判断するものとして定める。
③農協は、①の方針等や事業計画等に基づいて、自己改革のための具体的アクションを実行する。
④農協は、毎年、自己改革の実績や取組状況等について、①の方針等との比較・分析を含め、組合員に丁寧に説明する。組合員の評価と意向を踏まえ、更なる改革の取組のため、事業計画への反映や方針等の修正等を行う。
⑤この一連のプロセスを毎年継続して実施していく。

3 全国組織において、農協が2の①の方針等を策定するに当たって助言、優良事例の横展開等を図るとともに、自ら生産資材価格、輸出、他業種連携、販売網の拡大等の農業者の所得向上のための改革を実施し、これらを通じ、農協に対する支援等を行う。

4 農林水産省(都道府県)は、2の自己改革実践サイクルを前提として、指導・監督等を行う。2の①の方針等の作成に当たっての助言、③の具体的アクションのヒアリング等を行いつつ、毎年、自己改革の実績等について報告を求め、進捗状況、収支状況等を把握し、農協や全国組織における取組の加速化・見直し等が求められる場合には、自律的な改革の継続・強化や健全な経営の持続性の確保等の観点から、必要な措置を検討・実施する。

5 JAバンクについては、
①JAバンクとして、農業者向けの事業融資の強化や関連産業への投融資等に向けて、中期的な戦略を策定する。
②これを踏まえ、農林中金、信農連、農協において、それぞれ、農業・関連産業向けの投融資活動等について目標を設定し、具体的な行動内容等を定める個別計画を策定する。
③その個別計画に基づき具体的アクションを実行し、その実績や取組状況について、中期的な戦略等との比較・分析を含め、組合員等に丁寧に説明し、更なる活動等を進めるため、個別計画への反映を行う。

6 農林中金は、農協から実績や取組状況の定期的な報告を求めるとともに、融資の審査等に必要な貸出システムの導入といった支援や目標達成のために必要な助言等を行う。農林水産省(都道府県)は、金融庁と連携し、5の自己改革実践サイクルを前提として、指導・監督等を行う。5の①の中期的な戦略の作成に当たっての助言、③の具体的アクションのヒアリング等を行いつつ、JAバンクに対し、農業・関連産業向けの投融資の実績について報告を求め、進捗状況等を把握し、見直し等が求められる場合には、必要な措置を検討・実施する。

※詳報は日刊アグリ・リサーチに掲載いたしております。

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