規制改革推進会議は19日、農林水産ワーキング・グループを開催した。若者の農業参入、経営継承の推進、農業経営の法人化等に関する課題等をテーマに、農水省、事業者からヒアリングを行った。
農業経営の法人化にあたっての課題として、▼家計と経営の分離、定款や就業規則の作成、事業計画の作成、社会保険への加入、等を行っていく必要があり、こうした専門的な知識を要する事務の負担が農業者にとって高いハードルとなっていること、▼経営継承についても、経営ノウハウや生産技術の継承などに加え、経営資産の評価や税制などの専門的な知識が必要なこと、が挙げられている。
農水省によれば、法人化や経営継承については、都道府県段階に設置された農業系団体、商工系団体等の関係機関で構成する「農業経営相談所」において、農業者からの相談に対応。相談所では、一元的な相談窓口を設置し、農業者の相談内容に応じて、登録された労務、税務、法律、経営などの専門家により、法人化等について専門的な支援を実施している。また、相談所におけるアドバイス活動だけでは法人経営体の大幅な増加は困難なことから、今後は、都道府県の責任の下、相談所を構成する関係機関の役割分担を明確にした上で、法人化等の掘り起こしチームを作り、①認定農業者(約23万人)、②青色申告農業者(約46万人)、③雇用者のいる農家(約4万人)(①~③に重複して該当する者あり)をターゲットとしたプッシュ型支援を実施していく方針。
内閣府によれば、佐久間総一郎座長(日本製鉄㈱顧問)は「担い手の高齢化を背景に若者を農業に呼び込むこと、国家的危機だという危機感を持って取り組んでいく。具体的には、法人化によって農家に経営を浸透させる、儲かる農家を増やしていく、若者にとって農業のイメージを魅力で儲かるビジネスと転換することが重要だ」として、「本日議論で得られた示唆を踏まえて、農水省には政策の発想を大胆に転換すること、就農希望者に向けた全国型のワンストップ支援や全国型のマッチング支援などの施策について検討をしてほしい」と述べた。
食料・農業・農村基本計画(令和2年閣議決定)に基づき、農業経営の法人化を加速化することとしており、農業経営の法人化には、農業経営の高度化や安定的な雇用の確保、円滑な経営継承、雇用による就農機会の拡大など経営発展の効果が期待されている。
政府では法人経営体数の目標を令和5年に5万法人と設定(2019年推計値は2万3400法人)。また、一戸一法人について、これまで家族経営体として整理してきたが、今後は、農業経営の法人化の観点から、他の法人と区別せず、法人経営体(団体経営体)として取り扱っていく考え。