日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2020年10月15日号

2020年10月15日

文化厚生連・八木岡努会長このひと

文化厚生連事業の役割とこれから

日本文化厚生農業協同組合連合会
経営管理委員会会長
八木岡 努 氏
医療・保健・福祉の発展を全国の力で

共同購買・地域づくり・情報教育を柱に

 この7月、日本文化厚生農業協同組合連合会(文化連)会長に八木岡努氏(茨城県中央会・5連会長、JA水戸会長)が就任した。JA厚生連と単協が直接加入し、厚生連病院に医薬品・医療資機材、単協に食品・保健福祉資材等を斡旋供給する文化連のこれからを新会長に聞いた。


JA厚生事業の基盤を支える事業

就任の抱負から。

 平成24年にJA水戸の組合長に就任してから、文化連の会員単協として諸会議等に参加してきました。全国の会員のみなさんとの交流を含めてこの組織のフレンドリーさはホッとするものがあり、貴重な時間を過ごすことができました。

 文化連は、「会員とともに取り組む共同購買事業と協同活動を通じて、地域住民の命とくらしを守り、誰もが健康で文化的な生活を享受できる地域づくりに貢献」することを理念と使命に掲げ、72年間活動を進めてきました。

 JAが総合事業を展開するなかで、医薬品や医療資機材を共同で購入し廉価に提供する事業は、組合員・地域住民の健康を支えるJA厚生事業の大きな基盤となっていると認識しています。

医療従事者の感染防御資材確保に注力

コロナ禍の影響と対応は?

 まずは、コロナへの対応で本当にご苦労をされている現場の医療・介護従事者の皆さんに敬意と感謝を申し上げます。一方で、コロナ感染者を受け入れた病院ほど経営が困難になっています。特に地方に多くの病院を持つ厚生連は深刻です。会員単協の福祉事業所も休止や利用者の抑制・自粛で減収となっています。

 現場では医療・介護従事者が感染リスクにさらされていることから、本会としても、従事者自身の感染防御資材の確保に注力してきました。その多くは海外からの輸入品であったため、会員厚生連の医療機関向けに優先的な調達確保に向けて内部体制を強化し、従来の供給実績数を概ね維持することができました。

 消毒綿は共同購入の「JAブランド」開発品として長く供給されているもので、他社が品切れとなる中でも廉価で安定供給を継続できました。会員施設の7割が参加している全国共同購入の貴重な成果です。

 このコロナ禍で、世界の医療や食料に対する価値観が大きく変わったのではないかと感じています。各国の自国優先主義がこれまで以上に鮮明になってきました。その中で、JAグループは、食料の安定生産・安定供給を考えていかなければなりませんし、そこに関わる人々の安全・安心・健康を担保していく厚生連や文化連は、これまで以上になくてはならない組織になっていくと思います。

協同の力で薬・資機材価格交渉力の強化

JAの厚生事業の課題は?

 厚生連医療において今年度は大きく4つの課題があると認識しています。第1に地域医療構想の再検証への対応です。地域全体にとってどういう医療体制が必要か、地域の中核病院としての厚生連は、イニシアチブを発揮すべきです。

 第2に、医師の働き方改革と連動し、今年4月の診療報酬改定に確実に対応を進めること。医師の労働時間の徹底管理、看護師等へのタスクシフト等の計画づくりと実施が待ったなしの課題となっています。

 第3に、医薬品・特定保健医療材料の価格交渉の強化。本会が事務局を担う「厚生連全国共同購入委員会」でも、薬剤・医療機器使用選択の取り組みを、参加病院の協同の力でさらに進めることを確認しています。

 第4に、公的医療を担う協同組合として、地域医療福祉体制を守る、創ることです。医療機関の適正な“使い方”“かかり方”を理解する住民の合意形成、介護事業や暮らしの助け合い活動へ、協同組合だからこその役割発揮が求められています。

安心の地域づくりと経営改革の全国運動を

今後の取り組み方向は?

 医薬品や医療資機材の共同購入を通じて廉価に安定的に供給していくことに尽きます。

 単に“物を売る”のではなく、厚生連病院の経営安定に資するような情報の発信にも力を入れ、良い事例を組織全体で共有していけるような取り組みも核になって進めていきたいと思います。

 今年度から第9次中期事業計画をスタートしています。「会員の協同で、安心の地域づくりと経営改革の全国運動を」のスローガンのもと、厚生連医療・保健・農協福祉の発展を、全国の力で実現をめざします。

 病院の機能分化・再編の本格化の中で、地域医療を守るため厚生連医療は、医療の質の確保、効率化・生産性向上、住民の合意形成といったマネジメント改革が求められています。

 これらを実現していく上で、文化連は、「共同購買」「地域づくり」「情報教育」の3つを柱に、「働く基本姿勢」「人材育成」「健全経営」の3つの改革を推し進めていきます。


〈本号の主な内容〉

■このひと 文化厚生連事業の役割とこれから
 日本文化厚生農業協同組合連合会 経営管理委員会会長
 八木岡 努 氏

■「スマート農業推進総合パッケージ」農水省が公表
 スマート実証の着実な実施や成果の普及等に向け施策展開

■令和3年度組織・定員要求で組織見直し=農水省
 輸出・国際局、農産局、畜産局(いずれも仮称)など

■JA新任常勤理事WEB研修会
  JA全中 代表理事会長 中家徹 氏
  JA全中 専務理事 馬場利彦 氏
  JA全中 常務理事 山田秀顕 氏
  神奈川県 JAさがみ 代表理事会長 大川良一 氏

■持続可能な社会の実現に向け、存在意義を見つめ直す農林中金ならではの「サステナブル経営」
  農林中央金庫 常務執行役員 八木正展 氏   取組み実績の実例①酪農・畜産業の課題解決に向けたバイオガスプラントの普及取組み
  取組み実績の実例②JAと連携し再生可能エネルギー発電を推進
  取組み実績の実例③気候変動テーマ型ETFにJA共済連と200億円投資

「農福連携等応援コンソーシアム」会長に皆川氏

■日本ヘルスケア協会の野菜POPマニュアル作成実証を認定=農水省

■収入保険加入者の満足度調査を公表=NOSAI全国連

■JAグループ共同購入「中型トラクター」の形式を決定=JA全農

■「農作業事故体験VR」がグッドデザイン賞受賞=JA共済連

■持続可能な地域づくりへ農泊「経営」の人材育成研修=全国農協観光協会

■【人事】農水省、JA全農

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