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日本農民新聞 2022年2月25日号

2022年2月25日

第68回JA全国青年大会 記念座談会

持続可能な農業へ “気づき”“学び”“動く”
次世代農業の担い手のあり方と その支援に向けて

JA全国青年組織協議会 会長
柿嶌洋一 氏

JA全農 代表理事専務
桑田義文 氏

日本農業経営大学校 校長
堀口健治 氏

 

 第68回JA全国青年大会が22日、東京・大手町のアグベンチャーラボから全国をWebで結んで開催された。JA全国青年組織協議会(JA全青協)の柿嶌洋一会長と、日本農業経営大学校の堀口健治校長、JA全農の桑田義文専務の3人にお集まりいただき座談会を開催、持続可能な農業へ、新たな技術や経営のあり方、JA青年部活動のあり方等をめぐって話し合っていただいた。


 

本社 まず、皆さまそれぞれの自己紹介から。

柿嶌 長野県上田市の中山間地域で酒米を中心に水稲16haを経営しています。
 米の需要が減少していることから酒米に転向したのですが、最近は酒米の需要も低迷しておりWショックを受けています。
 ほか大豆10ha、そば9haの土地利用型農業を経営しています。
 4代続いた専業農家の長男で、父は花きを中心とした施設園芸を2・5ha経営。部門を分けて売上の競争をしていますが、雇用の従業員は繁閑に応じてシェアし合う家族経営です。

堀口 早稲田大学を定年退職した後、初代校長の岸康彦さんから誘われ、日本農業経営大学校の校長を務めて8年になります。
 農業の経営者を目指す若者の教育は初めてでしたが、やっとそのコツがわかり始めたような気がします。
 私自身は、早大・政経を卒業後、東京大学大学院農学系研究科農業経済学課程から鹿児島大専任講師、東京農大教授を経て早大教授を務めました。
 長年、山形の高畠町と寒河江市で農業塾の塾長を務め、農業者と都会の学生たちを結び付ける活動をしてきました。

桑田 昭和58年に早大を卒業し全農に入会。福岡支所が初任地で飼料を担当して以降、全国の支所や地域別飼料会社での勤務を通じて、一貫して飼料畜産関係の仕事をしてきました。
 家畜市場駐在時には長靴を履いて牛を引く生活で、主に肥育牛農家の生産指導に携わりました。
 役員になってからは、北海道・東北・九州・沖縄の地区担当常務や畜産事業担当常務を務め、現在、専務として販売と輸出対策を所管しています。
 現場は遠くなりましたが、心には〝白い長靴〟を履き続けていたいと思っています。

 

コロナ禍の活動と学び

本社 柿嶌会長、コロナ禍でJA全青協はどのように活動を展開されてきましたか。

柿嶌 JA全青協は昭和29年の設立以来、長い歴史のなかでJA運動と連動した農政運動を展開してきました。しかし近年、人口の減少や農業者の減少とともに盟友数も減少し、現在全国で5.2万人の組織となっています。
 農業人口が減り担い手確保が深刻な問題となって生産基盤が揺らいできている中で、コロナはこれに追い打ちをかけています。全青協の活動も、コロナの影響を受け、食育等の課外指導や農作物の対面販売などの対外活動が出来なくなりました。そこで、この機を捉えて昨年度から学習活動に力を入れています。
 令和2年度は、我々のこれまでの活動の歴史を深掘りし学んだ1年でした。組織のこと、全中や全農、各連合会のこと、経済のこと、農政のことなど懸命に学び、その〝学び〟から多くの〝気づき〟を得ることができました。
 令和3年度は、コロナがあけたらこれらの気づきをすぐに活動に移せるように準備してきました。学んだことを〝カタチ〟にする。全国の盟友が学習し目線を揃えて、それぞれの地域に応じたカタチをつくっていけばと思います。
 我々の計画とJAグループの計画が足並みを揃えて地域ごとに新たな魅力的な産地を形成していけば、絶対に強い農業がそれぞれの産地でできる。そうした考え方で令和3年度の活動を展開しています。
 そのツールが「ポリシーブック2021」です。令和2年度の学習の血と汗と涙の結晶を見えるようにし、地域の課題や意見を集約し基本的な考え方を整理したものです。これを活用し、農業の現状と課題に対し、我々自身が取組むべきこと、JAグループと協力して取組むべきこと、国をはじめとした行政の支援を仰ぐべきことを整理しながら、地域で行動を起こすことを目的に活動しています。

本社 桑田専務、全農と全青協のこれまでの関わりは?

