日本農業の振興と農業経営の安定、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2019年5月25日号

2019年5月25日

このひと

JA青年組織とJA改革

 

全国農協青年組織協議会
会長

今野邦仁 氏

 

 

組合員としてJA自己改革の先頭に
現場の声の共有・拡散を両輪に

 

 全国農協青年組織協議会(JA全青協)は5月22日開催の第66回通常総会で、新会長に今野邦仁氏(前JA全青協副会長・北海道)を選任した。今野新会長に、就任の抱負や今後のJA全青協、JA青年組織活動への想いを聞いた。


盟友6万人の照明係として

会長としての抱負を。

 盟友6万人にスポットライトを当てるのが私の一番の仕事。ひとりでも多くの声を実現できるよう、盟友の意見を吸い上げ整えて発信していく“照明係”に徹し、プロデュースしていくことだと思っている。
 昨年度は北海道農協青年部協議会会長、全青協副会長として、農政・JA大会決議・自己改革・水田などを担当していた。それぞれの立場から見て取り組みたいことはまだまだある。しかしまずは3年に1度のJA全国大会議案に、青年部の意見を大幅に入れていただいたので、これを絵に描いた餅で終わらせるわけにはいかない。その餅を“美味しい餅”に仕上げるために、まずはやりたいことよりもやるべきことを優先したい。
 私が農業者としてできることは安心安全なものを系統出荷で消費者に届けることだが、組合員としてできることは、協同組合の価値・農協の原点をもう一度振り返り、とくに若年層へ協同組合の意義を説いていくことだと思っている。青年部としては、会議体を中心に発言や求心力をもってグループ内外に問いかけ、現場の声を発信していきたい。
 歴代の先輩からのアドバイスをもらうなかで、まずは人材育成に取り組み同志を増やしたいと考えている。その一番のきっかけは、今年1月に初めて参加した「農協運動におけるリーダー育成のためのJA青年組織新任役員研修」。米国の農業事情や先進事例にふれ、自分の視野の広がりを感じ、様々な意見や事例に学ぶことと、そこでの経験を広めていくことの大切さに気付いた。農業情勢・農政運動・自己改革、ひとりでも多くの仲間と同じ想いを共有して広めていく。そのことがJA大会決議の実践との両輪になる。

 

JAを改革するのは私達組合員

JAの自己改革については?

 JA自己改革は、自分達で変わる良いチャンスだと捉えている。その先頭は青年部や、女性目線で物事を捉える女性部。時代のニーズに合わせながらも、協同組合の原理・原点から絶対外れていけない部分は変えない。ただしそうでない箇所は思い切って、この波に乗って自分達で変えていく。
 若手農業者はJA自己改革を、農協がやるものだというイメージを持つことが多いが、そうではない。普段から、自分達の意識を変えていくことこそ自己改革であり、そうすれば農協は変わることを、積極的に伝えている。農業者が出資する私達の組織だから、変えるのも、失敗して責任を取るのも組合員である自分達。つまりJA全国大会の決議を実践していくのは私達農業者だ。

 

「実践的批判者」原動力に自己高める

これまでの青年部活動を振り返って。

 就農時は右も左も分からず、営農の先生は父だった。その1年後、先輩に誘われて行った農協青年部役員との意見交換会で、農協青年部性格5原則の「実践的批判者」という言葉を知った。先輩方から「批判するだけでなく、協同組合のど真ん中を歩いてご覧よ」と背中を押されたことが今も心に残っている。それから活動には大小関係なく全て参加した。視察や勉強会で仲間づくりをするなかで、視野が非常に広がり、自分の営農にも直接返ってきた。これは青年部綱領の「われらは、多くの出会いから生まれる新たな可能性を原動力に、自己を高める」に通ずるものだ。
 副会長就任後は農政担当として勉強しながら、会議体で様々な方と接点を持つことで得た知識や情報を、盟友へ伝え、実践を呼びかけることができたのは役得だったと思う。
 2018年9月の北海道胆振東部地震発生時には、急遽水野前会長から任命され、災害の東日本地区担当として対応した。その当時、被災した盟友のもとにSNSを通じて、全国の青年部が持つネットワークとフットワークを活用した情報が入ってきた。そのとき青年部員はまさしく「盟友」だと、協同組合の一番の強みや、盟友とのつながりを実感した。
 これまで全青協は、災害に関して要請活動や情報収集、募金活動、東日本大震災被災地支援「絆プロジェクト」などに取り組んできた。一番にすべきは、災害で不安に陥っている盟友の声に耳を傾けること。強い農村を作るために、引き続き力を入れてやっていく。

 

次世代へつながるポリシーブックを

今後の活動のポイントは?

 米国研修の一番の目的は、ポリシーブック発祥の農業団体である米国ファームビューロー連盟だった。それを目にして、ポリシーブックの考え方・方向性をもう一度見つめ直す段階に来ていると考えている。現在現場レベルでは、ポリシーブックを活用する段階だ。最新版では新たに離島農業や自然災害が項目に追加されたりと、ポリシーブックは変化し、歩きだしている。グループ内向けのイメージがあるポリシーブックの枠内だけでなく、対外的な広報活動や担い手対策、農政運動などの横展開にも目を向けつつ、ポリシーブックの全国展開と掘り下げをしていく。この縦と横と奥行きとの展開にもうひとつ、次世代に引き継いでいく意味の時間軸をつけ加えたい。次世代でポリシーブックを初めて知る青年農業者にも存在を理解できるものにしたいし、併せて世代間の継承もしていきたい。


 

〈本号の主な内容〉

■このひと
 JA青年組織とJA改革
 全国農協青年組織協議会 会長 今野邦仁 氏

■第3次JA人づくりビジョン全国運動方針 決まる
 JA全中 教育部教育企画課長
 田村政司 氏に聞く

■JA全農新3か年計画と2019年度事業のポイント
〇くらし支援事業
 JA全農 くらし支援事業部 宗村達夫 部長

行友弥の食農再論「虹の彼方へ」

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