日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2026年2月15日号

2026年2月15日

〈本号の主な内容〉

■第72回 JA全国青年大会 記念鼎談

農業と担い手の支援をめぐって
 ~担い手確保、地域ごとの対応が必要~
 JA全青協 会長 北川敏匡 氏
 JA全農 常務理事 日比健 氏
 ㈱農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部
  マネージャー・主事研究員 石田一喜 氏

■第9回 和牛甲子園 開く
 JA全農が開催
 総合優勝と枝肉評価部門最優秀賞に鹿児島県立市来農芸高校

■JA人づくりトップセミナー
 JA全中がWeb開催


 

第72回 JA全国青年大会 記念鼎談

農業と担い手の支援をめぐって
~担い手確保、地域ごとの対応が必要~

JA全青協 会長 北川敏匡 氏
JA全農 常務理事 日比健 氏
㈱農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部
 マネージャー・主事研究員 石田一喜 氏

 第72回JA全国青年大会が2月18・19日、東京・練馬区立練馬文化センターで開催される。大会を記念し、JA全青協の北川敏匡会長、JA全農の日比健常務、農中総研の石田一喜主事研究員の3氏に、「農業と担い手の支援をめぐって」のテーマで鼎談をお願いした。全国の基幹的農業従事者が5年前の4分の3に減少するなど急速な担い手不足の進行への対応、農業支援サービスの活用等について幅広く語り合っていただいた。
〈進行:日本農民新聞社〉

 

農業とわたし

まず自己紹介から。

JA全青協 会長 北川敏匡氏

 北川 令和7年度の全青協会長を務めさせていただいています。平成25年に就農した当初からJA青年部の活動に参加し、令和4年度に三重県青年部会長、全青協理事に就任し、6年度に全青協副会長に就いたのを経て、昨年、会長となりました。

 私自身は地元の三重県伊賀市でイチゴとトマト、イチジク、集落営農で水稲などを栽培しています。中山間地域において高付加価値の作物を生産・販売する戦略を取り、何とか持続可能な農業を実現すべく、精いっぱい取組んでいます。

JA全農 常務理事 日比健氏

 日比 全農で現在、耕種生産事業、すなわち営農と生産資材、施設関係を担当しています。私は愛知県出身で、大学進学時から親元を離れましたが、実家は専業農家で、兄が事業承継をしています。都市近郊ということもあって、今は農業と半々ぐらいです。

 全農には1987年に入会し、肥料の仕事を長く担当した後、ここ5年間は部長、役員として農業機械や段ボール等の生産資材、営農関係、また、ゆめファームが手がける高度施設園芸やカントリーエレベーター等の共同利用施設などを担当しています。

農林中金総合研究所 マネージャー・主事研究員 石田一喜氏

 石田 農中総研は、農林中金グループのシンクタンクとして国内外の農林水産業や経済金融、協同組合の取組みをフォローしています。私自身の専攻は農業経済学で、特に農地の利用について研究してきました。農地法、労働力、外国人に関する法律に関しても、2013年の入社から研究を続けています。

 社内では産業として持続可能な農業チーム、および有機農業研究チームの双方でチームリーダーを務めています。農地や事業承継、BCP(事業継続計画)などの災害対策、J-クレジットをはじめとするみどりの食料システム戦略への対応、集落営農の展望といった幅広いテーマに取組んでいます。

 

JA全青協の活動のポイントを。

 北川 各都道府県のJA青年組織を会員として昭和29年(1954年)、JAをよりどころとして豊かな地域社会を築くことを目的に設立された全国組織です。おおむね20~45歳の青年層を中心に、全国に約5万人の盟友がいます。毎年作成するポリシーブックを軸に、学習と自己のスキルアップ、そして政策提言や議員・行政との意見交換といった活動を展開しています。