桑田  一番カタチになっているという意味では、「生産資材事業研究会」の取組みがあるでしょう。全青協や農業法人協会、4Hクラブの代表者に生産現場からみた農業生産資材のあり方を提案してもらい、価格や機能などで現場ニーズを反映したトラクターの開発を、大型から中型へと進めています。
 全農は組織が大きくて、優れた取組みも実用レベル段階になってくると事業として行き届かない面が出てきたりすることがあります。その意味では、全青協はじめ生産現場のみなさんに〝血液〟を注入していただき初めて優れた事業として仕上がることが、この生産資材事業研究会で証明されたと思います。

本社 堀口校長、大学校での〝学び〟の工夫は?

堀口 前述のように、農業の経営者をめざす若者の教育は初めてでした。例えば大学で農地法を教えるときは、農地改革に始まり取引に係る規制などへと展開していきますが、経営大学校の場合は最初から、農地を買ったり借りたりする場合の様々なノウハウや手続き、それに係る法律などの世界をまず教えていかなければなりません。そういう実践的な教え方をする必要があります。
 非農家出身者が農地を確保したい場合、都会のように不動産屋で手当てできるのではなく、様々な組織や伝手を辿って自分で探さなければならないことを理解してもらいます。その背景には農地法や基盤強化法、中間管理機構等の法律があることを知らなければならない。いかにしたら農地が手元に入るかをはじめ、その背景を含めた現場の世界を学生と一緒に考える。そうした実践的な学びの場となるよう心掛けています。

本社 コロナ禍でWeb等の活用も加速したと思いますが。

柿嶌 Webでの会議は即座に顔を合わせることができ、実際に会った時でも初めましての感じがしない。これまでは会って話をしてやっと心が通じ合えると思っていましたが、ある程度お互いを理解した状態から議論が始められ、内容を詰めることが出来るのは大きなメリットです。
 デメリットは、情熱がなかなか伝わらないこと。機械的に進めることは出来ても、人間が仕事をしていく上で大切な情熱が伝わりにくい。同じ釜の飯を食って酒を飲んで絆が深まっていく、いくら〝オンライン飲み会〟をしても補えませんね(笑)。

桑田 Web活用はコロナ禍で劇的に進みましたが、先日、生協組合員さんが、産地との交流会が全くできなくなるなど、非常にコミュニケーションがとりづらくなったと話していました。反面、小さな子どもがいてもともと産地にはいけないお母さんがWebを通じて産地に行った気分になれる等、従来活動に参加できなかった人も気軽に参加できるようになった側面もあったようです。
 コロナが収まったとしても、会議や交流会等の持ち方が完全にコロナ前に戻るとは思われません。その時に、対面とWebを使い分けて上手く活用していく、〝ハイブリット方式〟が成功のカギを握るのではないかと思います。

堀口 2020年度は1か月遅れで全ての授業をオンライン化しました。パワーポイントなどを準備し結構大変でした。
 オンラインが非常に役に立つのは、全国の先進的な農業者の経営を数多く学べることです。東京にいながらにして生産物や現場を見ることができます。香港の輸入業者とオンラインでつなぎ、日本産の販売状況やニーズ、輸出に対する意見などを聞くこともあり、今後もいろいろな活用の仕方が考えられると思います。
 しかし、農業は一人ではできません。JA青年部や消防団、水利組合等、地域全体のなかに自分の経営が位置付けられていることを勉強するのには、やはり対面式の方が互いの顔の雰囲気が分かるし意見の違いもよくわかる。オンラインの講義では工夫が必要ですね。
 柿嶌 我々は〝学び〟のなかで全青協内に6つの部会を立ち上げ、農業や農政課題を深掘りしています。例えば農水省とオンラインで結び、「みどりの食料システム戦略」などを担当者から説明いただいたりしています。オンラインで、より多くの盟友に多方面からの学習の機会を提供することができています。

 

農業の多様性と多様な担い手

本社 それでは桑田専務、農業とその担い手の見通しについて。

桑田 わが国の人口は20年後、0~14歳が300万人減り15~64歳が1400万人減る、65歳以上が300万人増加するというデータが出ています。全ての統計のなかでも狂いがないと言われている人口統計の冷酷無比な数字が目の前に突きつけられています。
 農業に目を向けると、2020年の基幹的農業従事者は130万人。これが2030年には57万人と半分以下になると推測されています。この数字はもう一体誰が農業をやるのかという問題を我々に突きつけています。コロナ禍で外国人労働者が手当てできなくなり問題になっています。一方で国内では失業者と統計には表れない廃業者や就職をあきらめてしまった人たちが急増しています。これは明らかに矛盾です。
 農作業の人手が足りなければ、まず作業そのものを楽にする機械化や自動化、ロボットやスマート農業の方向に舵を切って生産性の向上を図る必要がありますが、現状、ロボット化やスマート農業の確立を待っていられないほどに、人手不足の解消が喫緊の課題となっています。そこでもう一つの方法として、国内にあふれている就職可能な人達をいかに農業現場に引き込んでマッチングさせるかを考えなければなりません。

