農薬散布時の防護装備が不十分、農薬の誤飲など
平成30年度に発生した農薬の使用に伴う人に対する事故は、前年度の21件に対し、25件となったことが分かった。農水省が厚労省と連携して、農薬の使用に伴う事故及び被害の効果的な再発防止策の策定を目的に毎年度実施している、農薬の使用に伴う事故及び被害の実態を把握するための調査によるもので、5月29日発表した。今調査は、平成30年4月から31年3月までに発生した農薬による人の中毒事故、農作物・家畜等の被害を対象とし、全都道府県に情報提供を求めた。
30年度は調査の結果、農薬の使用に伴う人に対する事故は、前年度の21件に対し、25件。原因別では、「農薬の調製又は散布時にマスクやメガネなどの防護装備が不十分だった」事例が6件あったほか、「土壌くん蒸剤(クロルピクリン剤)を使用した時に、被覆をしなかった又は何らかの理由で漏洩した」事例、「農薬の保管管理が不適切であったため、誤飲した」事例があった。また、農作物や魚類の被害は、前年度の16件に対し、12件あり、「農薬の飛散防止対策が不十分だった」「余った農薬希釈液を河川につながる用水路に廃棄した」事例が報告された。
農水省では、これらの事故及び被害を防止するためには、▼農薬の調製又は散布を行うときは、農薬用マスク、保護メガネ等の防護装備を適切に着用する、▼土壌くん蒸剤を使用した際は、適正な厚さの資材を用いて被覆を完全に行う、▼農薬やその希釈液、残渣等をペットボトル、ガラス瓶等の飲料品の空容器等に移し替えない、▼飲食物と間違えて誤飲誤食することがないよう、飲食物と分けて保管する。また、農薬保管庫の中に施錠して保管する、▼農薬が飛散しないよう風向等に注意し、強風時の散布は控える、▼飛散が少ないと考えられる剤型を選択したり、飛散低減ノズルを使用するなど、飛散防止対策を十分に行う、▼使用残農薬や不要になった農薬は、廃棄物処理業者に処理を依頼するなど適正に処理する、等の取組が重要だとしている。