(一社)農業電化協会はこのほど、令和元年度農業電化推進コンクールの、大賞=生産局長賞3経営と、農業電化協会長表彰4経営を決定した。同コンクールは、農業電化による効率的な経営や、省エネルギー技術の向上・改善に対し、意欲的に取り組み地域発展に貢献した農業者を表彰するもので、今年は新型コロナウイルス感染症対策のため表彰式は開催せず、各地区事務局から表彰状を伝達した。生産局長賞受賞者と取り組み内容は次のとおり。
北海道・今金町農業協同組合(馬鈴薯保管倉庫への緑化防止用LED照明の採用)
馬鈴薯の貯蔵は緑化を防ぐために暗所下で保存するというこれまでの常識を覆し、庫内作業に十分な照度を確保した環境下でも殆ど緑化は起こらないことを実規模倉庫での実運用下で検証した(国内初)。緑化防止用LED照明によって、年間で40~50t程度の緑化による廃棄がなくなるとともに、廃棄処分のための分別作業もなくなり、出荷量の増加と選別作業の効率化につながった。
大阪・㈱しものファーム(農業電化を活用した施設による軟弱野菜の周年専作における、栽培の省力化と生産物の均質管理の実現)
生産物の周年安定供給のため1976年より連棟ハウスを順次導入し、また省力化及び時期や作業者による管理差なく高位均質化された生産物を提供できるよう06年よりセンサーによる換気管理、自動かん水装置等の設備を全ての施設に共通して完備する。様々な自動化機器の導入をすすめ、施設による大規模経営を実現した。省力化・効率化・簡素化が図られ、労働時間は大幅に短縮され、従業員・パートの定時勤務を実現している。
長崎・立石俊一氏(ばら生産におけるヒートポンプ、パット&ファン等を用いた温度管理と統合環境制御技術によるハウス内環境改善)
燃油使用量削減、梅雨時期の病気対策及び夏場の夜冷管理を目的にヒートポンプを、日中の高温対策としてパット&ファンを、植物にとって適切な環境を自動コントロールすることで収量増加及び品質向上を目的に、統合環境制御装置及び炭酸ガス発生装置を導入した。周年栽培が可能になったことで生産量が増加し、ハウス内環境の管理、冬場の炭酸ガス施用により、出荷本数・上位階級数が増加した。夏場のパット&ファンの利用により、日中作業も可能となったことで労働効率も上がり、熱中症などの発生リスクの軽減につながっている。
また、農業電化協会長表彰受賞者と取り組み内容は次のとおり。
▽福島・㈱山内果樹園(会津みしらず柿を活用した「一口サイズのあんぽ柿」等の6次産業化と風評被害の払拭)、▽富山・柴田秀行氏(最先端の露地電照栽培による小ギク生産と高設養液土耕栽培によるいちご生産)、▽石川・松田武氏(中島菜の加工品販売を取り入れた6次産業化農業の経営)、▽福岡・九電産業㈱、㈱MARScompany(電場技術を搭載した「蔵番」の鮮度保持機能の活用による農業生産者の課題解決)。