本社 堀口校長、農業参入への最近の潮流は。

堀口 当校の卒業生は親元就農が多く、残りが非農家出身の新規就農と雇用就農でその後の新規独立や法人経営幹部をめざしています。このなかで、圧倒的に多い親元就農者は日本農業の担い手としての位置づけが十分でないと感じています。例えば、親元就農者への農業次世代人材投資資金は部門申請でしか受けつけられないなど、その位置づけが明確ではありません。親元就農でも共同経営者や経営者の卵の位置づけになるのではないかと、学生には経営全体を家族みんなで持つ家族協定を結ぶことを奨めています。青年部の皆さんは経営者の卵、いやすでに共同経営者ですよ。農協の組合員にもなれるし、そういう観点で活動してほしい。
 ぜひ、農業次世代人材投資資金も親元就農向けの仕組みを充実すべきで、そのことが親元に戻るかどうか迷っている若者の背中を押すことになると思いますし、若手の新規就農者を増やす一番いい政策になるのではないでしょうか。

柿嶌 新規就農といっても、ある程度勉強してきた人もいれば全く農業が分からない人もいる。定年退職者もいて若者だけでもない。本当に多様化しています。そうした多様化する人々と国の仕組みや産地の受入体制のマッチングが重要です。「人・農地プラン」では、多種多様な農業への考え方をもって参入してくる人たち、なかにはなんとなく農業に興味があるという人まで中心経営体に位置付けたりしている。その方を担い手として認定し、人材投資資金を投入し土地を集約するなど重い責任を与えることに非常に心配を感じています。
 法律が後押ししてくれるからと急に飛び込んでも、経営は本当に厳しい世界です。地域の受入体制を一層強化していかないと、農業なんかやらなければよかったという人が増えてしまうのではないでしょうか。そこにJA組織は重要な役割を果たしてほしいと思います。

堀口 いろいろなタイプの就農や関係人口が増えてくることはいいことですが、それを受け入れる仕組みができないと「半農半X」と言われても無理があります。今、稲作の兼業農家が極端に減っています。10~20年前なら勤めを持ちながらの土日農業者が多かったのですが、今は各農家専業一人で何とかやっている状態です。そうしたところに半農半Xで参入するにしても、受入側の体制がなければマッチングも出来ない。
 私は、これからの日本農業の核となるのは2世代の家族経営だと思っています。複数世代の方が分業も出来るし仕事も繋がる。そこを基盤に不足部分をマッチングして補っていく。
 新規就農者の大半が親元就農ですがなかなか増えないですね。また規模が大きくなると後継者だけでは十分な対応ができない。そこへ外国人労働者が計画的導入されることで経営計画が立てられる。アプリを使った一日農業バイトも始まっています。若者が後を継いでもいいと思えるような労働力支援が大事になっています。
 数として一番多い家族経営の部分をしっかりと確立した上で、それを補填していく新規農業参入のあり方を考えるべきだと思います。

柿嶌 事業承継は、実際には軋轢がおき父親と喧嘩して農業をやめるパターンもあります。全農も「事業承継ブック」を作成し、確かな道筋のもと徐々に経営を承継していく方向を提案してくれていますが、現実は難しい人もいます。

桑田 家族経営の延長線上に法人経営という選択もあります。たぶん他人と組んだ経営よりも家族内経営は軋轢が多いのではないでしょうか。親子間の経営協定もそうですが、部門を分けたり法人を分けたりして、家族という〝ウエット〟な関係を経営の中に持ち込まない厳しさが一方では必要ですね。

堀口 卒業生では兄弟、姉妹で親の経営を継ぐケースもあります。その場合、例えば生産とマーティングや管理など、お互いが得意な分野を分業する。アメリカは兄弟同士や親戚同士で分業体制を上手く回し、一つの法人をつくっているところが多い。

桑田 単に役割分担としての分業ではなく、ちゃんと経営体として分かれているような分業が有効ですね。

 

