日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

JAバンクが7月から「担い手コンサルティング」を開始

2021年6月17日

融資先の経営課題を可視化、JA営農経済事業で解決策提案

 JAバンクは7月から、JAおよび信連が融資する農業者の経営の安定・成長を支援する「担い手コンサルティング」の取り組みを開始する。融資先の財務情報の分析や経営者からの聞き取りを通じて経営課題を可視化し、農業所得向上のために可能な限りJAの営農経済事業を通じた解決策を提案することで、他の地域金融機関とは異なる特色ある施策として展開する。また、JAにとっても、信用事業に加えて営農経済事業の取扱増・収益増につなげる。

 この取り組みは、JAおよび信連がそれぞれ実践チームをつくり、担い手を支援するもの。JA等からの担い手へのコンサルティングは、14週で行われ、事業実態の把握と課題の洗い出し、解決策の検討、ソリューションの具体化・提案、進捗の確認・体制構築を行う。事前面談のほか、4度の打ち合わせと担い手の最終報告で、面談は6回。具体的には、信用事業が主体で財務情報や経営者ヒアリング等を併せて、経営課題の見える化を実施した上で、様々な知見を活かして、課題解決に向けたソリューション提供を行う。ソリューションは、先ずはJA営農経済事業によるソリューションを優先的に検討し、それが難しい場合は全農県本部・経済連からの提案を検討する。系統組織で解決が難しい課題については、外部企業や士業・専門コンサルタント等、外部知見も用いて可能な限り解決策を検討していく。

 取組に際し、JAが実践チームとなる場合は、信連と農林中央金庫が連携してJA内のチームをサポート。信連が実践チームとなる場合は、農林中金がサポートをする。実践チームが初めて担い手を支援する場合は、手順書やツール類を提供するほか、自走が難しい場合には一通りの工程で伴走し、ノウハウ蓄積を図りその後の自走につなげる。また、継続して県域の実務担当者を対象にして、①各県によるコンサルの実績や成果の見える化、②全国としての県域の補完が必要なソリューションの開発、③県域サポート(情報共有会議・研修の開催、初回導入サポート以降の個別サポートなど)、を行い、施策全体の高度化を図るとともに、JAバンク全体としての底上げを図る。

 2021年度は、7月から始まる第1クール8県域から初期導入のサポートを開始し、第2クール以降は9県域のサポートを予定。第3クールは希望県域が予定数を大幅に上回る状況で、初期導入サポートを継続し、第6クールまで実施する前提で意向調査を実施する。

 JAバンクは11日、信連・1県1JAの実務担当者・農林中金の実務担当者を対象に「担い手コンサルティングにかかる全国説明会」をオンラインで開き、約260名が参集した。担い手コンサルティングの概要やサポート策について説明したほか、パイロット県域として実施した静岡県での取り組みについて、㈱三菱総研、JA遠州中央、静岡県信連の担当者らが説明し、また視聴者からの質問に答えた〔詳細後報〕。

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