日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2021年7月5日

2021年7月5日

JA全国女性組織協議会洞口ひろみ会長このひと

JA女性組織の明日

JA全国女性組織協議会
会長
洞口 ひろみ さん

(写真/鈴木加寿彦)

70周年の節目、コロナ禍に怯まず
ネットも活用し新たな活動の芽も

JA全国女性組織協議会は、5月26日の通常総会で、令和3年度の活動計画を決定するとともに、新会長に洞口ひろみさん(宮城県JA名取岩沼)を選任した。洞口新会長に、3年度事業への取り組み姿勢と、これからのJA女性組織活動にかける想いを聞いた。


「復興魂」でメンバーのさらなる力を

改めて会長就任の決意を

 コロナ禍で世界中が大変だった昨年に続き、いまだ感染拡大が収束しないなか、JA女性組織メンバーは日々の活動に躊躇されることが多いかと思う。これまでも、東日本大震災や熊本地震、九州や広島での豪雨など全国的に自然災害が多発し怖く辛い思いをしてきた。こうした困難な情勢のなかにあって、東日本大震災からの復興10年目を迎えたこの年に、宮城出身の私自身が『復興魂』で、頑張ってみようと引き受けた。

 今年は、JA全国女性協創立70周年。改めて創立の原点に立ち返り諸先輩の活動の歴史を学び、そのなかから受け継いできた熱い思いや培ってきた成果を参考にしながら、メンバー全員さらなる力を発揮していきたい。

 みんなで楽しく会食や会話をしながら心が通うような活動を展開するのが女性組織本来の姿だが、コロナ禍でそれが出来ない現状は非常に残念だ。しかし、これに怯むことなく新たな活動の芽を育んでいきたい。WebやSNSなどネットを駆使して情報をお互いに全国に発信していくことを、みんなで学んでいきたい。

コロナ乗り越え新たな活動環境づくり

JA女性協の今年度の活動のポイントは?

 現在の3カ年計画『JA女性 地域で輝け50万パワー☆』の最終年度として、「食を守る☆」「農業を支える☆」「地域を担う☆」「仲間をつくる☆」「JA運営に参画する☆」、いずれも私たちが取り組んでいるSDGsの活動そのものに通じる5つの重点実施事項の実現に向けて取り組みを加速化していく。

 なかでも、女性のJA運営への参画やフレッシュミズ組織の設置拡大は、女性組織が今後取り組むべき重要な課題であり、次代を担うフレッシュミズの育成には力を入れていきたい。

 今年度は次期3カ年計画策定の年でもあり、現在協議に向け準備を進めている。さらなるステージへ上るため新しい活動環境づくりに努め、全国の女性組織が力を合わせ食と農の活性化に取り組み、持続可能な農業とくらしやすい地域づくりに貢献していきたい。

 今回の通常総会では、『コロナ禍を乗り越え次なるステップを歩むために70周年50万パワー☆フルパワー宣言』を採択した。〝ウィズ・コロナ〟の時代でも、培った知識や人とのつながりをフルに活用しながら、「できることからはじめよう」を合言葉に、力を合わせて次なる一歩を踏み出すことを確認した。

 SNS等で地域間の交流を深め、各地域での活動をお互いに共有しながら女性組織が活性化していくような70周年を迎えたい。

 今秋開催される、JA全国大会に向けても、これまでの取り組みをさらに肉付けし、これからの時代に合った目標をみんなで考えていきたい。

農産物や食品ロス防止もこれからの課題

自身の女性組織活動を振り返って

 結婚し就農。当時の農協婦人部では“若妻会”への会員拡大が本格的に行なわれていて、義理の母に勧められ入部した。女性部の先輩からは、これまで知らなかった伝統料理の作り方などを教わった。

 以後、食と農を中心とした活動に力を入れてきた。みんなで取り組める一番手っ取り早い活動は食事作りだと、地元食材を使った料理作りをはじめ、全中が主催する「JA健康寿命100歳弁当コンテスト」に挑戦。見事入賞し東京での授賞式にみんなで出席した。

 今、最も気になるのは、コロナ禍での食品や農産物のロス。営業休止や時短を余儀なくされた飲食店も大変だが、そこに向けて農産物を出荷できない生産者も大変な思いをしている。

 そのなかで、地域の人達と一緒に立ち上げたこども食堂では、生産者が思うように販売できなくなった農産物が、フードバンクを通じて提供され喜ばれている。農産物や食品のロスをどのように減らしていくか、今後、女性組織が考えていかなければならない課題だと思っている。

〝トモダチ作戦〟でコロナ乗切りステップアップ

コロナ禍を乗り越えるために

 地元は仙台空港のすぐ近くで、津波に根こそぎ持っていかれ仲間も2人失った。その時、米軍が〝トモダチ作戦〟を大々的に展開し、当時のバイデン副大統領も駆けつけてくれ、復興に全面的に協力してくれた。

 全国の女性組織の仲間は〝トモダチ〟。女性組織も仲間が困ったことになれば、みんなで助け合う、〝トモダチ作戦〟の精神でこのコロナ禍を乗り切り、ステップアップを目指していきたい。


〈本号の主な内容〉

■このひと JA女性組織の明日
 JA全国女性組織協議会
 会長 洞口 ひろみ さん

「輸出・国際」「農産」「畜産」の3局を新設等=農水省が組織再編
「省をあげて『みどりの食料システム戦略』の実現に全力で取組む」と農相

日本食農連携機構が新会社「㈱日本食農連携ビジネス」を設立

■農林中央金庫常務執行役員に就任した5氏
 (ALM・市場運用・資金為替・IR統括責任者)長野真樹さん
 (人事・総務・企画担当)北林太郎さん
 (事務部門長)内海智江さん
 (JA・JF事業担当、農業水産業向け金融・地域活性化担当)川田淳次さん
 (食農法人バンキング共同統括責任者)梅田泰弘さん

■JA全農2021年度事業のポイント「施設農住事業」
 JA全農施設農住部 根倉修 部長

■JA全農2021年度事業のポイント「総合エネルギー事業」
 JA全農総合エネルギー部 土屋敦 部長

■JA全農スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)対策セミナー

農協観光の2年度決算はコロナ禍の影響が甚大で51億円の損失

会長に中崎氏、副会長に上田・肱黒両氏、専務に富山氏=全森連

■全国農業会議所が通常総会

■JA共済連が栄養改善支援債への投資を決定

JA三井リースが日本包装リースと資本業務提携

〈蔦谷栄一の異見私見〉「エコ農業」によるみどり戦略取組で「国消国産」を

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