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日本農民新聞 2023年8月25日号

2023年8月25日

このひと

 

農村地域活性化への途

 

農林水産省
農村振興局長

長井俊彦 氏

 

 7月の農林水産省の幹部人事で、農村振興局長に長井俊彦氏(大臣官房審議官兼経営局)が就任した。新局長に農村地域の課題とこれからの振興策のポイントを聞いた。


 

仕事をつくり 定着してもらう流れを

農村振興の課題をどのように認識されているか?

 農村だけではないが、これからどんどん人口が減り高齢化も進んでいく。集落機能の低下、鳥獣被害による離農、想定以上の自然災害による水資源管理の難しさなど課題は多岐にわたる。

 そうしたなかでやはり農村地域に〝人を呼び込む〟ことが大事だ。いろいろな形で人を呼び、住んでもらって、仕事をしてもらい、定着して地域を守ってもらう。この流れをいかに創るかが、農村振興局の一番の課題だ。

 仕事をつくって住んでもらい、同時に農村を応援してくれる関係人口を創っていく必要がある。そのための解決策は一つではないので、いろいろなことに取り組んでいかなければならない。

 特に、中山間地域は、直接支払い制度など基本的な制度が手当てされているが、それだけではなく、いかにして人を惹きつけていくかを考えなければならない。

 

困り事解決の芽を 農村地域全体に拡げる

農村地域を維持していくためには?

 地域を守るためには農地を守ることにとどまらない活動が必要になってきている。地域の農業を守りながら生活支援等も一緒に取り組んでいかなければならない。農村型地域運営組織(農村RMO)といった、農地を守りつつ、ちょっとした小さなことでもいいから生活支援に取り組んでいくような〝芽〟が創れるといいと思う。

 今、農地を誰がどのように担い、守るのかを明確にしていく地域計画策定の取組みが始まっている。それと併せて、地域の困り事を農村地域全体で解決していく取組みを拡げていきたい。

 農村政策は、我々だけで全て完結するものではない。関係省庁の施策も利用させてもらいながら、それを農村としてどのように上手く使っていくかを考えることが大事なことだと思っている。

 

災害対応も考慮して 優先順位つけて

農業農村整備事業に関しては?

 私が予算課で公共担当をしていた平成16年頃にも、施設の長寿命化に関し、長寿命化することで上手く事業のピークをなだらかにしていくというシミュレーションを見せてもらったことがある。

 今は長寿命化に加え、何十年かに一度という話であった災害が全国のどこにでも起こり得るような中で、災害対応も考慮して施設の更新を進めたいという要望も多く、こうしたニーズに応えていかなければならない。ため池の整備も数多く行う必要があり、重点期間のなかで優先順位をつけて取り組んでいきたい。

 更新需要や長寿命化対策に加えて災害対応等を考えると、高位平準化が必要だ。ただ、工事には費用も人手もかかることを踏まえ、優先順位をつけながら、できるだけ早く、かつ、効果的に進めていきたい。

 

農村政策の中身の充実を

食料・農業・農村基本法の見直しが論議されているが?

 食料安全保障の問題から食料・農業・農村基本法の見直しが論議されているが、農業の生産基盤があってこそのものだ。農業の基盤整備がしっかりできれば、新しい担い手も入ってくるだろう。

 また、〝農泊〟、‪〝農福〟、〝農村RMO〟など「農村」の観点からの施策もいろいろ出てきている。そうした要素もきちんと入れながら、農村政策の中身をより充実したものにしていかなければならない。‬

 現場の方々をはじめいろいろな人の話をよく聞きながら、局内で議論し、政策の方向性を打ち出していきたい。

 農業と農村は車の両輪と昔から言われているが、それが本当に車の両輪になっていると言われるよう、農村の振興に局を挙げて取り組んでいく。


 

〈本号の主な内容〉

■このひと
 農村地域活性化への途
 農林水産省農村振興局長 長井俊彦 氏

■JA全農 第47回通常総代会
 令和4年度事業
 事業の概況、全体戦略の取り組み内容
 災害・感染症などの危機管理への対応

行友弥の食農再論「優等生の憂うつ」

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