日本農業の振興と農業経営の安定、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2020年4月15日号

2020年4月15日

JA全中中家徹会長・農林中金総合研究所皆川芳嗣理事長対談対談

新たな「食料・農業・農村基本計画」の実践へ

~食料・農業・農村の将来方向とJAグループの役割~

JA全中 会長
(食料・農業・農村政策審議会委員・企画部会委員)
中家徹 氏

農林中金総合研究所 理事長
(元・農林水産事務次官)
皆川芳嗣 氏

 3月末、令和2年度から5年間の新たな「食料・農業・農村基本計画」が決定された。副題は「我が国の食と活力ある農業・農村を次の世代につなぐために」。新たな「基本計画」の評価と今後の具体的実践に向けたポイントを、食料・農業・農村政策審議会委員・企画部会委員も務めたJA全中中家会長と、前基本計画策定に農林水産事務次官として携わった農林中金総合研究所皆川理事長に話し合ってもらった。


新型コロナウイルス感染拡大の脅威に対して

新型コロナウイルスの感染拡大がとまらないなか、新たな基本計画が策定されました。

 中家 新型コロナウイルスの感染拡大で、全国の学校が一斉に休校となり、学校給食が止まり、それによって牛乳をはじめ提供していた農畜産物の行き場がなくなってしまいました。また、インバウンドをはじめとした観光客に人気のあった高級な牛肉や果物の需要がほとんど停滞しています。さらに、貴重な農業労働力を担っていた海外からの研修生たちも、帰国して返ってこられないなど、農業分野においても幅広い影響を及ぼしています。終息にむかう先行きが見通せないことも現場の不安を募らせています。
 JAグループとしても、懸命に国産農畜産物の消費拡大運動を展開していますが、国からの多岐にわたる支援もお願いしているところです。

 皆川 今回の基本計画とりまとめの最終局面で、このような事態となり、「計画」自体にもコロナウイルス感染拡大の影響の懸念が書き込まれました。
 日本全体のバリューチェーンが世界中と繋がっていることを前提に、食料供給の新しいリスクを考え備えなければならない時代に入ったと思います。日本としてももう少し国としての強さを発揮し、農林水産関係も含めて国内の循環を大事にしていかなければならない局面にあると思います。安易に外国に依存しているのではなく、労働力も含めて国内で活用できる資源を国内生産の維持に使っていく必要があります。
 世界経済のなかで生きていくためには、外国からの輸入も大事ですが、例えば加工業務用野菜など、国産で対応できるところをもっと伸ばしていく必要があります。それが、こうした時代の食料安全保障も含めた考え方ではないか、という方向が今回の基本計画全体に縷々盛り込まれているのではないかと思います。

 中家 「基本計画」には、東日本大震災からの復旧・復興、大規模自然災害への対応が盛り込まれていますが、今まさに新型コロナウイルスは大変な事態です。これらの危機の問題は、ある意味私たちに大変な教訓も与えています。あらゆる物が不足する。今不足しているマスクは8割が外国産だそうです。これが食料だったらどうなるのでしょう。
 これだけ、グローバル化が進んでいるなかで、こうした不測の事態が起きた時に、改めて自給力をつけていくことの重要性を痛感しています。

新「基本計画」の全体評価

中家会長、企画部会委員として新「基本計画」策定の経過と評価を。

 中家 よく産業政策と地域政策は車の両輪と言われますが、これまでどちらかといえば産業政策の方に重きがあったように思われます。
 私は、単に規模拡大だけでなく、家族経営や中小規模の経営なども含め、もっと多様な視点での農村のあり方を考えていく必要がある、と言い続けてきました。「基本計画」では、中小規模経営も家族経営も地域社会維持の面で重要な役割があることを踏まえ、地域政策と産業政策の両面から支援していく旨が明記されました。
 国民の皆さんに農業・食料の大切さを訴え、国民の皆さんが農業・農村を守りたいとの意識を持ってもらうことが大事だとも言い続けてきました。それが、今回の計画では、「食と農に関する国民運動の展開策を通じた国民合意形成に関する施策」として項だてされたことは、大きな成果として受け止めています。
 全体として、農村政策についても具体的な振興の取り組みを図っていこうという思いが込められていて評価できる計画になったと思います。

理事長、制定から20年たった「基本法」の精神を踏まえての評価は?

