農水省は18日、今年の9月の国連食料システムサミット(FSS)に向け、食料システムを担う関係者が一同に会する「全体対話」をオンラインで開催した。FSSは、SDGs達成のためには持続可能な食料システムへの転換が必要不可欠であるという、グテーレス国連事務総長の提唱に基づく国連主催のサミット。農水省は、昨年11月以降、50を超える団体、農業者、消費者、関連企業等、様々な関係者と、食料システムの転換に向けて何ができるかなどを話し合う「対話」を実施。今回の全体対話は総括として行われ、500名超が参加した。
13企業・団体が、持続可能な食料システムに向けた取組などのコミットメントを「60秒宣言」として発表。このうち、農林中金からは北林太郎常務執行役員が「ステークホルダーとともに農林水産業を育み、豊かな食とくらしの未来をつくる持続可能な地球環境に貢献していく」として、金庫の目標を紹介しながらFSSへの支持を表明した。このほか、㈱明治、日本ハム㈱、日本GAP協会、㈱クボタ等が宣言した。また、9校の農業・水産高校生が取組事例・メッセージ発表を行った。
農水省からは、「我が国の目指す食料システムの姿(案)」が紹介された。同案は、農水省と関係者の一連の「対話」を踏まえるとともに、「みどりの食料システム戦略」を軸に、自由貿易の重要性等外交的な観点からも日本の国際的な取組などをとりまとめたもの。有機農業の推進や持続可能な原料調達など「みどりの食料システム戦略」等に基づく、地域ごとの違いを踏まえた取組などを盛り込んでいる。農水省では、この内容をもとに、今後開催予定のプレサミットやサミットで持続可能な食料システムの構築に向けた日本の考えを発信していく予定。このほか、計26の地方自治体の地域の持続可能な食料システム構築のための取組事例が紹介された。
また、パネルディスカッションが行われ、大澤誠農林水産審議官をモデレーターに、JA全中・馬場利彦専務、主婦連合会・有田芳子常任幹事、東大・石井菜穂子理事(グローバル・コモンズ・センターダイレクター)、豊田通商㈱食料・生活産業本部・加藤茂治COO、FAO駐日連絡事務所・日比絵里子所長、味の素㈱・森島千佳執行役員が、「持続可能な食料システム実現に向けて何をすべきか」をテーマに議論を交わした。