 自助、共助、公助という枠組みの中で、どんなことができるかを考えながら取組みを進め、作物別・課題別の各部会で全国一斉アンケートを実施するなどして、テーマごとに解決策を練っていきます。まず自分たち一人一人で何ができるか、グループで何ができるかを考えたうえで課題解決に向けて行動し、それでも十分でないところは国会議員などへの要請を通じて、国などに働きかけていくことになります。

 他に、盟友の学習・農業政策への理解醸成につながるセミナーの開催、青年農業者のリーダー育成に向けての海外研修も行っています。今年度の研修はスペイン、イタリアに出かけ、現地の協同組合や農業情勢について学んできました。また、将来のJA経営を担う次世代組合員のリーダー育成を図る青年理事・組織リーダー経営セミナー、ポリシーブックの作成・活用のための研修会にも取組んでいます。さらに、JA全国連の理事会や経営管理委員会などにも参加させていただいており、若い世代の声を届け、意見交換を行うよう努めています。

 

農業めぐる最近の情勢

食料・農業・農村をめぐる情勢をどう見ますか。

 石田 昨年11月公表の「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」によりますと、衝撃的なのは5年前に比べ農業経営体が23・0%減少し、個人経営体の基幹的農業従事者は25・1%減ったことです。必ずしもネガティブにだけ捉える必要はありませんが、人がいなくなることのマイナス面はやはり見逃せません。私が関心を持つ農地利用の観点から言えば、小規模な農業者が高齢に伴って離農するのはある意味で仕方ありませんが、離農した後の農地がどうなっているかを考えると、今後なかなか難しい状況が出てくると思っています。

 特に、昨年3月に全国市町村が策定した地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画)を考える場合、このことは大きな意味を持ちます。つまり、この5年で23%減ったが今後はもう減らないというのなら何とか頑張っていこうとなりますが、今後もますます減ることが予想されるとなれば、残された農業者が農地を引き受けるという状態はずっと続くことになります。大規模な農業者がさらに急速に規模を拡大して、経営をそのまま継続できるのか、期待とともに心配もせざるを得ません。

 地域差が出てきていることも感じています。収益性の高い営農と規模拡大が両立するかどうかに関しては、土地条件が大きく影響します。したがって、規模拡大しても問題ないところと、離農後の農地を引き受けると経営のあり方を見直さざるを得ないところが出てくるだろうと思います。離農後の農地を大規模農業者、あるいは大規模化を目指す農業者が引き受けることは、ある意味で問題を先送りすることにもなります。やがて大規模な農業者も後継者がいないため離農するとなると、その農地を残された農業者がどうするかという問題が続いていきます。新規就農の推進もにらみつつ、次世代の農業をどうやって継承していくかという課題は、どんなに規模を拡大しても残るテーマです。

 気候変動については、一等米比率の低下という事態は記憶に新しいところですが、1年だけ気候変動の影響を受けて、いきなり離農するかというと、そうでもないと思います。ただ、2年、3年と続くと厳しくなってきます。大事なのは、気候変動対策のノウハウを蓄積することだと思っています。高温だけでなく、豪雨豪雪の影響もあります。例えば施設園芸は、大雪でハウスがつぶれてしまうと、離農の原因に直結してしまいます。資材価格の高騰で、農業用施設も新しく建てるのがなかなか難しくなっていますので、地域の豪雨豪雪対策のノウハウが大事になっていくと思います。現状では個人事業者それぞれの対応になっていて、みんなで一斉にBCPを作って自然災害に対応しようという機運には、まだなっていないように感じます。

 こうした厳しい状況の中で「令和のコメ騒動」のような農産物価格の上昇もありました。ますます農業に対する国民の理解を得ることが不可欠になりますので、食料システム法(*)制定に至った農政の動きは重要だと思います。ただ、消費者の理解をはるかに上回るほどの気候変動の影響、資材価格の高騰の下では、同法だけで全てを解決することにはなりません。先進的な対策の取組みをみんなで学んでいくことは欠かせないと思います。
*食料システム法=「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」の通称

