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「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」策定=農水省

2020年4月1日

成長産業化へ需要に応え次代に継承可能な持続的生産基盤を強化・創造

 農水省は3月31日、「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)」を策定した。「酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律」に基づき、酪農・肉用牛生産の健全な発展と牛乳・乳製品、牛肉の安定供給に向けた取組や施策の方向を示すもの。今後10年間で、酪農及び肉用牛生産の成長産業化の道筋を確固たるものとするため、「海外市場も含め拡大が見込まれる需要に応えるための生産基盤強化」を進めるとともに、「次世代に継承できる持続的な生産基盤を創造」することで、国内の高い畜産物需要に対応した国産畜産物の供給の実現、戦略的な輸出による積極的な海外市場の獲得、産業としての持続的な発展を目指す。

 具体的には、生産基盤強化に向け、「肉用牛・酪農経営の増頭・増産」「経営を支える労働力や次世代の人材の確保」「家畜排せつ物の適正管理と利用の推進」などを施策に盛り込んだ。このうち、「中小規模の家族経営を含む収益性の高い経営の育成、経営資源の継承」について、中小規模の家族経営をはじめとする畜産経営が、「持続的な経営を実現するためには、収益性の高い経営による一定の所得の確保が必要であり、そのためには、規模拡大を行わずとも生産性向上を図る取組に対し支援することが重要」であるとし、●高能力の牛群を整備するためのゲノミック評価等の新技術を活用した家畜改良の推進、●生産者団体や民間企業等がデータの分析や活用方法の指導を行い、多くの経営がデータを活用した高度な経営判断をできるよう支援する体制の構築、●中小規模経営への新技術の実装を進めるため、飼養管理方法の実態を踏まえ、一部を自動化したコストパフォーマンスの高い新製品の開発を推進する、など「新技術の実装等による生産性向上の推進」に取り組む。また、「施設・家畜等への投資の後押し等による規模拡大の推進」「持続的な発展のための経営能力の向上」「既存の経営資源の継承・活用」を促進する。

 基本方針では、令和12年度における各種数量目標、経営指標等について次のように設定した。

 ▽全国の生乳需要量計=780万t、うち飲用向け400万t、乳製品向け372万t、乳牛飼養頭数=132・4万頭、▽牛肉生産数量全国計=57万t(枝肉換算)、肉用牛の飼養頭数=303・1万頭、〔集送乳・乳業及び肉用牛・牛肉流通合理化等〕▽集送乳等経費の目標=現行水準、1日当たり生乳処理量2トン以上の牛乳・乳製品工場の稼働率目標=飲用牛乳工場で現状(平成30年度59・9%)から1割上昇、牛乳・乳製品工場数=飲用牛乳工場で現状(196)の8~9割、▽食肉処理施設の稼働率の目標=70~90%以上、再編合理化後の1日当りの処理頭数=700~900以上(処理能力=1000頭以上)。

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