農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は14日、農林中金イノベーションファンドを通じて、スタートアップ企業の㈱kikitori(上村聖季代表取締役、2015年設立)に出資したと発表した。
kikitoriは、流通事業者と生産者間の日々の集荷・販売連絡を効率化するサービス「nimaru」を提供。これまで流通現場では、出荷者と卸売事業者の間のコミュニケーションが電話・FAXに限定されており、電話がつながらない・書類の手書き作成・システムの手入力などの非効率な業務が続いていた。「nimaru」は、出荷・販売連絡をLINEアプリ上で完結でき、出荷者と卸売事業者の業務連絡の負担を軽減するサービス。販売実績がデータで蓄積されるため、出荷者は過去の取引データを活用して単価設定や生産量の調整、販売機会の最適化を行うことができる。利用者はシンプルな操作で登録を完了できることから、年配の出荷者や営業担当者でも簡単に利用することができるという。
農林中金では今回の出資について「これまでの流通現場は業務の非効率性を認識する一方で、事業者毎に異なるITベンダーに最適化されたシステムを採用していたため、抜本的な変革が困難な背景があった。同社は、新しいシステムの構築や導入は必要なく、LINEアプリだけで始めることのできる手軽さが魅力なサービスを提供している。農林中金イノベーションファンドは、同社が構築する農業流通現場の新しいインフラを通じて、JA経済事業のデジタルトランスフォーメーションを通じた収益基盤強化を実現するため、今回の出資を実施した」と説明。JAグループが設立したオープンイノベーション組織・(一社)AgVenture Labのネットワーク等を活用しつつ、同社の事業展開を支援していく方針。
なお、kikitoriは、AgVenture Labが行っている、農業・地域社会が抱える様々な課題解決を目指す指名型JAアクセラレータープログラム「Plant & Grow」に採択されている。
※詳報は日刊アグリ・リサーチに掲載しております。