 皆川 昨年9月に諮問され3月にまとめるという審議の時間は、短かったのではないかという見方をされる人もいます。
 しかし、昨年3月くらいから地域でのディスカッションを展開し、地域の状況や意見等を多方面から聞く時間を丁寧に設けてきたので、企画部会での審議が走り出してからは、かなり濃密は議論ができたのではないでしょうか。
 今回の「基本計画」は、農業の構造政策や担い手等にかなり焦点が当たっていると感じます。審議過程で全国町村会からの政策提言はこのような指摘をしています。「食料・農業・農村基本法は、農村をまるごと捉え農業の多面的機能も方向づけている非常に画期的な法律である。しかし、その法律に基づいた政策の基本方針である基本計画の中で、農村政策はややもすると取って付けたような存在なのではないか。農業の産業政策とのつながりの部分も少し弱かったのではないか」と。
 そこのところは、今回「地域政策の総合化」を掲げ、他省庁の政策も動員し、農村をキチンと位置付けることが、全国民にとっても意義のあることだと明示されています。
 かなりの部分で基本法の原点に立ち戻って、今回の議論がなされたのではないでしょうか。
 結果としてよいものになったと思います。これから国民的合意のもとで、農業・農村振興政策を実行していくスタート台に立てた、という気がしています。

食料安全保障をめぐって

食料安全保障の重要性は「基本計画」にどのように反映されたのでしょうか。

 中家 会長就任以来、食料自給率、農地・担い手の不足、異常気象・自然災害、世界の人口増加による水・エネルギー需要の増加、そして貿易自由化など日本の食料安全保障問題の重要性を訴えてきました。議論の中で食料安全保障の視点は、委員のみなさんに定着しており、幅広い議論ができ、基本計画にもしっかりと位置付けられたと思います。特に、この2~3年貿易の自由化が一気に進むなか、輸出も含めて国内農業の生産基盤の強化を図ることが、食料安全保障にもつながる方向性が示されています。

 皆川 食料自給率目標は、基本法策定段階でも国会で議論され、「その向上を旨として」と書き込まれました。食料安全保障は基本法のなかでも非常に重い位置付けです。では、どのような手法で取り組んでいくのか。過去の基本計画策定でもいろいろ工夫を凝らしてきましたが、「向上をめざして」がなかなか果たされていない。かつこの数年は国際化が非常に進展した。その中で、今回は国民にもう少し実態をわかりやすくした自給率目標を示さなければならないという観点を重視したのではないかと思います。
 これまで全部カロリーベースで“飲み込み”になっているから畜産業の実態が見えにくい。飼料が確保されないと生産は伸びないから、かえって総合自給率が下がるかもしれないと。そこをもっとわかりやすく示したのではないでしょうか。国民的合意をした自給率向上は、いかにすれば伸ばせるのかを考えた結果が、今回の国内生産に着目した「食料国産率」目標の設定だったと思います。
 基本はあくまでも総合自給率であるとした上で、国民にわかりやすく理解を求めていくために設定したように思います。

担い手の確保・育成

食料安全保障の確立には担い手の確保・育成もポイントになりますが。

 中家 農業の生産基盤は人と農地。自給率を伸ばすためにはどれだけの人と農地が必要なのかという目標もあってしかるべきだと思います。
 人も農地も減少しているなかでこの整合性をどうとっていくか。農地の減少要因は荒廃と転用の二つ。条件のよい優良農地ほど転用されていく現状に歯止めをかけなければなりません。一方、荒廃が進む中山間の条件不利地域は、守るだけでなく他に新たな農地を造成し直す方途もあると思います。
 担い手は、大規模専業はもちろんのこと、定年帰農であれ兼業であれ、大小さまざまな人達を担い手と位置付け、全ての人が少しの面積でも農地を守って生産するような多様な担い手に視点を当てていくべきです。
 農地の8割を大規模専業の担い手に集約するという考え方を全国一律に展開するのは無理があります。あくまでも地域実態にあった形で、例えば3割しか大規模な担い手がいない地域でも、中小の農家が他の農地を守る形があっていい。それが農村のコミュニティを守る一番の形、農業振興の姿であるという思いがあります。