 日比 石田さんが言及されました通り、令和7年度の統計で農業経営体の数が大幅に減少し、平均気温が過去最高となった昨夏の高温は農産物の生産に多大な影響を及ぼしました。全農にとりましては、今回のコメの供給不足に端を発して、農業やJAグループの役割に対する社会の認識が非常に不足していることが浮き彫りになり、対外的な情報発信が不十分だと認識しました。

 そうした中で、自民党が農業構造転換推進委員会を立ち上げ、食料安全保障の確立に向けて短期的・中期的な対策を検討し、別枠の予算確保に向けて動いていただいています。食料システム法も4月から全面施行されますので、生産コストのみならず、営農継続を踏まえた対応が課題だと思います。全農としては、日本の農業生産と農産物の流通は多様であるという認識の下、目の前の課題に対する対応と、中期的・構造的な問題に対する対応を、策定中の8年度事業計画の中で十分に具体化していきたいと考えています。

 

地域の中の農業

 北川 農業従事者の減少は局所的なのか、それとも全体的に生じているのでしょうか。

 石田 今後、市町村別の結果も明らかになってくると思いますが、確かに、その点の分析が必要です。地域により減り方の差は出てきていて、おそらく土地条件・農地条件の差が多分に影響していると思われます。

 北川 離農の理由も土地により、場所の条件によって違うのではないかと感じています。山間部と平場とで、就農率はいずれも落ちていると思いますが、理由に違いがあって、それぞれにどう対処していくか、僕ら青年部もどう対応して動くかが大事になります。

 日比 想像するに、農業だけではなくて、いわゆる限界集落と言われるような、地域そのものの状況の影響も相当あるのではないでしょうか。本来、農業が基幹産業であるべき、そういう地域こそ全体で見ていく必要がありますね。

 北川 先ほど話題に出た自民党農業構造転換推進委員会に私も呼ばれ、その際、中山間地域の農業を「農業だけで語るのは無理です」と話しました。「人や暮らしや産業までひっくるめて考えないと、中山間の農業は堪えられない。維持しているのが限界ですから」と。

 日比 地方創生というか、地方そのものをどうするかという議論に、次第にウエートがかかることになるでしょう。

 北川 そうなればいいと思います。政策のメニューとしても全国一律で、というのではなく、中山間であればこういうことを、というように。かなり限界にきていると感じますので。

 日比 農業者が自助でできることは、既に相当取組まれています。

 北川 はい。JAにも随分サポートしていただいています。

 石田 集落営農が共助だとすれば、集落営農も限界に……。

 北川 近づいています。私も5年ぐらい前から、水稲を集落営農で栽培しています。だいぶ効率が良くなってきていますが、一緒に生産している従事者15人のうち、私と同世代は4人しかいません。あとは高齢の方々なので、10年後はどうなるだろうと。

 

担い手・労働力不足

まさにその担い手不足への対応ですが。

 石田 担い手不足は、農地を引き受ける人がいるかどうかという問題ですが、労働力不足は、どういう労働力が足りないかに応じて戦略が変わってきます。収穫作業などでは、各社が提供するバイトアプリなどを通じて人を集める動きが進んでもいて、ある意味で熟練していない人をいかに受け入れ、手伝ってもらうかという対応です。

 これに対し、農機オペレーターなどの機械作業の場合、ある程度の育成が必要ですが、育成のノウハウがなかなか確立しません。従来は集落営農や家族の中で、手伝いをしながら学んでいましたが、これが切れてしまうとオペレーター不在になってしまいます。JAグループを含め、農業者をサポートする形で運営されてきた選果場でも人手が不足してきていると感じます。

