一般社団法人日本食農連携機構(増田陸奥夫理事長)は14日、東京・帝国ホテルで設立10周年記念祝賀会を開き、約170名が出席した。同機構は、農業界・経済界の連携を図ろうと2007年に立ち上げた「農業経営サポート研究会」を発展させ、活動を実践の場に移すため2009年9月に設立。今年3月末現在で生産・加工・流通・消費の各分野から176名が会員として参画している。
増田理事長は挨拶で「食と農のネットワークをつくり、我々がそのプラットフォームになるよう10年間続けてきた。この間、セミナー開催、農水省事業の事務局や各地区でのプロジェクト等の受託、地域再生の取り組み、農業参入のお手伝い等を行ってきている。昨年4月までに熊本・東北・中部各支部をつくり北海道の農業者グループと業務提携し、全国ネットワーク化の基盤ができてきた」と振り返るとともに、次の10年に向けて、「物流改革はおそらく、これまでの農業を形作っている様々なシステム、仕組みを根底から変えていく。その実証実験に積極的に加わりたい。海外事業も展開していきたい。変革期はチャンス。農業の変革の主役になっていくという気構えでこれからも取り組んでいきたい」と決意を表明した。
来賓挨拶では4名が登壇。▼農水省の新井ゆたか消費・安全局長は、6次産業化法制定に関わった食品産業企画課長当時、増田理事長からも示唆を受けたことを紹介しながら機構が果たす役割を高く評価。「プラットフォームとしての位置づけが、ますます重要になってくるのではないか」と期待を寄せた。▼農林中金の奥和登代表理事理事長は、増田理事長の農林中金在籍時に部下だった時代を振り返り「当時から、強い信念を持ち物事を改革していく〝革新力〟があった。農林中金も4年前に食農ビジネスを立ち上げた。フロントランナーである機構の知見、ネットワーク力も利用させていただきながら第1次産業、地域に貢献していきたい」と述べた。▼福田達夫衆院議員は「増田理事長からお話をいただき(機構会員有志との)勉強会を昨年5月から行っている。現在、自民党の農産物輸出促進対策委員長を務めており、そこではいかに売るか、価値をわかっていただくかという議論ばかりしている。いいものを作り続けてほしいという思いを込めて支払っていただかなければ、価値に見合ったお金が得られず作り続けることはできない。そのための取り組みを食農連携機構は行ってきていると思う」と評した。▼熊本県の小野泰輔副知事は、設立2年目の同機構に農業経営塾の企画・運営を委託したことにふれ、「まだ実績はなかったが、集っているメンバーを見て間違いないとお願いした。今どの都道府県でも農業経営塾が当たり前になっているが、その火つけ役として担っていただいた。様々な面でこれからもご一緒させていただきたい」と述べた。
田代正美バローホールディングス代表取締役会長兼社長の発声で乾杯。同機構理事を代表して、山田敏之こと京都代表取締役(日本農業法人協会会長)、前田佳良子セブンフーズ代表取締役が挨拶し、同機構副理事長の長谷川久夫みずほ代表取締役社長が中締めを行った。