日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2020年6月5日号

2020年6月5日

このひと

 

JA青年組織活動のこれから

全国農協青年組織協議会
会長

田中圭介 氏

 

 全国農協青年組織協議会(JA全青協)は、5月27日開催の臨時総会と通常総会(書面)で、新会長に田中圭介(福岡県農協青年部協議会前委員長)、副会長に柿嶌洋一(長野県農協青年部協議会参与)、高原弘雅(岡山県青壮年部協議会会長)の各氏を選任した。田中新会長に、今後のJA全青協やJA青年組織活動への想いを聞いた。


 

6万盟友の声の拡声器に

会長就任にあたっての抱負から。

 自分が拡声器となって、6万人の盟友の声、JA青年部の現場の声をJAグループはじめ農政や社会に、しっかり伝えていきたいという想いから、2月の全国大会で立候補を表明した。
 しかしその後、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、日常生活はもちろんのこと青年部活動も大幅な制限を余儀なくされた。こうした状況のなかで「食」の大切さが際立ってきている。国民への食料の安定供給の役割を担う我々農業者は、どのような状況にあっても営農活動を絶対に止めてはいけないと改めて思っている。
 青年部活動の前提として、日常生活が制限されるなかでも安全安心な農畜産物を作り続ける手を止めてはならない、国民のために踏ん張らなければならないときだと、盟友たちに訴えている。
 全青協の活動もなかなか先が見通せないが、Webを使っての会議など、現状で出来ることから取り組んでいこうと、スタートをきった。
 昨年1年間、全青協の理事として、今野前会長のもとで様々な経験をさせてもらった。各県域の委員長のみなさんも、高い能力をもって営農現場でも活躍されている方々が多く、大いに刺激を受けよい勉強をさせてもらった。
 青年部活動はそれぞれに地域において、地域を明るくする源となっている。昨年も大雨や台風などの被害に見舞われたが、全青協では農業現場の苦しさを国政に訴え支援を要請してきた。このバトンをしっかり受け継ぎ先頭を切っていきたい。

 

安定した農業生産へ基盤づくりを

現状の農業の課題をどのように受け止めているか。

 雇用型の大規模経営、家族経営、新規就農や親元就農など、今日の農業経営は多様化しているが、いずれの経営体にしろ、生産基盤が安定しなければ経営は成り立たない。中山間地域も含め農地をしっかり守っていく農政の展開を今後とも求めていきたい。自給力を高めていくことが重要であり、輸入が止まれば食料が国民に入ってこないような状況は絶対あってはならない。

 

再確認が必要なJA組織の基本

JAへの参画については?

 組合員一人ひとりがJA組織をつくっているという基本を、特に若い世代は再確認する必要がある。我々自身がJAへの対応を改善すべき点があるのではないか。自分たちの力でJAのこれからを変えるくらいの意気込みで、JAの経営や活動にどんどん参画し声をあげていって欲しい。JAは我々農業者の組織であり、我々自身が変えることができるのだということを、盟友にしっかり伝えたい。
 タッグを組む力強さを再確認し、お互いの自己改革を進めていかなければならない。

 

学び、競い合い未来をつくる

今年度、全青協として特に力を入れていきたいことは?

 今年度のテーマは「学び」に設定し、全青協として学びの場を積極的に提供していくことにしている。学び、競い合い10年後の未来を今からつくっていこうと。世の中が激変していくなかで、氾濫する情報をどのように的確にキャッチし、自分のなかに落とし込んでいくかを、常に学習し議論を深め、しっかり実践していきたい。
 様々なジャンルの農産物を生産している盟友がいるなかで、自分の業態以外の情報も学び合い、地域に対しても農政に対してもしっかりものが言えるような1年にしていきたい。

 

モチベーション高め合う組織に

青年部活動の強化に向けて。

 私自身、地域のJA青年部に育ててもらった。地域の単組や支部が活発でなければ、全国でいかに旗を振ろうともみんなで頑張れる方向性は定まっていかない。各県の委員長は全国の情報を地域にこまめに伝えていくことが大事だ。
 10年後の農業は我々が明るくするのだと、モチベーションを高め合う組織であってほしいし、それが地域には絶対必要だ。若い世代が頑張っている姿が地域を盛り上げる。チームとして青年部として、地域の熱い源となるバイタリティある組織をつくっていきたい。


 

〈本号の主な内容〉

■このひと JA青年組織活動のこれから
全国農協青年組織協議会 会長
田中圭介 氏

■6月1日は「世界牛乳の日」 6月は牛乳月間
 業務用需要が減少 各機関が消費拡大に力

■JA全農 Z-GISの機能拡大による生産効率化と地域営農支援強化

■JA全農 2020年度事業のポイント
 〈くらし支援事業〉
 JA全農 くらし支援事業部 宗村達夫 部長

■農薬危害防止・安全防除運動 展開中
 「農薬は 周りに配慮し 正しく使用
   農林水産省 農薬対策室長  石岡知洋 氏
 「周辺にも配慮した適正使用で安全に」
   農薬工業会 安全対策委員長 白岩豊 氏
 「JAグループの安全防除運動について」
   JA全農 耕種資材部長   冨田健司 氏
 「”農薬安全ひと声運動”等を展開」
   全国農薬協同組合 技術顧問 植草秀敏 氏

蔦谷栄一の異見私見「コロナで加速させたい田園回帰の流れ」

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