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農林中金とNZAMがESGテーマ型J―REIT運用商品を開発・投資

2020年1月8日

 農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は、グループ会社である農林中金全共連アセットマネジメント㈱(=NZAM、吉田一生代表取締役社長)とともに、国内初となる、銘柄選定プロセスにGRESB(*1)リアルエステイトを活用したJ―REIT(*2)に特化した運用商品を共同で開発、農林中金から100億円の投資を行った。8日発表した。 

 J―REIT市場と国内不動産市場の成長に伴い、近年、ESGに対する取組みの重要性が高まっている。こうしたことを背景に、農林中金とNZAMは、不動産投資における主要なESG指標であるGRESBを活用し、グローバル基準で高い評価を得たJ―REITを選別、独自の分析モデルも加味して投資を行うことで、ESGと投資収益の両立を目指す手法を共同で開発した。 

 両者では同商品について、「環境や健康、快適性に配慮したESGに積極的に取り組むJ―REITを高く評価するのみならず、グリーンビルディングの普及拡大に貢献し、ひいては温室効果ガスの排出削減を通じた気候変動対策に貢献するもの」と説明、また、この投資が「ESGの観点とあわせ、国際分散投資を通じた安定的な収益の確保にも資すると考えている」とコメントしている。今後は、市況に応じて、同投資の積増しも検討する方針で、NZAMを通じて、機関投資家や個人投資家への浸透も図っていくとしている。

 農林中金グループは、農林水産業や地域社会、事業活動が持続可能なものとなるよう、投融資などの事業活動を通じて環境・社会課題の解決に貢献し、SDGsの実現をはじめとするサステナブル経営を推進していく、としている。

*1《GRESB(グレスビー)》旧名はGlobal Real Estate Sustainability Benchmark。不動産セクターの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る、世界基準の年次のベンチマーク評価。欧州の主要年金基金を中心に2009年に創設され、現在では欧米を中心にグローバルに機関投資家が参画。日本ではNZAMが3社目の投資家メンバーとして加盟している。
*2《J-REIT(ジェイ・リート)》Japan-Real Estate Investment Trustの略。投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品。一般の株式と同様に売買可能な金融商品で「不動産投資信託」とよばれている。

【農林中金全共連アセットマネジメント】1985年10月に農林中央金庫全国共済農業協同組合連合会JA共済連)等の機関投資家によって設立された資産運用のプロ集団。2019年9月末預り資産残高5・9兆円。今年度、ESG評価を取り入れた独自の日本株のスマートベータ投資モデルを農林中金と共同で開発するなど、ESG評価を運用プロセスに反映することに取り組んでいる。

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