 皆川 少数の担い手だけで全てがことたりるという考え方は、違うと思います。地域のいろいろな人達の関わりのなかで、支えられながらその人たちが頑張れることが大事です。
 今回の基本計画の中に、中山間地域や規模の大小にかかわらず関係する人たちを糾合しながら展開していく方向性が入ったのは、まさしく会長の主張が受け止められたのではないかと思います。
 担い手政策をすすめていったときの農村の姿はどうなるのかを、連携して考えていかなければ完結しません。そこのところが、担い手だけをみているとややもすると見えなくなっている面があると思います。
 今回「地域政策の総合化」という観点が入りました。例えばJAの生産部会など、小規模生産者でも産地の概念を大事にし、部会全体ではかなりの出荷量を持っているところが、産地として持続可能な姿になっているケースもあります。そうした産地も含めていかに維持していくかが、今回の基本計画では新たな課題として取り上げられており、そこに政策の光を当てていこうとする姿勢が出ているように思えます。これを具体的政策にどのように反映させていくかが大事です。

輸出と農業のあり方

基本計画では、2030年までに5兆円の農林水産物・食品の輸出目標を掲げましたが。

 中家 これから日本が人口減少社会に入るとトータルの食料需要量は必然的に減ります。それだけに海外に打って出ることは重要です。ただ一方で、国内にもまだまだ潜在的な需要があります。
 和食はユネスコの世界無形文化遺産になり、世界中に和食の店が増えていますが、国内では和食文化が廃れつつあります。輸出ばかりに目が向いて、自分の足元がどんどん輸入物に席巻されつつある、というのはいかがなものでしょうか。
 輸出に取り組む一方で、国内需要も拡大していく。そのために官民一体で国産農畜産物の消費拡大運動を展開し、国民の皆さまに農業・農村を守りたいという意識になってもらうことが非常に大事です。
 国産消費への意識が変われば、農業・農村への認識も変わる。1割でも2割でも意識が変われば国内の需要は非常に高まると思います。

 皆川 非常に高い目標を掲げたと思います。農業とともに生きてきた日本の食品産業も将来の需要減退に苦しむことになります。世界のマーケットで頑張らなければ、それぞれの経済規模が縮小してしまいます。その意味では輸出拡大は意義のある取り組みですが、それ以上に食品産業と農業が手を携えていくことが大事です。加工品等の中身に国産の原料が増えていくように、食品産業の頑張りも必要です。5兆円のかなりの部分が加工品でもいい、そこで農業と手をつないでほしい。国内の農林水産業と日本の食品産業が手をつないで頑張る目標として見れば、5兆円もそれなりの妥当性があるのではないでしょうか。

JAグループの役割と期待

JAグループの自己改革の進捗状況と課題は?

 中家 昨年5月、5年間の政府の農協改革集中推進期間が終わりましたが、この間の取り組みは一定の評価ができると思っています。JAグループの創造的自己改革は、全国のJAや中央会、連合会が自らに応じた改革に懸命に取り組み、成果が出ています。しかし、この取組みには終わりがあるわけではないので、引き続き全力で自己改革を実践中です。
 改革に向けては組合員の理解が第一です。そのために組合員と徹底的に対話をする。例えば、店舗の統廃合や手数料率など組合員と密接に関わる改革は、組合員の理解がなければできません。改めて、組合員との対話を基本に自己改革をすすめていきます。

 皆川 今回の基本計画のなかでも、JAグループのこれまでの改革のプロセスが書かれ、今後も頑張って欲しいと言及しています。農村政策では、例えば、地域の小さな拠点の整備など生産基盤づくりが必要で、JAグループはそこに参画してもらえる組織だと、地域政策全体を考えたなかでも、市町村+JAの存在を挙げています。
 改革だけではなく、日本の農山漁村地域の持続可能性を高め保持していこうとするときの、JAグループに対する期待は大きいことを受け止め、頑張っていただきたい。
 農村政策のなかには、農福連携や農泊も書き込まれ、特に農福連携は農業政策のなかにも書かれています。地域のJAが農福連携に関与することで、農業生産の側面と農村の持続可能性を高めていく両面での役割を果たせると思います。

 中家 地方創生の1丁目1番地は農村振興であり、地域の活性化はJAとしても大きな目標です。JAの現場でもライフラインを守る取り組みが展開されています。しかし、いまJAは経営が非常に厳しい環境に晒されています。JAとて経営体であり組織の経営が維持できなければ、持続可能にならない。地域に根ざした協同組合として地域の活性化はJAの大きな使命の一つでもありますが、地域の実態に即した方法で取り組んでいくことが必要です。
 JAの経営基盤確立に向けて

そのためにJAの経営基盤確立に向けた取り組みを進めていますが?