 生産現場でも選果現場でも人手は足りないけれども、必要な人材はそれぞれ異なるので、供給ルートをどのように作るかが課題になります。最近注目されている「お試し就農」をどう位置付けるかも気になりますし、今や農業分野でも外国人労働者は相当増えてきています。毎年、新たに日本に来る特定技能外国人の数と、日本人の新規雇用農業者数はほぼ一致してきています。日本人のほうは少しずつ減る傾向にあるので、新規に働き始めるのは外国人のほうが多いという状況にそろそろなりそうです。すると育成の方法も変わってきますし、農業者が外国人を主力の労働者にしていくのかどうか、また、そうしたいと思う時は日本語能力の定着が論点になるなど、さらに難しい課題が出てくると感じます。

 一方、担い手として事業継承する際、それなりに規模の大きい農業経営の場合は、本来なら収益が出ているので、すんなりと譲れそうに思われますが、なかなか進んでいません。うまく引き継げているのは、他地域から規模を拡大して展開してくる農業法人か、企業参入かになっていますので、そうなると農業構造が変わってきます。担い手確保策に応じて地域農業の将来が変わるというところも見据えて、みんなで話し合わなければいけないタイミングに来ていると感じます。

 日比 既に担い手がおられない地域も出てきていて、非常に深刻です。全農の労働力支援としては、北川会長が自ら実践されている農業者間の連携が、まず重要だと考えています。人手が足りない農業者と、まだ余裕がある農業者をどう結びつけるか、助け合う仕組み作りが大切だと思います。例えば、集落営農組織にしても、現状をよく分析し、共有することで、人手の連携から、保有する農機の貸し借り、最終的には営農計画を共同で作るところまで発展できればと考えています。

 人材の確保については、当然その地域だけではできないので、地域外、また農業者だけでなく他産業も含めた多様な人材を確保していく必要があります。

 全農でも他産業のパートナー企業と連携し、農作業の請負を始めていますし、バイトアプリを活用した「91農業」も推進しています。「あなたのライフスタイルに農的生活を1割取り入れませんか?」をコンセプトに、新しいライフスタイルとして提唱している取組みです。幅広く農業に触れる機会を作ることで、農業に興味がある人や将来農業を志す人に対し、農業を経験する場を提供したいという考え方です。これによって農業関係人口を増やすとともに、消費者の理解醸成にもつなげたい。令和8年度は全青協の協力をいただいて、ぜひとも「91農業」を進めたいと考えています。

 

事業承継の現状と課題

事業承継の現状と課題については。

 日比 親元就農を前提とした承継に加え、第三者承継や集落営農内での承継を含めた新しい事業承継のスタイルも出てきています。全中とも協力して作成したガイド「事業承継ブック」(親子版および集落営農版)は、発行から数年が経過しています。全農と農業者3団体(JA全青協・4Hクラブ・法人協会)で構成する「農業者団体連携プラットフォーム」で、事業承継の現状に合った見直しを進め、実際に使っていただけるものにしたいと思います。

 北川 うちの集落営農も専業農家は私だけで、ほとんどが91農業です。サラリーマンの方が、土日など年間の1割だけを使って農業に従事しています。都市近郊型の農業の事業承継に関しては、相続が大きな課題になっているようです。

 日比 都市近郊の事業承継に関しては、資産としての相続という課題もあるので、今後、全中などとともに相続相談を進めることにしています。JA全国連4団体の協議会で、既にそれぞれが持つノウハウをまとめ、各JAに情報提供ができるようにしていますが、それをより進化させ、もっと相談しやすくする必要があります。

 北川 地方では、相続する人が農地を置いたまま外へ出て行ってしまい、探し回らなければならない場合も目立ちます。相続する人たちに対し、こうすれば地域で農地を守ってもらえるといった情報を、あらかじめ伝えておくようなアプローチができたらいいのではないでしょうか。

