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農林中金とJPRがグリーンローンを契約締結

2021年8月2日

 農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)と日本パレットレンタル㈱(JPR、加納尚美代表取締役社長)は7月30日、レンタルパレット業界において初となるグリーンローンによる金銭消費貸借契約(以下「本件ローン」)を締結したと発表した。融資期間は6年で、金額は4億円。

 グリーンローンは、環境改善効果のある事業に必要な資金供給と、その事業の環境改善効果を評価することで、社会の持続可能性向上に向けた取組みを促進するもの。JPRは、本件ローンにより調達した資金をレンタルパレットの購入に充て、環境負荷軽減ニーズの高まりなどを背景としたレンタルパレット需要の拡大に対応する。

 JPRは、レンタル方式によりパレットの共同利用を可能にすることで、サプライチェーン上の多様な企業をつなぐ一貫輸送を実現している(現在、同社で約1100万枚のパレットを運用し、年間では延べ約4800万枚を利用企業へ供給)。同社の事業は、パレットのみならず、空パレットの共同回収網や、パレットを繰返し利用するために必要な補修整備機能も利用企業間でシェアリングできることがサービスの特徴。シェアリングによって、個々の企業が自社でパレットを所有・運用する場合と比較して、全体で必要となるパレット数量が低減され、循環型社会の構築に貢献。加えて、レンタルパレット利用を通じた輸送効率向上により、全体で78%のCO2削減が可能となる。本件グリーンローンは、これらの環境改善効果が評価されたもの。これら取組みに加え、JPRは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成事業により、保有する物流データを活用し、AI技術で企業の定期便同士をマッチングさせるサービスを開発するなど、物流効率化および環境改善に向けた取組みを多岐にわたり展開している。

 農林中金は、2019年度からサステナブル経営をスタートさせるなか、21年4月にグリーンローン原則等に準拠した資金使途限定のESGローン商品を創設、本件ローンがその第1号案件となる。農林中金では、JPRのクリーン輸送に資する事業が、環境負荷の低減、循環型社会構築に貢献するものと評価し、JPRのパレット購入資金をグリーンローンで対応する。

 JPRはグリーンローン原則に準拠したフレームワークを作成し、㈱日本格付研究所の「JCRグリーンファイナンス・フレームワーク評価」において「Green1(F)」の最高評価を取得。また、環境省の「適応プロジェクト等のグリーンプロジェクトの活性化に向けたグリーンボンド・グリーンローン等の発行促進体制整備支援事業」にも採択されている。

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