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自民茶業振興議員連盟が茶業生産維持で農水省に緊急要請

2020年10月21日

自民茶業振興議連が茶業生産維持で農水省に緊急要請


 自民党の茶業振興議員連盟(森山裕会長)は20日、農水省に高収益作物次期作支援交付金の所要額確保を含む茶業生産の維持に向けた緊急要請を行った。

 高収益作物次期作支援交付金は、新型コロナウイルスの影響を受けた農業者が営農を断念することなく次期作に前向きに取り組めるよう、創設当時は要件を簡素で弾力的にするなど、困っている農業者が申請しやすい仕組みとしていた。農水省によれば、その結果、「申請の中には要件には該当するものの必ずしも新型コロナウイルスの影響があったとは言えない申請も含まれており、このまま交付金を支払うことになると批判を受けかねない」として、今般、減収のあった品目を対象とし減収額を超えない範囲で交付金を支払うなど、運用の見直しを実施。具体的には、交付対象面積を次期作の全作付面積から「売上が減少した品目の作付面積」、交付額の上限を「各農業者の減収額を超えない範囲」に設定。厳選出荷の取組日数についても「作業従事者1人につき90日まで」と上限を設定した。また、売上等の減少について確認するための「申告書」の提出も求めている。

 自民党茶業振興議連では、日本の伝統作物である茶業生産はコロナ禍により多大な影響を受けたところだが、生産継続が行われるべく高収益作物次期作支援交付金により支援が行われてきたと説明。こうした支援を前提に各地の茶産地では次期作への取組が行われており、同交付金の運用変更によって「茶農家が大きな減収に直面している中、急な運用変更によって茶農家の経営に打撃を与えることは断じて許されない」と訴え、野上浩太郎農相に茶業生産の維持に向け、以下の2項目を申し入れた。

 ▼大きく減収している茶農家への支援の確実な実施…コロナ禍のもと、茶価の下落は加速し、取引数量も大きく落ち込む中、茶農家の収入は大幅に減少。このような状況の中で、茶農家は当該交付金を見込み次期作への取り組みを既に進めている実態がある。このため、減収している茶農家の経営に影響を与えることが万が一にもないよう、予定されていた支援が、遅滞なく実施されるようにすること。

 ▼高収益作物次期作支援交付金の所要額確保…補正予算編成や予備費の活用も含め、減収農家に交付金が速やかにいきわたるよう、所要予算額の確保を政府は責任を持って行うこと。

 森山会長は、茶価の減少などの茶業の現状について説明、「運用変更をしなければならない事情があったことも理解はできるが、現場は大変混乱している」など、農家への丁寧な説明や予算の確保を求めた。

 野上農相は「交付金の見直しは行わざるを得ないものと考えているが、新型コロナウイルスにより大きな影響を受けた茶農家にはしっかりと支援しなければならない」と語った。

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