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甘味資源部会で関税・外為審答申への考え方案提示=農水省

2021年8月4日

 農水省は2日、食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会を開催、財務省の関税・外国為替等審議会の答申への対応の考え方(案)を示した。案では、国産の砂糖の需要拡大を図ることに意義があり、輸入加糖調製品のユーザーに対し、国産砂糖を利用する意義について理解を得ながら、原料原産地表示もきっかけとして、国産への切り替えを促す、などとされている。

 加糖調製品については、令和元年から毎年財務省の関税審議会で輸入加糖調製品の暫定税率を議論しており、2年の同審議会で、「加糖調製品の暫定税率の引下げによる政策効果の検証」「加糖調製品と国内の砂糖に関する今後の在り方」などについて、消費者の視点を踏まえつつ、農水省に説明を求めるとする答申が取りまとめられたことから、同部会で検討しているもの。

 農水省が示した対応の考え方(案)の概要は以下の通り。

 「総合的なTPP等関連政策大綱」で「改正糖価調整法に基づき、加糖調製品からの調整金を徴収し、砂糖の競争力強化を図る」とされていることから、TPP11税率の設定状況に応じて、加糖調製品の暫定税率を引き下げ、砂糖と加糖調製品の価格差を埋めるため、令和4年度においても、引き続き関税改正の要望を行う必要がある。
 また、糖価調整制度は、調整金負担という実需者負担型の仕組みであることに留意し、生産者、製糖業者それぞれが生産・製造コストの削減を進め、砂糖の価格を引き下げることで国民負担の軽減を図り、糖価調整制度の趣旨が消費者にも理解されるよう努力する。
 一方、国内で製造される砂糖は、国民に消費されることを通じ、国境離島における代替の効かないさとうきび及び我が国最大の畑作地帯の輪作体系の維持に欠かせないてん菜の生産を支えており、単に経済合理性のみでは図れない背景を有している。
 こうした背景があるからこそ、国産の砂糖の需要拡大を図ることに意義があり、現時点では価格面で劣るものの、輸入加糖調製品のユーザーに対し、こうした国産の砂糖を利用することの意義について理解を得ながら、原料原産地表示もきっかけとして、国産の砂糖への切り替えを促す。こうした中にあって、今後の輸出拡大が期待される国産の砂糖を使用した菓子等への需要拡大を強化していくことは、喫緊の課題である。
 これらの取組は、糖価調整制度の持続的な運営を基にして行われるものであるが、砂糖消費量の減少により制度の存続が危ぶまれる中、国産の砂糖を安定供給するための本制度の維持のためには、輸入糖と国内産糖のバランスの確保が必要。天候や豊凶によるてん菜の生産量のコントロールが難しい面はあるが、砂糖供給量に占めるてん菜糖のシェアが高まっている中、マーケットインの発想により、現在需要に応えられていない加工用ばれいしょや、引き続き需要のある豆類などの生産を増やすことにより、北海道畑作における輪作体系を継続しながら、持続的なてん菜生産を推進していくべきではないか。

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