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静岡・清水港から高規格コンテナを活用し農産物を輸出

2019年8月31日

静岡経済連がJA全農山梨・長野、愛知経済連と産地間連携

 農産物の海上輸送による輸出を促進するため、国交省中部地方整備局は、静岡・清水港をモデル港とし、高機能冷凍・冷蔵コンテナを用いた農産物の輸送実験を今年度から実施、JA静岡経済連が新たな事業としてこの高規格コンテナを活用した県産品の輸出をこのほど開始した。

 この取り組みは、輸出環境を整備するため、静岡県が策定し昨年2月に国交省に認定された農水産物輸出促進計画に基づき、国庫補助事業を活用して冷凍・冷蔵コンテナの電源供給設備を増設。JA静岡経済連が農産物を輸出する。経済連では、平成27年度から県産のみかん、茶、いちご、牛肉などの農畜産物を海外へ輸出。その後、現地の食文化やニーズなどを把握し、県内のJAや産地へ情報提供を行いながら輸出拡大を図ってきたが、秋冬作物が主力であることもあり、他県の春夏産地と連携した年間輸出の推進が求められてきた。

 そのためJA静岡経済連では、全農の山梨県本部・長野県本部、JAあいち経済連と産地間連携して農産物を確保、静岡県産品の出荷が減少する時期を他県産品でカバーする。静岡県では経済連と連携し、各産地から清水港までの効率的な集荷体制を検討するとともに、県海外駐在員事務所による現地での販路開拓支援を行う。海上輸送試験は、約2か月に一度、年度内に計4回を予定。1回目は静岡県産の「アメーラトマト」「クラウンメロン」、山梨県産の「シャインマスカット」「桃」、長野県産の「種なし巨峰」「白菜」、愛知県産の「大葉」などがシンガポールに輸出された。今月6日に出港し17日に到着、輸送後は重量・糖度・酸度・硬度・色彩等に関する品質検査等が行われ、販売されている。
 国交省中部地方整備局では、輸送試験で期待できる効果として、▼海上輸送に適した季節ごとの農産品の把握が可能となる、▼現地ニーズの把握が可能となる、▼効率的な海上輸送に必要な対策の把握が可能となる、と見込んでおり、生産者に向けた輸出用農産物の生産量拡大をPRするほか物流効率化に向けた対策を行うとしている。これにより、生産→仕入れ→輸送→販売、のビジネスモデルを構築、農産物輸出を促進する構え。

 鮮度確保が必要な野菜、果物等は短時間で輸送が可能な航空機輸送が主流とされているが、近年、長期間の鮮度保持が可能な高機能冷凍・冷蔵コンテナが開発され海上輸送が可能となりつつある。大量輸送が可能な「海上輸送」は、航空機輸送と比較し輸送費を大幅に抑えることができるため、価格競争力が向上することが見込まれる。現在整備中の中部横断自動車道が、2020年には全線開通予定で、供用後は清水港への農産品の集荷が期待される。

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