JA共済事業のこれから
JA共済連
経営管理委員会会長
青江 伯夫 氏
常に挑戦する姿勢で日々邁進
共済事業の存在価値さらに高めて
JA共済連は5月20日に「令和2年度JA共済優績組合表彰」を開催し、令和2年度の普及推進で優秀な実績をあげたJAを表彰する。これに先立ち、JA共済連の青江伯夫経営管理委員会会長に、これからの共済事業の展開に対する思いを聞いた。
重点施策目標を2年連続で達成
■令和2年度優績表彰受賞組合をはじめJA共済事業関係者へメッセージを
JA共済大賞をはじめとする優績組合表彰を受賞されるJA役職員の皆様に心からお祝い申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は終息の兆しもなく、依然として猛威をふるい続けています。社会全体が新しい生活様式、行動様式となり、JA事業活動もこれまでとは異なった対応が求められることとなります。
このような中、普及活動において重点施策目標を2年連続で達成できたことは、皆さまの日々のたゆまぬ努力、そして組合員・利用者との間で長年にわたり築き上げられてきた信頼の賜物であり、心より敬意を表します。
JA共済事業を取り巻く環境は一段と厳しさを増していますが、受賞組合をはじめ全国のJA役職員の皆さまのご尽力のおかげで、令和2年度の普及推進は重点施策実績が全国目標を達成するという成果を収めることができました。
JAグループが社会的役割を果たすため「創造的自己改革」を実施している中で、受賞組合はもちろん全国の584組合において共済事業の重要性を再認識いただき、懸命に推進に取り組んだ成果であると感じています。
これを機に、組合員・地域住民の皆さまに対して、JAやJA共済事業の存在価値をより一層高めていただく取り組みを期待いたします。
また、コロナ禍でありながらもこうした表彰行事が開催できることは、主催者として皆さまのご協力に心から感謝しております。この表彰は今年度を含めJA共済事業の次のステップへのスタートラインであるという思いを強くしています。
生命保障を中心とする保障提供の強化を実践
■令和2年度の普及推進を振り返って
令和2年度は更なる「ひと保障推進力」の強化に向けて、①生命回帰に向けた「ひと保障」クロスセルを中心とした保障提供の強化、②LAを中心とした推進力の強化と推進体制の再構築、の2つに重点的に取組むとともに、現JA共済3か年計画の着実な実践により「ひと・いえ・くるまの総合保障」の提供の確立をめざしてきました。
そのような中、新型コロナウイルスの感染拡大によって、組合員等への訪問自粛を余儀なくされるなど、これまで経験したことのない環境下にあっても、組合員・利用者との繋がりづくりの活動を継続するため、電話にて近況の確認や契約内容のご不明点等を伺う「3Qコール活動」の実施取り組みや、新型コロナウイルスに関する情報提供をきっかけとした保障点検、郵送手続き等の非対面による活動を粘り強く取り組んでいただいた結果、2年連続での重点施策目標達成を実現することができました。
とりわけ、「ひと保障」における「万一保障と生存保障」については、推進総合実績、重点施策実績ともに一昨年度を上回る挙績となり、現JA共済3か年計画の重点取組事項に掲げる「生命保障を中心とする保障提供の強化」を力強く実践いただきました。
JAの事務負荷軽減をはじめとする自己改革の着実な実践
■JA共済事業における自己改革への取り組みについて
JA共済では、平成28年度からJA自己改革の実践支援のため、「農業者の所得増大をサポートする取り組み」「地域・農業の活性化に向けた取り組み」「JAの事務負荷軽減に向けた取り組み」を着実に実践しています。
「農業者の所得増大をサポートする取り組み」では、農業を取り巻くリスクをお知らせし、リスクに対する関心や備えについてタブレット端末等を活用して確認する「農業リスク診断活動」を展開しており、これまで約68万件実施してきました。
また、JA共済では、「事故が起こった際の保障の提供」だけでなく、「農作業事故の未然防止」をリスク対策の両輪と位置づけ、農業者の皆さまの安全確保、リスク軽減・回避につなげる「農作業事故の未然防止活動」に取り組んでいます。
さらに、これらの活動を通じて明らかになったリスクに対しては、その備えとしてJA共済と共栄火災が連携して保障商品を提供することにより、農業者の皆さまの事業・生活基盤の安定化に取り組んでいます。
「地域・農業の活性化に向けた取り組み」では、平成28年度に地域・農業活性化積立金を創設し、県ごとのニーズに応じた地域活性化や農業経営に貢献する取り組みに活用されています。この積立金を引き続き活用し、農業関連施策を含め地域の活性化への取り組みを強化していきます。