 石田 本来は地域計画に、そういう役割が想定されていたわけですが、いわば地域農業における離農のノウハウがまだ確立していません。

 北川 離農する時に、その農地を引き継ぐノウハウがあれば、と思います。

 石田 離農した所有者が都市部に引っ越してしまっていたりするわけですね。

 北川 食農教育に関しても、今では親世代で子供に教えられる人がいません。親世代が生まれも育ちも都市部の人たちになってきて、食について文化的な見方を持たないままなわけです。教員にしても同じで、親から教わってきていて子どもたちに語れる人がもういないのです。

 日比 昭和の時代には、祖父母の家では農業をやっているという人が多くいましたが、今は世代が変わってしまい、祖父母を含め親族で誰も農業をやった経験がないという状況になりつつあります。

 石田 戦後初めて、あるいは日本の歴史上でも例がない事態ではないでしょうか。

 

農福連携の取組み

農福連携の取組みについては。

 石田 担い手不足を解消するうえで意義は大きいですが、どういう仕事を頼むかといった戦略を、農業者・農業法人自身が持たないとミスマッチが生じてしまいます。作業をどのように切り出し、依頼するかという調整能力が問われます。

 北川 障がい者の方にお願いするには、作業を細分化、単純化したうえで丁寧に伝えなければなりません。難しいですが、同じやり方でシステム化しておくと、新規に入った農業経験のない方にも教えやすい。

 日比 施設園芸の実証農場「ゆめファーム全農こうち」で、障がい者の農作業への参画を推進し、「ノウフク・アワード2025」のチャレンジ賞にも選んでいただきました。福祉施設との仲介をしてくださる方が、非常に大事です。また、いかに続けていくかも重要で、続けるためにはマニュアルや受け入れ体制の整備をしていく必要があると思います。

 

農業支援サービス

営農を後押しする農業支援サービスについては。

 石田 最近の大きなトピックで、期待も高まっています。特にスマート農業を実装する際、農業支援サービス事業体がサービスを提供するといった新しいチャレンジングな内容も含まれます。データ分析など農業者がこうした事業者と連携する余地は大いにあると思います。集落営農の連携に当たって、現状を把握し、その調整をサポートする「AGRI-PASS(アグリパス)」というシステムの提供も開始されるなど、新しいアイデアを導入していくという意味では、農業支援サービス事業体が関わっていく意義は大いにあると思います。

 一方で、農業法人自身が機械を所有しデータ分析等を行う道もありますので、農業支援サービス事業との共存共栄がどう図られるのか。また、JAグループが担ってきた農業支援をどう位置付け直すのか。こうした点については私自身、整理しきれていません。国では、農業に関わってこなかった事業者への期待感が高いようですが。

 安価な料金であれば農業支援サービス事業者へのニーズは高まると思いますが、現状では農業者のニーズを把握しきれていないという印象があります。誰が何に、どういうタイミングで困っているのかという情報が事業者に集まっていないことも感じます。そうした情報を集約して事業者に伝える調整役も必要になりそうです。

 日比 農水省は農業支援サービスを、作業サポート型と判断サポート型に分けています。作業サポート型は専門作業受注、機械設備供給、人材供給の3つに分類され、判断サポート型にはデータ分析のサービスが含まれます。

 そもそも育苗やコメの乾燥・調製、青果物の選果、集出荷といったJAグループの共同利用施設は、まさに農業支援サービスそのものです。老朽化した施設については、省人化に向けた再編・更新が重要な課題となっており、全農としても積極的に支援したいと考えています。

 農機レンタルもJAで長く手がけていますが、これもエリアを限定して、農家でチームを作り、インターネットを活用した効率的なレンタルの仕組みを導入していきたいと思います。

 専門作業受注型のオペレーター付き作業支援のうち、ドローン防除に関しては従来も民間で航空防除を行っていましたし、少人数で大面積をこなせる作業でもありますので、事業として成立すると思います。

 これに対し、収穫や田植え作業の支援となると、作業料金の体系が現実に請け負える単価になっていないように思われます。

 そのギャップを埋めるという課題は、事業者だけでなく、国や市町村にも入っていただかないと解決のハードルが高い気がします。国が支援サービス事業を進める背景には、農地の規模拡大を図る考えもあるでしょう。