農業生産者・経営者の育成支援

本社 桑田専務、全農の就農支援の取組みを。

桑田 さきほど、これから誰が農業をするのかと指摘しましたが、私たちはその答えを出さなければなりません。生産者の経営形態は多種多様で地域性も異なる。それぞれに対して全農グループは何ができるかを検討しています。
 まず、家族経営層に対しては、とにかく後継者をつくらないと事業が続いていかないことから、岐阜、宮城、福岡、山形、広島等々、全国各地でトレーニング農場の設置に拍車をかけています。イチゴなどでの取組みが多いのですが、畜産でもトレーニング農場がたくさんできています。
 岐阜のイチゴの施設では毎年2~3人をマンツーマンでトレーニングし、これまでに40人以上が新規就農し県内生産量の2割以上を担うまでとなっています。しかも1人も離農していません。こうした事例を増やしていくことが大事です。
 畜産ではここ数年、家族経営に対して畜舎の賃貸事業を展開し、初期投資負担の軽減に役立っています。全農が畜舎を取得し農家に賃貸して、軌道に乗った段階で農家に簿価譲渡する。こうした方式は施設園芸のハウスなどにも応用させていくべきだろうと考えています。
 大規模法人とのかかわりでは、労働力支援などもありますが、JAグループと大規模法人を対立関係でとらえるのではなく、利用事業のなかでJAグループと一緒に取組んでいただくことができないかと思っています。
 例えば、JAが保有している選果場や倉庫等の農業関連施設を使いたいと思っている大規模法人は結構います。JA側も生産基盤が縮小する中で施設の稼働に〝隙間〟がある。物の売買ではなく利用事業のカテゴリーで大規模法人とJAグループが協力し合い、そこで相通じるものがあれば、多少なりとも販売・購買事業に繋がっていくのではないでしょうか。
 また、地域の了解のもとJAと全農と地域の生産者、出来たら販売先まで引き込んで一つの法人を構成し農業生産していく形が必要ではないかと思っています。
 これまでは農業生産は生産者のもので組織が関わらないのが当たり前でしたが、もはやそういう時代ではないと思います。

堀口 JA信州うえだの出資法人会社は、新規就農希望者を雇用し鍛えて独立させています。うちの卒業生もアスパラガスでお世話になりましたが、独立する時に、管理を任せられていたハウスや農地をそのまま本人が借り替えし、独立後も継続して収入が得られるようになっていました。
 地域でJA出資型法人が大きな役割を果たしているのと同じように、新規就農者が十分に離陸できるよう目に見える形で支援していますね。

 

持続可能な農業へ

本社 持続可能な農業が大きなテーマとなっている今日、「みどりの食料システム戦略」を含めて、これからの対応方向は。

柿嶌 気候変動による自然災害は、これから毎年のようにやってくると思わなければなりません。ポリシーブックでは、農業を取り巻くリスクを防災から農作業事故まで整理していますが、気候変動に伴う環境変化のリスクにも対応していかなければなりません。それはこれまでの農業の考え方を根本的に変えていくことになるかもしれません。
 これまでは今まで通りのやり方で何とか食べていけたかもしれませんが、コロナや気候変動でハタと立ち止まって周りをみたら、なにか〝空気が薄い〟。当たり前のようにあった営農環境が、もはや当たり前の状況でなくなっていると認識しています。
 考えを改めてこれからの地域農業のあり方を新しく構築していく必要を感じています。その伴走者はやはりJAであることを確認しながら次に向かっていこうとしている状態が今です。
 みんなが同じ目線になれば大きな力が生まれます。そのためにはまだまだ学習が足りないと思っています。我々は次世代に営農環境を残していかなければなりません。そのために今取組まなければならないことがたくさんあります。
 野心的数値目標を掲げた「みどりの食料システム戦略」も、もう少し現実を見て欲しいと思います。
 夢は我々がみていかなければならないものですし、実際に実現していくのも我々です。そこには、しっかりした制度や伴走者、教育が欠かせません。これがなければ持続可能な農業は確立できないのではないでしょうか。
 また「みどり戦略」も、国民の理解がベースになければ実現できないと思います。
 仮にこれを全面的に取り入れて出来た生産物は非常に高価なものとなり、売れなくなるのではないか。良い物を高く売ったとしても生産者の所得はどうなのか。そうした面もきちんと検証していく必要があります。

堀口 「みどり戦略」は、2050年のゴールから逆算して目標を立てています。これが今の日本農業とどうつながるのか示してくれないことには、我々は追いつけない。リスク管理の問題もあります。
 今、サツマイモの基腐病が大きな問題になっていますが、最大の対策は排水で水田以上の土地改良が畑にも必要です。その間の経営保障などリスクに対する十分な対策も必要です。
 当校のカリキュラムでも、これまでの食品リスク専門の講師のほか、気候変動や作業事故、病虫害、収入保険や共済等々の農業リスクを担当する講師を揃えていきたいと考えています。これを学ばなければ「みどり戦略」は実現できないでしょう。

