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規制改革会議農林WGで農産物検査を議論、農産物検査制度のJAS化求める意見も

2020年4月30日

 政府は21日、規制改革推進会議農林水産ワーキング・グループ(オンライン会議形式〔非公開〕)を開催した。今回は、漁獲証明制度の創設、農産物検査、規制改革ホットラインの処理方針について有識者・事業者・農林水産省からヒアリングを行った。

 内閣府によると、このうち農産物検査では、農業生産法人㈱ヤマザキライス、米穀事業全般を取扱う千田みずほ㈱から農産物検査に関する生産現場等からの意見書が提出されたほか、一般財団法人日本品質保証機構の天坊容子氏が「農産物検査規格の国際化の必要性についての提案」、正林国際特許商標事務所技術標準化事業部長の藤代尚武氏からの「農産物検査制度のJAS化の提案」が行われた。

 ヤマザキライスの山﨑能央代表取締役は要旨、「検査の廃止を望むのではなく、従来の検査による数字での1、2等級表示の廃止と、時代に合った検査の簡素化、そして選択制自主検査の導入を要請する」「但し、簡素化や選択制自主検査と品質表示をした場合は、消費者に不安を感じさせないよう、生産者はより一層の生産管理が必要となる。未検査という言葉は消費者に不安を抱かせるもので他の言い回しが必要」「3等、規格外の品質の悪いものは消費者を含め流通や実需の取引に大きく影響するため厳しく表示する必要がある」「選択制の自主品質表示をした場合は、検査を行わないので食品表示法に準じた、もしくはそれに近い表示が望ましい」等とする意見書を提出、方向性について、「概ね日本農業法人協会の提言書の内容のすべてにおいて基本的に同じものとなる」とした。

 千田みずほ㈱の千田法久代表取締役社長は検査合理化に向けての考察を行ったうえで「産地、品種銘柄、年産はトレサ法で確認可能であり、農産物検査による証明が無くても表示可能。さらに食品表示法に基づく一括表示時の『産地未検査』表記はあたかも未検査が悪い商品であるかのような誤解を与える。品質が同一であれば同様の扱いとすべき」「新品種の品種名を表示したい場合は、その品種の登録が都道府県毎に行われるため、生産地によって銘柄を謳えない場合がある。登録・未検査に拘わらず、実態として付与されている銘柄表示が出来るようにする。登録できるまで2年以上かかるのではビジネスに影響大」「現行の農産物検査制度は、商品の規格・基準が明確に定められ、その基準を満たしていることを公的(社会的)に保証することで、その商品の信頼性を高めてきた。一方、2者間又は特定の対象者との契約によって取引される商品に不必要な手間と経費が掛かる(検査費用は運賃や保管料を込むと150円から600円に達する場合がある)」「現在の流通に合わなくなった現行検査制度を見直し、機械検査ベース(相対基準含む)の正確でスピード感のある仕組みを構築すべき。価格は大きな競争力、3M(ムリ・ムダ・ムラ)を取り除き国際的にも勝てる仕組みを」との意見を述べた。

 天坊氏は国際的に通用するルール・メイキングの必要性、JAS規格活用の可能性について意見を述べ、国際的に通用する農産物検査規格の策定にあたり肝要な事項として、穀粒判別器はもちろん、タブレット導入などAI・IoTといった技術活用を前提とする、安全性規格を導入する際は、試験方法を含む規格の内容について科学的根拠に基づき、透明性を以て設定する、「力量のある試験・検査機関」(日本穀物検定協会など)による科学的で妥当性のある評価結果を活用することを前提に、中食・外食・流通・海外市場などのユーザーを取り込む、対象品目や利用目的など規格のターゲットを明確にする、消費者からの関心の高い「安全性」のニーズに対応する、等の方向性を提案した。

 藤代氏は農産物検査制度のJAS化の提案が行われ、平成29年改正によりJAS法は「民間事業者からの提案による規格化」、「登録試験所制度の導入」により農産物検査制度を代替可能になった、と提案の概要を説明、「JAS化により検査コストの削減をはじめ大きなメリットが期待される」などと述べた。農水省からは農産物規格・検査の見直しに向けた直近の対応等が報告された。

 これを受けて一部の委員からは、「制度自体が時代遅れだ」「消費者にアピールできる規格とするべきだ」「JAS化に移行することも考えてみてはどうか」との発言があった。佐久間総一郎座長(日本製鉄㈱顧問)は、「(農産物検査制度は)今回提出されたJAS化の意見も一例として抜本的に改革すべきだ」と総括し、改めて、農産物検査の抜本的改革を求めた。

参考:規制改革会議農林WGで農産物検査制度の見直し議論

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