 北川 拡大の余地はまだあると思いますが、もう限界まで農地を広げすぎ、担いすぎているという声も聞きます。

 石田 それをサポートするのが支援サービス事業体なのでしょう。

 北川 支援サービスも、担い手の確保が課題になりそうですが、期待しています。

気候変動への対応

 北川 ここ数年の気候変動による影響は大きく、昨年も干ばつや豪雨の被害が深刻でした。夏の高温による干ばつに対しては、関係するインフラの整備を求める声が全国の盟友からあがりました。豪雨災害ではライフラインの復旧が重要ですが、農業者としては被災した産地からの作物の供給が途絶えるのも打撃です。

 気候変動の影響は計り知れないほど大きく、病害虫も毎年違う形で発生しています。生産者は、毎年必ず何らかの被害発生を前提にした対応が迫られています。このため、各地の情報を互いに共有することが大切になります。

 日比 全農の令和8年度事業計画でも、温暖化・高温対策を重視しています。水稲に関しては高温耐性品種、園芸では暑熱対策資材を、実証を含めて普及拡大したいと思います。

 水稲では昨年、高温化対策ガイドブックを作成し、現在は農研機構と連携しながら、果樹と野菜の高温化対策マニュアルの策定を進めています。

 資材関係では、高温や乾燥による農産物のストレス増大に対応し、バイオスティミュラントの実証も進めていきます。バイオスティミュラントは、気候や地域、タイミングによって効果が違ってくるため、高温・干ばつのストレスに対処できる効果を探りたいと思っています。

 石田 気候変動への対処によって、追肥や害虫の防除が必要になるなど、人手不足の中でさらに作業が増える面があります。

 今後、作物の生産が継続できるのかという点も重要です。西日本ではミカンができにくくなっているようで、産地が北へ移っていった場合、適地になった場所で新たにミカンを栽培する人が出てくるかどうか、そのための営農指導も必要になります。

 今、生産している農業法人が、別のエリアに動くとすれば、地域農業の姿も変わります。バイオスティミュラントやAIによるシミュレーション、温暖化に伴う作業時期の前倒し等の予測システムを、農業者が学んでおくことも必要になると思います。

 北川 手軽な予測システムが普及すればありがたいですね。

 石田 この1年でもかなり進化してきています。AIが進化すればするほど性能は良くなっていきますので、5年後には違った未来が見えてくるかもしれません。例えば、3Dで作物がどんなふうに生えてくるかという予測までできるようになれば、自動収穫ロボットの動きも設定できるので、夜間や早朝、暗い時間帯の収穫作業もできるようになります。すると、人手不足の世界も変わるかもしれません。

青年大会に向けて

JA青年大会に向けてのアピールを。

 北川 全国の盟友の交流を図り、JA青年組織の活動を強化・発展させるための集いとして、年1回開催するものです。各ブロックから選出された青年の主張と、JA青年組織の活動事例の発表が主な内容で、大会を通して各盟友が学び、次の活動に生かしてもらいたい。大会スローガンは「咲き誇る 青年の情熱と協同の力~さあ、みんなでやってみよう!~」。我々の手で次の未来を切り拓こう、一致団結して取組みましょうという思いを込めています。

 そして、圧倒的動員の実現も目標です。1200人入る会場を埋め尽くし、来賓の方々を驚かせたい(笑)。SNSやネットが発達した社会で、せっかく直接顔を合わせて集まり、熱量をもって大会ができる機会というのは貴重なので、ぜひとも盛大なものにしたいと思っています。

 日比 第72回JA全国青年大会の開催、誠におめでとうございます。全農としましても、地域の営農を支える青年部の代表の皆様に、地元JAはもちろんのこと、全農としても営農と生産の場面でしっかりとサポートできるように努めたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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