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JAバンク、農林中金等がゆうちょ銀行の新規業務等認可申請でコメント

2020年12月25日

 ゆうちょ銀行は23日、郵政民営化法に基づき、金融庁長官及び総務大臣に対し、①株式会社ゆうちょ銀行の口座貸越による貸付業務に係る信用保証業務を行う子会社の保有、②フラット35直接取扱等、③損害保険募集業務、について認可申請を行った。これを受けて、JAバンク、JFマリンバンク、農林中央金庫は24日、以下のコメントを発表した。

 2020年12月23日、ゆうちょ銀行から、郵政民営化法にもとづく新規業務等の認可申請を行った旨が公表されました。
 私どもはかねてより、ゆうちょ銀行が新規業務に参入するに当たっては、まずは完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要であり、そのうえで、個別業務ごとの新規参入の是非については、公正な競争条件の確保、利用者保護、地域との共存等の観点を総合的に検討し、その可否を判断する必要があると主張してまいりました。
 こうした私どもの考えが十分に踏まえられるとともに、その前提として既存業務も含めて顧客本位の業務運営が徹底されるための十分な体制整備が行われることが必要と考えます。
 本年11月に日本郵政が公表した「日本郵政グループ中期経営計画(2021~2025)の基本的考え方」において、日本郵政が保有するゆうちょ銀行株式をできる限り早期に処分すること及びまずは保有割合を50%まで引き下げる方針が示されました。しかしながら、それを実行に移す具体的な計画は未だ示されておらず、依然としてゆうちょ銀行の完全民営化への道筋が示されていないとともに、民間金融機関との間での公正な競争条件が確保されていない状況が続いております。
 今回の新規業務等の認可申請については、こうした状況も踏まえて検討されることを期待します。
 また、今回認可申請された新規業務のうち、特にフラット35を媒介ではなく直接取扱うことについては、2017年に口座貸越サービス等の認可を取得する際に、同時に個人向け貸付業務の認可申請を取り下げた経緯も踏まえるべきと考えます。
 さらに、人口の減少・高齢化、低金利環境に加えてコロナ禍を受けた信用リスクの高まりにより民間金融機関が厳しい経営環境にあるなかで、住宅ローン市場という限られた市場に、ゆうちょ銀行が民間金融機関との間での公正な競争条件が確保されていない状況のまま参入することは、結果的に民業圧迫に繋がるおそれがあり、これまで着実に醸成されてきた両者の相互信頼関係が損なわれることで、連携・協働の動きを止めることになりかねないと懸念します。
 JAバンク・JFマリンバンクは日本全国の農山漁村に広く店舗を展開しており、農業者や漁業者等への金融サービスの提供を通じて、わが国の農林水産業や地域社会・経済を支えております。このため、全国ネットワークを通じて各地域で幅広いサービスを提供している郵便局とは、農林水産業の成長産業化や地域社会の維持・発展に向け、連携・協調できる部分が存在すると考えております。
 こうした連携・協調が実を結ぶには、ゆうちょ銀行と私ども民間金融機関が公正な競争条件の下で共存し、安定した地域の金融システムを維持することを通じて、地方経済・地域社会を発展させていくことが重要と認識しておりますので、今回の認可申請については、こうした点を踏まえて慎重に検討されることを強く要望いたします。

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