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日本農業経営大学校が卒業式、第6期生14名巣立つ

2020年3月11日

 日本農業経営大学校は6日、東京・港区の同校で卒業式を行い、第6期生14名が2年間の課程を修了し同校を巣立った。同校は、次世代を担う農業経営者であり地域のリーダーとなる人材の育成を目指し、2年間・全寮制教育により少数精鋭の経営者教育を行う学校。

 卒業式では、同校の設立母体である一般社団法人アグリフューチャージャパンAFJ)の鈴木豊理事長が、「明日から親元就農、雇用就農の違いはあれども、全員が農業の道を踏み出すことになる。2年前に入学されたときの農業への初心は、この2年間の学びを経て、より具体的な目指す方向が見え、わくわくされていることと思う。今その思いを忘れずに、思い描いた到達イメージを実現してもらいたい」「悩みを持ったとしても皆さん方は決して1人ではない。この2年間の学びを通して得た素晴らしい友人、ネットワークがある。それを生涯の財産、糧にしていただきたい。必ずこのネットワークが支えになってくれる。皆さんはそのネットワークを活かして、自信をもって自分で作った到達イメージを実現すべく翼を鍛えて大きく羽ばたいてほしい」と卒業生たちへの祝辞を述べた。

 また、AFJ会員を代表してメインスポンサーである農林中金の金丸哲也代表理事専務が挨拶、卒業生に向けて「自身の経営だけでなく、地域のこと、さらには国内のみだけでなく、グローバルな目線をもって、日本の農業界をリードしていく農業経営者を是非とも目指してほしい。農業が変革期を迎えている今、農業の成長産業化や農業を起点とした地域の活性化をより推し進めていくためには、ここにいる若い皆さんが新しいことに挑戦し、地域に新たな刺激をもたらすことが重要だ」「日本農業経営大学校では、JAグループや産業界等の約250もの会員企業が皆さんを応援しており、就農後は、このネットワークをこれまで以上に活かしてほしい」とエールを送った。

 同大学校の堀口健治校長は式辞で、「卒業研究発表会での皆さんの経営計画は、審査委員の皆さんに高く評価された。各人の経営計画を、授業や実習を基にし、計画のフレームワークを踏まえ、作成する仕組みは卒業する2年生が模範を示してくれた。未だに農業者教育は技術教育で十分とする考えが農業界では強いのに対して、本校は農業経営者を目指すには経営を主にした総合的な科目、農業法人や企業での実習を踏まえた教育、全人格的な教育が必要だとする立場を主張している。その教育成果を卒業生は示してくれている」「本校の2年間をともに学んだ同期生は生涯の友人であり頼れる同輩だ。卒業後も本校のネットワークのもと、相互に交流を続け高めあうことを期待するとともに、本校は諸君らの経営を見守り、経験を共有し、応援しあうことを約束して、諸君らの輝く前途を祝福したい」と激励し、卒業生一人ひとりに卒業証書を授与した。

 来賓には、農水省の出倉功一大臣官房参事官(兼経営局)、日本生協連の伊藤治郎執行役員渉外広報本部長、経済同友会の斎藤弘憲執行役、日本農業経営大学校同窓会の岩品孝則副会長が出席、出倉大臣官房参事官が江藤拓農相の祝辞を代読した。

 2年間の授業の成績と卒業研究発表会での発表内容等で優秀な成績を修めた、菅拓海さん〔学業〕と新口太公さん〔卒業研究〕の2名が「優秀者」として表彰された。

 卒業生を代表して菅さんが「周りに就農を目指す同志や、やりたい農業を語り合う仲間がいなかった私にとって、たくさんの出会いや様々な学びを得た本校での2年間は、まさに夢のように充実した日々だった」「就農後、厳しい現実に直面し、やりたい農業が達成できるかどうか不安に感じることがあるかもしれない。しかし、その度に私には高い志を持つ同期達と教職員の方々と一緒に作り上げた卒業研究があると言い聞かせ、立ち向かっていきたい」「そしていつか、本校への入学や就農する事に躊躇している未来の後輩達に非農家出身でもここまでできるのかと思ってもらえるような、立派な農業経営者になりたい」と答辞を述べた。

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