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規制改革会議農林WGで農産物検査制度の見直し議論

2020年3月13日

委員からは「ゼロから見直していくべき」との意見も

 内閣府は10日、規制改革推進会議「農林水産ワーキング・グループ」(座長:佐久間総一郎日本製鉄㈱常任顧問)の第7回会合(非公開)を開き、農水省・消費者庁・財務省から農産物検査制度の見直し状況についてヒアリングを行った。1月31日の同WGにおける日本農業法人協会からの要請〔下記〕を踏まえてのもの。

日本農業法人協会が1月31日の規制改革推進会議農林水産WGで示した要請
① 農産物検査を受けない米についても、一定の条件(それぞれのシステムにとって必要最小限の条件)のもとに、
 ・経営所得安定対策(収入減少影響緩和交付金(ナラシ))の交付対象となるようにすること、
 ・水田活用の直接支払交付金(加工用米・飼料用米等)の交付対象となるようにすること、
 ・食品表示法に基づく表示(産地・品種・年産)ができるようにすること、
 ・特定名称の清酒(吟醸酒・純米酒・本醸造酒)と表示できるようにすること、
 ・備蓄米の政府買入の対象となるようにすること、
 ・商品先物取引の対象となるようにすること、
② 集荷業者・卸売業者を通して流通する米については、統一的な検査規格は必要と考えるが、検査規格について は極力簡素化し、農業者の負担・コストを拡大しないようにすること。農業者の負担・コストの増大につながる 検査規格の見直しは絶対に行わないこと、
③ 実需者等から一定の品質の要請があった場合に、農業者等が的確に対応できるよう、要請される品質ごとに、 それを測定するための統一的な方法を明確にすること
④ 以上との関連を踏まえて、農産物検査法の在り方を基本から見直すこと。特に、今後、流通の合理化の進展に 伴い、統一的な農産物検査の必要性も検査機関の登録の必要性も小さくなっていくことを十分踏まえること。

 会合には、佐久間座長、南雲岳彦座長代理ら委員、藤田毅・齋藤一志各氏ら専門委員のほか、未来投資会議の金丸恭文議員が参加した。

 農水省は、現行の農産物規格・検査の概要、現在開催されている農産物検査規格検討会等での農産物規格・検査の見直しに向けた検討状況を説明した。
 内閣府によると、委員からは▼検査というビジネスモデルが時代に合っていないのではないか、▼精米歩留に注目するということは昔は良かったかもしれないが農産物検査の見直しは、米の輸出産業を育てるため国際競争力を強化するためのものだ。農業競争力強化プログラム策定から3年ほど経過しているが見直しのペースが遅い。ビジネスモデルを見直すいい機会では、▼検査民営化だけでは見直しが不十分だ。検査制度を見直しても米トレサ法、食品表示法でカバーできる。抜本的に見直しする必要があるのではないか、▼コストが非常に重要。この制度は生産者、消費者のためになっていないのではないか、▼販路を世界に求め、輸出の可能性を追うような制度にしていくべきではないか。デジタル化も進んでいるのでこれも踏まえて抜本的な見直し、再デザインをゼロベースで考え直すべき、などの意見があったとされる。

 また、消費者庁に対する精米表示見直しの方向や国税庁に対する特定名称清酒の表示見直しの考え方などについての質疑応答もあった。

 佐久間座長が議論を統括し「食品表示法の精米の3点セット(産地・品種・産年)の表示要件からの農産物検査義務の削除、米以外の農産物と同様に現在も課せられている食品表示法による根拠資料の保存義務への代替、未検査米表示の義務化案の撤廃、ナラシ(収入減少影響緩和交付金)や水田活用の直接支払交付金の交付要件として義務付けられている要件からの(農産物検査の)削除、また、商品先物や清酒の特定名称表示も検討が要請されている。それに加えて農産物検査に基づく規格見直しについて改訂のサイクルが遅い、市場のニーズが十分反映されていない、輸出志向ではない、との問題点が指摘された。大塚拓内閣府副大臣はじめ農産物検査法に対して、抜本的にゼロから見直していくべきではないかという厳しい意見が出されたところであるので次回以降、農産物検査制度の抜本的な見直しについて議論を進めていきたい」と述べた。

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