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農水省食品流通合理化検討会が中間とりまとめ

2020年5月1日

食品流通の合理化に向け、パレット化等で手荷役軽減等

 農水省は4月28日、「食品流通合理化検討会」の第1次中間取りまとめを公表した。

 食品流通(花き流通も含む)は、トラックによる運送が97%を占める中で、近年、トラックドライバーの人材不足がより深刻化しており、また手荷役作業や小ロット多頻度での輸送が多い等の事情で、取扱いを敬遠される事例が出てきている。このような背景から農水省は国交・経産両省と協力し、地方自治体(県知事、市町村長)、発荷主・物流業・着荷主の団体等で構成する「食品流通合理化検討会」を昨年11月に設置、物流に係る諸課題の中でも特に喫緊の対応が求められる食品流通について、サプライチェーン全体での一貫した合理化に向けた課題とその対応方策について検討を重ねてきた。今回、その検討結果をとりまとめたもの(第1次中間取りまとめ)。

 このうち、食品流通の合理化に向けた取組ついては、サプライチェーン全体での合理化に向け、ホワイト物流の推進の観点からも、各課題に対する具体的な対応方策を、関係者が一体となって取り組んでいく。具体的には、「小口ニーズへの対応」など8つの論点と課題、対応方策を示しており、令和元年度補正予算、2年度当初予算等の活用、新たな施策等への反映をしていく方針。各論点と対応方策の概要は以下のとおり。

▼パレット化等による手荷役軽減…「輸送資材(パレットや台車)の規格の統一」「管理回収体制の構築」「パレタイザー導入、選果施設の改修」「パレットに適合する段ボール・青果物の規格の検討」
▼集出荷拠点の集約等による効率化…「物流拠点の整備・活用」「集出荷場の集約」「共同輸配送の推進」
▼モーダルシフトによるトラック以外の輸送手段への分散…「出荷を平準化するための長期貯蔵技術の開発」「効率的な具体方策策定に向けた鉄道貨物輸送業界等と産地との意見交換の実施」
▼小口ニーズへの対応…「宅配便との連携」「ドローンの実用化の検討」「高速バス等による貨客混載の活用の拡大」
▼ICTの活用…「ICTを活用した商品・物流情報の共有」「運送依頼情報と車両の空きスペース情報のマッチングによる輸送効率化」
▼品質・付加価値・価格バランスの見直し…「貨客混載を活用した地域産品の高付加価値化・マーケティングの強化」「高速バスの上下便の組合せ等による販売チャンネル・エリアの拡大」
▼荷待ち時間の削減や附帯作業の適正化…「ホワイト物流推進運動等への参加事業者の拡大及び同運動を通じた待機時間料や附帯作業料の適正収受の浸透」「事前出荷情報の提供や予約受付システムの導入促進」
▼食品ロス削減…「需要予測の高度化や受発注リードタイムの調整」「売り切るための取組(値引き・ポイント付与等)やフードシェアリングの推進」「フードバンク活動との連携」「食品ロス削減に資する取組事例の共有」「消費者の欠品を許容する意識の醸成」「輸送中に毀損した商品の廃棄等の基準をまとめた報告書について、その内容を消費者、小売等に対して周知」

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