㈱ポケットマルシェは21日、農林中央金庫からの資金調達により、全国の生産者によるネット直販の支援を強化すべく連携を開始したと発表した。
同社の運営する生産者が消費者に食材をインターネット上で直販できるサービス『ポケットマルシェ』には約3800名の生産者と約25万名の消費者が登録。同社では農林中金から調達した資金について、①生産者の登録促進(=農林中金と連携し、全国の生産者にネット直販の機会を提供)、②生産者の販売力強化(=ネット直販に関する教育コンテンツを充実させ、登録生産者の販売力強化に取り組む)、等の目的で使用する予定としている。
同社によると、生産物の価値を発信し、コミュニケーションの中でファンを獲得して安定的な販売を実現するために、インターネットを利用した直販は有効であるものの、「消費者にインターネットで直販をしている農家数の割合」は、2019年時点で0・56%(農水省農業構造動態調査/確報 平成31年農業構造動態調査結果)と極めて少ない状況。2019年の農業就業人口の平均年齢である67・0歳(農水省農業労働力に関する統計)、2017年の漁業就業人口の平均年齢である55・6歳(農水省漁業就業動向調査より各階層の中位数を用いた推計値)に対して、ポケットマルシェ登録生産者の平均年齢は44歳であることから、特に高齢の生産者によるネット直販実施が進んでいないことが推測される。
こうしたことから、農林中金の持つネットワークを活用し、全国の生産者にネット直販の機会を提供することで、一次産業の成長を促進するとともに、高齢の生産者に対するネット直販のサポートも強化していく方針。すでに、大分県や鹿児島県で、農林中金と連携して生産者による新規出品が行われているという。具体的には、今年10月、大分県中津市のブランド牡蠣「ひがた美人」の出品が実現。ひがた美人生産者部会に所属する生産者の平均年齢は60代前半で高齢化が進んでおり、大分県漁業協同組合中津支店の職員が出品や発送をサポートしている。
同社では「一次産業の担い手の減少および高齢化が進む今、販路の一つとしてネット直販を容易に選択可能な環境を実現し、生産者の所得向上、ひいては一次産業の活性化を農林中金と共に目指す」としている。 ポケットマルシェの高橋代表取締役CEOのコメント「エンド・トゥ・エンドのユーザーが直接むすびつき、つながりを強めるC2Cの新しいモノづくりが急速に広がっている。その世界的な潮流に日本の一次産業は乗り遅れている。消費社会の巨大なエネルギーを、停滞する一次産業の中に大胆に取り入れ、変革していく。農林中金と共にこの歴史的な挑戦の先頭に立ち、日本の一次産業と地方を盛り上げていきたい」。