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代替タンパク市場などについてセミナー開く=日本食農連携機構

2021年7月16日

 日本食農連携機構(増田陸奥夫理事長)は14日、「第4回アフター(・ウィズ)コロナ時代に向けた無料WEBセミナー~食の未来を担うフードテック特集」をオンラインで開催した。世界的に注目が集まっているフードテック、特に代替タンパク市場に着目し、フードテックの可能性や今後の展望について議論した。

 野村アグリプランニング&アドバイザリー㈱調査部長の佐藤光泰氏(テーマ=フードテックの国内外の事業環境と展望)、オイシックス・ラ・大地㈱取締役でFuture Food Fund㈱代表取締役の松本浩平氏(オイシックス・ラ・大地㈱/Future Food Fundの取り組みについて)、ネクストミーツ㈱代表取締役の佐々木英之氏(Conceptual Food Tech〝地球を終わらせない〟)が講演。また3氏は㈱食農夢創代表取締役の仲野真人氏がコーディネーターを務めたパネルディスカッションにも登壇した。

 佐藤氏はフードテックが海外において、食料需給の逼迫が懸念されることや、消費者が地球環境や動物福祉への関心を持っていることを理由に、最注目分野の一つであると説明。フード&アグリテック分野の有望スタートアップへの資金供給が相次いでおり、2018年の海外でのスタートアップ企業への投資総額は7500億円にのぼると話した。フード&アグリテック分野のうち、アグリバイオの分野から植物肉、培養肉、代替シーフード(植物魚・培養魚)、昆虫食ビジネスなどの主要なスタートアップ企業の概要を紹介した。

 松本氏はオイシックス・ラ・大地の投資子会社であるFuture Food Fundの、フードイノベーション領域におけるコーポレートベンチャーキャピタルの取組みについて紹介。「単なる投資活動に留まらず、スタートアップが持つ新技術や新サービスをより早く実用化・事業化していくことを目指している」と語った。

 佐々木氏は「過剰な畜産による地球温暖化を代替肉によって解決したい」という企業理念を話し、既に展開している台湾・シンガポール・ベトナム・香港に加え、米国や中国など新たに7か国でリリースの準備を進めていることなど、昨年6月に設立した自社の取組みを話した。また、畜産業界が排出するCO2が全体の14・5%に達していることなど、環境に高い負荷を与えていることや、人口増加や各国の中間層の増加に伴い、今後食肉需要の増加が考えられることなどを説明。その上で、まだ代替肉の市場はできておらず、各社がシェア争いをしている場合ではないと語り「競争ではなく、共創する時代」だと述べた。

 増田理事長は開催に先立ち、気候変動リスク、特に異常気象による食料問題が大きな課題であるとの認識を示し、フードテックについて「課題を乗り越えるために、世界的に関心が高まっている」と述べた。

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