 中家 組織協議を経てこの4月の全中理事会で、JAの経営基盤確立に向けた基本方向をとりまとめました。現状のようなマイナス金利が続く中で、金融事業のあり方が大きく変わり、JAにおいても従来のような金融や共済の収益で経済事業をカバーする経営方法が成り立たなくなってきました。そこでいかにビジネスモデルを変えていくか、一つの大きな方向を示しました。すでに取り組んでいるJAも多くありますが、これを参考にJAの現場に自らの実態に合わせて取り組んでもらいたいと思っています。

 皆川 全体の経営は厳しい状況だと思います。かといって個々のJAが縮こまっていてはいけないと思います。
 JAグループのみなさんは、自らのこととして自己改革に取り組んできたと思います。そこには、旧来の発想の中でただ合理化だけを追求するのではなく、新しいことを新しい人達との連携を図りながら取り組んでいる改革がうまくいっているような気がします。
 農商工連携や農福連携、医療との連携等々、様々な連携がこれまでとは違った新しいビジネスモデルを展開しています。例えば、農福連携を社会貢献のためだけではなく、地域の農業振興に結び付けていく。集出荷場での調整作業や小規模農家の収穫作業の補助などに、JAがビジネスとして地域の介護施設と連携し労働力を斡旋する等々、連携することで今まで考えていなかったことに、ビジネスが広がっていくチャンスもあると思う。
 持続可能性を高めるという面でも、今までと違った人たちとの連携を結んでいけば、自己改革をやり遂げる意味でも価値があるのではないでしょうか。

 中家 JA単体での自己改革には限界があるものもあります。例えば、県段階や全国段階で集出荷場などの施設を設置し、周辺JAで共有する形をつくるなど、JA域を超えた効率化・合理化も必要です。
 JAグループトータルとして効率化を図っていくことが改革の途だと思います。

日本農業の将来像

これからの日本農業の姿は?

 皆川 まず、日本の食から考えてみたらどうでしょうか。日本人は、日本の食が世界的に評価されていることを誇りと思わずに、先ほど会長も言われた通り日本食文化が廃れ、どんどん簡便かつシンプルな方へ流れ、モノカルチャー的な食になってきています。
 家庭食・外食も含め、多様な食材を新鮮なときに食べられる。しかも栄養バランスもいい。割烹などで食べるだけが和食ではなく、幅広い概念が和食にはあります。そうした日本の食にもう一度注目した方がよいのではないでしょうか。それを支える農業生産は、まさしく旬のものを提供する生産体制です。食のよさをキチンと押さえた上で、それを維持・発展させていくというところから、逆に発想していくと日本の食、農業の未来が見えてくるのではないでしょうか。
 理想的な食の形をもっと追求し高めていきながら、今忘れているものをもう一度復活していくことから始めていけば、農業とのリンクの仕方は多様にあると思います。和食の原点をもう一度見直して、そこからそれを支える農業生産、食料生産にバックキャスティングする形になると、相当部分が国のなかで供給されないと、食は維持できないはずです。

 中家 農業と農村はセットで考えなければならないという思いがあります。今日の日本の農業は非常に多様化しています。規模の大小もあるし、中山間も平場もある。作物別にも全く異なる。
 多様な農業があってしかるべきだし、それが農村を形成しています。農業生産だけを考えれば、大規模集約化の方向の追求は必要ですが、農村の維持や伝統文化等の継承も非常に重要です。今はそれすらできないところや村自体がなくなろうとしているところもあります。日本の国はこれでいいのでしょうか。
 今回の基本計画の審議では、農村のこれからを考えてくれと訴えてきました。「農村をどうするかは農業者だけの議論ではダメ。農水省が司令塔となって省庁横断のプロジェクトをつくるべき」とも。
 農業が生業として成り立ち暮らすことができる、医療も教育も含めた定住条件をセットにして農村を位置付け、振興のための施策を展開する。将来の農業は多様な人々が多様な形で農村に生活する絵姿を描くべきです。
 農業の労働力不足が続くなか、「基本計画」にもあるように、スマート農業などにも早く取り組まなければなりませんが、コストも含めて現場でどのように活用するのか、採算ベースに合った活用が課題です。