桑田 環境対策重視の農業に反対する生産者も農業団体もいません。その点では皆が同じ方向を向いていると思います。しかし、会長が言われたように、避けられないコストを誰が負担してくれるのかに大きな不安がある。
 「みどり戦略」の大きな課題は、今はまだ存在していない技術や商品開発がなければ実現しないことです。現状の技術レベルからの乖離感が大きい。
 しかし、全農も頑張りますよ。農研機構と包括業務提携を結んだので、第1次産業では化石燃料の燃焼の次に課題となる、水田や牛から排出されるメタンの削減技術の開発を検討していきます。
 化石燃料の部分は農業機械の電化や農村部で再生エネルギー事業への取組みなどが少しずつ進んでいくと思います。
 水田からのメタンについては農研機構と今後研究をすすめ、牛のげっぷについても全農の研究所へ機械を持込みすでに測定が始まっています。
 ただし、これらの技術の現場への実装までには非常に長い時間が必要です。
 農業は本来環境にやさしい産業で、しかも私たち協同組合の助けあいの精神は、自然や環境をいたわる精神が宿っています。もし「みどり戦略」の高いレベルの数値目標が独り歩きし始めると、生産者と消費者が分断してしまうことにもなりかねません。消費者の理解醸成は国とともに取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
 全農では来年度からの3か年計画で、環境対策に対する全農としての基本的考え方を打ち出そうと検討しています。
 日本の農業と農業者は多様で、地域性もまちまちです。そうしたなかで、全農がこれから進めるべき環境対策は、農業と農業者が多様であることをふまえたものであって、かつ地域性を加味した段階的なものでなければ、現場から受け入れられることはありません。その対応の連続によって2050年には国が示したような目標を何とか実現できている、こうした視点で「みどり戦略」を捉えていきたいと考えています。

 

JA青年組織への期待と決意

本社 最後にお二方からJA青年組織への期待と、これを受けて会長の決意を。

堀口 これからの日本農業を担っていくのは、まさにJA青年組織の皆さん方です。これからスマート農業を含め技術革新を取り入れて前に進んでいく担い手です。スマート農業もすぐ使える技術などでもまだまだ不安定な部分が多く、結果的にかえってコストアップになっている場面も見受けられます。その辺にも政策的な応援がなければ、実際の経営に技術が定着していかないでしょう。若者のチャレンジを応援する仕掛けを持ちながら、皆さん方の活動に期待したいと思います。

桑田 全青協のみなさんは、間違いなく日本農業の生産基盤の中心を担い、JA経営にも中心的役割を果たしていく方たちです。
 全農グループは、事業を利用されて初めてその価値を発揮します。その意味では、みなさんにとってなくてはならない組織と言われるように商品開発、営農支援、サービス等すべてに力を注いでいきます。ぜひ、全農を身近な存在として積極的に利用していただきたいし、みなさんの声が全農事業に反映されるよう会話を重ねていきたいと思います。

柿嶌 今大会のスローガンは「盟友よ大志を抱け ~今より攻勢! 農業の未来へ~」。今こそ希望をもって次の時代へ進もう、との思いを込めています。
 昨年のJA全国大会では、今後10年のJAグループの目指す姿が決意されました。我々も一昨年から10年後の未来をどう描くか学習してきました。これをカタチに創っていく。それを後押ししてくれるのがJAグループです。伴走者として相棒として仲間としてこれからも進んでいきたいと思っています。そのためにさらに学習を重ね新しいものを取り込んでいく必要を感じているところです。
 それぞれの地域でみんなが自覚をもって産地をつくっていくことで、我々日本の農家がしっかりと国民の食料安全保障を確立していくことが重要だと、改めて実感しています。

本社 ありがとうございました。

 


〈本号の主な内容〉

■第68回JA全国青年大会 記念座談会
 持続可能な農業へ “気づき”“学び”“動く”
  次世代農業の担い手のあり方と その支援に向けて
 JA全国青年組織協議会 会長 柿嶌洋一 氏
 JA全農 代表理事専務    桑田義文 氏
 日本農業経営大学校 校長  堀口健治 氏

■農産物検査見直しと今後の方向
 機械鑑定を前提とした検査規格の具体的内容を了承
 令和4年産より適用

■第5回 和牛甲子園 JA全農が開催
 総合優勝は愛知・渥美農業高校

■JA全農の総合エネルギー事業の取組み

■水稲作の初期防除のポイント
 JA全農 耕種資材部

■令和3年度 全国JA家の光食農教育リーダー研修会

行友弥の食農再論「『安くなった日本」

 

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