「JAの事務負荷軽減に向けた取り組み」では、平成28年4月の生命共済へのペーパーレス・キャッシュレス手続きの導入を皮切りに、長期共済・フォルダーの移動におけるペーパーレス化、自動車共済の電話継続、満期共済金・年金等にかかる請求手続きの簡素化を実施しました。
また、平成31年4月から長期共済、令和2年12月から自動車共済を対象に新契約時におけるデビットカード払いを導入し、キャッシュレス手続きを拡充しました。
さらに、令和3年4月からは、組合員・利用者の皆さまの更なる利便性向上と、JAの事務負荷軽減の取り組みを一層進めることを目的に、契約者向け専用の「Webマイページ」、どなたでもご利用できる「JA共済アプリ」の2種類のサービス開始に加え、不測の事態が生じた場合でも、場所や環境にとらわれずに非対面によるコミュニケーションを可能にする「オンライン面談システム」を導入しました。
JA支援機能強化では、今後も、JAの状況に応じた支援機能強化、業務効率化等に取り組んでいきます。
創造的自己改革は、農業協同組合が存立する限り挑戦していかなければならないテーマです。共済事業は、各連合会と一体となってJA事業を支え、JAの事務負荷軽減の取り組みを着実に実践していきます。また、地域の活性化や農業経営に貢献する取り組みをさらに強化していきます。
これら自己改革の取り組みについては、年度ごとに最優先で取り組むべき課題に勇気をもって取り組んでいく必要があります。
JAグループの自己改革の取り組みにおいて、共済事業はいち早く課題を抽出し、解決への具体的な実行をすすめてきました。今後も新型コロナウイルスへの対応を含め、時代に応じた事業対応力を強化し、これまでの取り組みをさらに掘り下げていくなかで、組合員・利用者の皆さまへの安心と満足の提供をさらに追求していきます。
地域特性に応じた推進計画実践へ
■今年度の目標達成に向けてJAの取り組みへの期待を
JA共済3か年計画における普及活動計画では、「地域特性に応じた推進計画の策定・活動の実践と『ひと保障新規』を中心とした次世代・次々世代層への保障提供を強化することで、『人生100年 3世代』に、長く・広く・深くお役立ちするJA共済を実現する。」ことを「基本的考え方」に掲げています。
令和3年度は、現JA共済3か年計画の最終年度として、医療共済の仕組改訂を通じて「ひと保障」クロスセルの取り組みを強化するとともに、契約者対応力・関係性強化に向けた新たな施策にも積極的に注力することで、生命回帰と安定的な事業基盤の確立を実現していきます。
この実現に向け、重点取組事項である、①ひと保障新規契約獲得を中心とした普及推進総合対策の実践、②他事業等との連携・情報の有効活用による次世代・次々世代との接点拡充・JAファンづくり、③「攻め」と「守り」の両輪による地域特性に応じたエリア戦略の更なる実践・定着と推進体制の整備の総仕上げ、に取り組んでいくとともに、次期3か年計画を見据えた新たな推進戦略を準備・試行し、「ひと・いえ・くるまの総合保障の提供」の確立をめざしていきます。
JA共済連は今年、設立70年の節目を迎えました。コロナ禍であっても前述のように実績を積み上げることができたのは、日頃のJA役職員の皆さまの努力が地域に浸透して信頼関係を築いてきた証左であり、JA共済の力強さを改めて痛感しています。
組合員・利用者とより密接に接することができる共済事業に、役職員がこれまで以上に使命感と情熱をもって取り組めるよう、人間力で勝負できる事業体をめざしていきたいと思います。
JA共済には、いかなる事業環境下にあっても、最良の保障とサービスを提供するとともに、永続的に共済責任を全うする使命があります。
JAの現場で共済事業に携わる役職員の皆さまは、これからも組合員・利用者に更なる「安心」と「満足」をお届けできるよう、どんな小さな業務でも丁寧に取り組み、常に挑戦する姿勢をもって日々の推進活動に邁進していただくことを願っています。
〈本号の主な内容〉
■このひと JA共済事業のこれから
JA共済連
経営管理委員会会長 青江伯夫 氏
■農作業安全対策の強化に向けたとりまとめを公表=農水省
■JA全中・中家会長が野上農相に政策提言
ポストコロナ時代における持続可能な農業・農村づくり実現で
■「令和2年度JA共済優績組合」決まる
JA共済大賞にJAふくしま未来(福島)
■JA共済連・農林中金等=各JAでオンライン面談開始 電話・ウェブを併用し6月1日から
■JA全農2021年度事業のポイント「園芸事業」
JA全農園芸部 神林幸宏 部長