 皆川 この基本計画の実践は、農水省だけではうまくいかない。最前線の行政である市町村の現場が大事です。計画では、その市町村の体制が脆弱になってきていることにも触れています。市町村の農業担当者が生産現場やJAの現場に出向く機会も疎外されているのが現実で、そこに農業振興や農地利用のプロジェクトをつくって取り組んでいこうとしていることは、行政そのもののあり方も変えていこうとする方向性が盛り込まれていると期待しています。
 「農業DXを実現するためには、農業政策や行政の手続きなどの事務についてもデジタルトランスフォーメーションが必要」とあります。行政の事務等を簡便化することによって本当に取り組まなければいけないことに集中する、農業DXは市町村の現場にも必要だということが書かれていて、「これは良い!」と思わず膝を叩きました。

新「基本計画」の実践に向けて

新たな基本計画の実践に向けて必要なことは?

 中家 企画部会が始まる前に、前回の基本計画に目を通したら、5年前の課題と今の課題がほとんど変わっていないところが多く、どれだけ実践できどれだけ成果があったのか、疑問に思いました。
 どんなに良い計画をつくっても実践して成果を出さなかったなら、何もならない。計画をつくることが目的ではありません。
 おっしゃるように、市町村の体質は弱くなっています。しかし、計画は現場にあった形で実践されていかなければなりません。長期的な農業振興計画等をつくるのは市町村です。JAとともに長期ビジョンをつくり、それに基づいてアクションプログラムやタイムスケジュールをつくり現場と認識共有していくことが大事です。
 その前提として国民の皆さまからの理解が必要です。農業は“過保護”という声も未だに聞こえますが、国民にとって大事な農業・農村には予算を使う必要があるのだという世論を形成していかなければなりません。食の問題や多面的機能もセットして、JAグループが一丸となって、農業の現場からの情報を発信し続けていきます。

 皆川 食料・農業・農村基本法を平成11年に作ったときの熱い思い、原点に立ち返る必要があります。この法律は、農業は国民的理解のもとで営まれるという考え方が貫かれています。
 昭和36年の農業基本法は、まさに農業の「業」の範囲での法律でした。そうではなく、食料という形で国民に提供する大事な産業が農業であることを認識してもらい、農村と共に守る。だから「食料」と「農村」にはさまれる形で「農業」を入れた。それが「食料・農業・農村基本法」の眼目なのです。
 基本法という根本の政策に基づいた「計画」ですが、毎年どこまでできているかを検証していくプロセスを踏んでいたかどうかは、反省しなければならないと思います。丁寧にPDCAサイクルを回していかなければなりません。一番の基本を常に反芻するプロセスを意識していくか否かに、今回の基本計画の実現がかかってくるのではないでしょうか。

 中家 せっかくよい計画ができたのですから、一日も早く実践に取り組むことが必要です。企画部会で議論してここまで叩き上げてきたのですから、毎年企画部会に進捗状況を報告してもらいチェックしていく必要があります。

 皆川 コロナウイルスの感染拡大は、我々に大きな警鐘を鳴らしていることを踏まえつつ、世界との連携に際しても足元をしっかり構築しておかなければなりません。この災難を一刻も早く乗り切って、基本計画に込められた政策を着実に打っていただきたい。


〈本号の主な内容〉

■特集 新たな「食料・農業・農村基本計画」の実践へ
   ~食料・農業・農村の将来方向とJAグループの役割~

〇対談
 ・JA全中 会長 中家徹 氏
 ・農林中金総合研究所 理事長 皆川芳嗣 氏

〇新たな「食料・農業・農村基本計画」の概要

〇新たな基本計画をどう見る
 福島大学 食農学類長 教授
 生源寺眞一 氏に聞く

■JA全農 業務用米の契約栽培・多収米の取り組み

■トップインタビュー 全農エネルギー創立40周年を迎えて
 全農エネルギー(株) 代表取締役社長
 中島欣二 氏

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